キャラ文芸小説一覧
久乃木柘榴(くのぎ ざくろ)の手元には、少し変わった形見がある。
小学六年のときに、病死した母の実家に伝わるおとぎ話。しゃべる犬と変わった人形が『宝石のご飯』を作って、お客さんのお悩みを解決していく喫茶店のお話。代々伝わるという、そのおとぎ話をもとに。柘榴は母と最後の自由研究で『絵本』を作成した。それが、少し変わった母の形見だ。
それを大切にしながら過ごし、高校生まで進級はしたが。母の喪失感をずっと抱えながら生きていくのがどこか辛かった。
父との関係も、交友も希薄になりがち。改善しようと思うと、母との思い出をきっかけに『終わる関係』へと行き着いてしまう。
それでも前を向こうと思ったのか、育った地元に赴き、母と過ごした病院に向かってみたのだが。
建物は病院どころかこじんまりとした喫茶店。中に居たのは、中年男性の声で話すトイプードルが柘榴を優しく出迎えてくれた。
さらに、柘榴がいつのまにか持っていた変わった形の石の正体のせいで。柘榴自身が『死人』であることが判明。
本の中の世界ではなく、現在とずれた空間にあるお悩み相談も兼ねた喫茶店の存在。
死人から生き返れるかを依頼した主人公・柘榴が人外と人間との絆を紡いでいくほっこりストーリー。
文字数 137,861
最終更新日 2025.02.02
登録日 2024.12.20
新選組隊士・斎藤一の生涯を、自分なりにもぐもぐ咀嚼して書きたかったお話。
※史実を基にしたフィクションです。実在の人物、団体、事件とは関わりありません。
※敢えて時代考証を無視しているところが多数あります。
※歴史小説、ではなく、オリジナルキャラを交えた歴史キャラ文芸小説です。
筆者の商業デビュー前に自サイトで連載していた同人作です。
色々思うところはありますが、今読み返しても普通に自分が好きだな、と思ったのでちまちま移行・連載していきます。
現在は1週間ごとくらいで更新していけたらと思っています(毎週土曜18:50更新)
めちゃくちゃ長い大河小説です。
※カクヨム・小説家になろうでも連載しています。
▼参考文献(敬称略/順不同)
『新選組展2022 図録』京都府京都文化博物館・福島県立博物館
『新撰組顛末記』著・永倉新八(新人物往来社)
『新人物往来社編 新選組史料集コンパクト版』(新人物往来社)
『定本 新撰組史録』著・平尾道雄(新人物往来社)
『新選組流山顛末記』著・松下英治(新人物往来社)
『新選組戦場日記 永倉新八「浪士文久報国記事」を読む』著・木村幸比古(PHP研究所)
『新選組日記 永倉新八日記・島田魁日記を読む』著・木村幸比古(PHP研究所)
『新選組全史 天誅VS.志士狩りの幕末』著・木村幸比古(講談社)
『会津戦争全史』著・星亮一(講談社)
『会津落城 戊辰戦争最大の悲劇』著・星亮一(中央公論新社)
『新選組全隊士徹底ガイド』著・前田政記(河出書房新社)
『新選組 敗者の歴史はどう歪められたのか』著・大野敏明(実業之日本社)
『孝明天皇と「一会桑」』著・家近良樹(文藝春秋)
『新訂 会津歴史年表』会津史学会
『幕末維新新選組』新選社
『週刊 真説歴史の道 2010年12/7号 土方歳三 蝦夷共和国への道』小学館
『週刊 真説歴史の道 2010年12/14号 松平容保 会津戦争と下北移封』小学館
『新選組組長 斎藤一』著・菊地明(PHP研究所)
『新選組副長助勤 斎藤一』著・赤間倭子(学習研究社)
『燃えよ剣』著・司馬遼太郎(新潮社)
『壬生義士伝』著・浅田次郎(文藝春秋)
文字数 353,862
最終更新日 2025.02.01
登録日 2023.02.23
オレこと柊(ひいらぎ)誠(まこと)は夢の中でもう一人のオレに泣き付かれて、余りの泣き言にうんざりして同意するとーー
平行世界のオレと入れ替わってしまった。
平行世界は宇宙より外敵宇宙生物、通称、コスモアネモニー(宇宙イソギンチャク)が跋扈する世界で、その対策として日本刀が重宝されており、剣道の実力、今(いま)総司のオレにとってはかなり楽しい世界だった。
文字数 196,482
最終更新日 2025.01.31
登録日 2024.12.01
レトロな雰囲気の喫茶店、扉を開けると微かにピアノの旋律とコーヒーの香りが漂う——
飴色の丸いテーブルが行儀良く並んだ店内は、通りに面した大きな窓からの日差しで隅々まで明るい。カウンターでは、シルバーグレイの髪をオールバックにまとめた初老のマスターが、今日も丁寧にコーヒーを淹れている。
そこには時折、『縁切り猫』を名乗る青年がやってきて、誰かの辛い縁に手を差し伸べる。
ネット世界の向こうにいる誰かを想い、騙された女の子。
仕事や人間関係に、負けたくないと頑張る会社員。
悪夢と向き合い、向かい合う漫画家……。
今日はなんだかちょっと辛いかも。そんなとき、不意にコーヒーの香りが鼻先を掠めたら——
それは、きっとこの喫茶店からの誘いかもしれない。
文字数 42,316
最終更新日 2025.01.28
登録日 2024.12.28
オカルト好きの少年、「しんいち」は、小学生の時、彼が通う合気道の道場でお婆さんにつれられてきた不思議な少女と出会う。
のちに「幽子」と呼ばれる事になる少女との始めての出会いだった。
彼女には「霊感」と言われる、人の目には見えない物を感じ取る能力を秘めていた。しんいちはそんな彼女と友達になることを決意する。
そして高校生になった二人は、様々な怪奇でミステリアスな事件に関わっていくことになる。 事件を通じて出会う人々や経験は、彼らの成長を促し、友情を深めていく。
しかし、幽子にはしんいちにも秘密にしている一つの「想い」があった。
その想いとは一体何なのか?物語が進むにつれて、彼女の心の奥に秘められた真実が明らかになっていく。
友情と成長、そして幽子の隠された想いが交錯するミステリアスな物語。あなたも、しんいちと幽子の冒険に心を躍らせてみませんか?
文字数 252,911
最終更新日 2025.01.28
登録日 2024.08.19
【完結】【キャラ文芸大賞】参加中です!投票いただけたら幸いです!
後宮×契約結婚×溺愛×料理×ミステリー
町の外れには、絶品のカリーを出す小料理屋がある。
小料理屋を営む月花は、世界各国を回って料理を学び、さらに絶対味覚がある。しかも、月花の味覚は無味無臭の毒すらわかるという特別なものだった。
月花はひょんなことから皇帝に出会い、それを理由に美人の位をさずけられる。
後宮にあがった月花だが、
「なに、そう構えるな。形だけの皇后だ。ソナタが毒の謎を解いた暁には、廃妃にして、そっと逃がす」
皇帝はどうやら、皇帝の生誕の宴で起きた、毒の事件を月花に解き明かして欲しいらしく――
飾りの妃からやがて皇后へ。しかし、飾りのはずが、どうも皇帝は月花を溺愛しているようで――?
これは、月花と皇帝の、食をめぐる謎解きの物語だ。
文字数 102,132
最終更新日 2025.01.26
登録日 2024.12.31
「君の悩みを解決しよう。1匙の魔法を添えて」
『黎明堂』 それは、不思議な店主と不思議な道具たちが作り出した、不思議な雑貨店
高校生の少女・桜井かすみは、とある過去からクラスメイトとの関わりに悩んでいた
彼女は、ある雨の日にその雑貨店に足を踏み入れた。
過去に囚われ苦しむ女子高生。友達とのすれ違いに傷ついた少女。亡き妻への消えない後悔を抱く老紳士。自身の進路に悩む男子高生。そして、店主自身。
これは、『黎明堂』を取り巻く人々の、夜明けを描く物語
参考文献
①『世界魔法道具の大図鑑』
文:バッカリオ/オリヴィエーリ
訳:山崎瑞花
②『アリスの不思議なお店』
著:フレデリック・クレマン
訳:鈴村和成
③『毒と薬の蒐集譚』
著:医療系雑貨生みたて卵屋
文字数 75,816
最終更新日 2025.01.16
登録日 2023.07.22
僕が好きになったのは、学園の温室に住む甘いもの好きな魔女でした――。
ティータイムと甘いものが大好きで、絵がちょっと苦手な可愛い女の子。
学園の秘密の温室に住む彼女は、『願い屋七つ星』というお店を開いている。
魔女である彼女に『願いごと』をすると、その願いがどんなものであろうと絶対に叶うけれど、その代わりに『対価』を差し出さなければならない。
彼女が依頼人からどんな『対価』をもらっているのかは知らないけれど……。
僕は彼女ともっと仲良くなるため、日々彼女へ舞い込む依頼を手伝うことにした。
『対価』の秘密を知らないまま……。
これは魔女の女の子と僕の、秘密と、不思議と、甘いお話――。
文字数 104,177
最終更新日 2025.01.15
登録日 2024.12.29
杷佳(わか)は、鬼子として虐げられていた。それは彼女が赤い髪を持ち、体に痣があるからだ。彼女の母親は室生家当主の娘として生まれたが、二十歳の時に神隠しにあい、一年後発見された時には行方不明の間の記憶を失くし、身籠っていた。それが杷佳だった。そして彼女は杷佳を生んですぐに亡くなった。祖父が生きている間は可愛がられていたが、祖父が亡くなり叔父が当主になったときから、彼女は納屋に押し込められ、使用人扱いされている。
そんな時、彼女に北辰家当主の息子との縁談が持ち上がった。
自分を嫌っている叔父が、良い縁談を持ってくるとは思わなかったが、従うしかなく、破格の結納金で彼女は北辰家に嫁いだ。
しかし婚姻相手の柊椰(とうや)には、ある秘密があった。
文字数 73,942
最終更新日 2025.01.12
登録日 2023.12.19
東北一の政令指定都市に住む美夜は、二年前に両親を亡くし、兄夫婦と実家で同居していた。可愛い甥っ子もいて、寂しくはなかった。
近所の公園からの帰り道、車に轢かれて左手に後遺症がのこり、パティシエ専門学校入学を辞退する羽目に。
以来、兄に説得されて公務員試験合格を目指して自宅で勉強の日々を送っていた。
だが義姉はバイトもできない美夜が気に入らず、陰で虐めるように。
とうとう嫌がらせが限界に達した時、目の前に現れたのは銀色の耳を生やした麗人だった。
『さあ、美夜。七つ杜に帰ろう』
あなたは一体、誰なの!?
文字数 1,120
最終更新日 2024.12.31
登録日 2024.12.31
よくあるスサノオやヤマトタケルノミコトによるオロチ討伐とは全く違う内容になります。
この話はあくまで神界での出来事であり宗教的意味合いもありません。
神界における遠呂知という名の鍛冶神がどのように処罰されたかを描いた話です。
文字数 5,361
最終更新日 2024.12.31
登録日 2022.12.07
権力者の悪行によって、脅かされる市民の安全を確保するために派遣されたスパイチーム4人の成長と熱い友情物語。
「スパイってもっとかっこいいことするんじゃないんすか?」
おちゃらけた素早さ重視の隊員。
「私は戦闘しか教えられないからパス」
効率重視、戦闘要員の隊員。
「私人を撃ったことなんてないので…」
自分を過小評価、透視能力と機械に強い隊員。
「僕にできることなんてこれぐらいですから」
優しい獣、嗅覚と体力、持久力を兼ね備えた隊員。
この4人が織りなすスパイミッションストーリー。
この4人が苦しんだ過去、幸せだった過去、そしてこれから歩む未来を見届けるのは貴方。
文字数 7,777
最終更新日 2024.12.30
登録日 2024.12.29
文字数 14,755
最終更新日 2024.12.20
登録日 2024.12.20
ーアランの戦争はまだ終わらないー
1918年、第一次世界大戦終戦前のフランス・ソンム地方の駐屯地で最新兵器『機械人形(マシンドール)』がUE(アンノウンエネミー)によって強奪されてしまう。
それから1年後の1919年、第一次大戦終結後のヴェルサイユ条約締結とは程遠い荒野を、軽装歩兵アラン・バイエルは駆け抜ける。
UEと呼ばれる襲い掛かる怪人たち、アランは隊長のジャン・クロードたち仲間の敵討ちのために身を投じる。
・キャラクター
アラン・バイエル
元ジャン・クロード軽装歩兵小隊の一等兵、右肩の軽傷により戦後に除隊、表向きはマモー商会の商人を務めつつ、裏では軽装歩兵としてUEを追う。
武装は対戦車ライフル、手りゅう弾、ガトリングガン『ジョワユーズ』
デスカ
貴族院出身の情報将校で大佐、アランを雇い、対UE同盟を締結する。
貴族にしては軽いノリの人物で、誰にでも分け隔てなく接する珍しい人物。
エンフィールドリボルバーを携帯している。
・用語
UE(アンノウンエネミー)
謎の怪人たちで結成された組織、フランス軍が研究していた機械人形を強奪する。
機械人形(マシンドール)
動物型の兵器で騎馬兵を機械化した兵器。フランス軍は研究中のところをUEに強奪されてしまう。
軽装歩兵
主に対戦車戦に特化した工兵のこと。
文字数 29,266
最終更新日 2024.12.20
登録日 2024.11.10
高2の春休み、露図柚子太は部活帰りに日暮れの下校路を歩いていると、青色のフィルターが掛かった無人の世界に迷い込む。
そして変なロボに追われる中、空から降りてきた女戦闘員に助けられ、ナノマシンを体内に注入されて未来の代理戦争に巻き込まれるのだった。
文字数 194,914
最終更新日 2024.11.30
登録日 2024.10.22
1900年春。プリエール魔法学校の魔法薬学保管庫で、ひとりの生徒が殺された。
魔法が絡む事件で捜査に当てられる期間は3日間。
その間犯人が見つからなければ、もっとも疑わしいものが連行されることになっている。
疑いの筆頭に挙がったのは、魔法薬学の若き教師ライズ・グロリエルだった。
そんな事件に関わるのは、彼を救うため文字通りあらゆる手を尽くす助手のリィエンと、捜査のため学校を訪れたふたりの魔法執判官ヴァンとフィフィー。
そして、頼まれてもいないのに調査に乗り出した、3人の1年生。
「こーなったら、ボクたちがなんとかするしかよね!」
「いや、そもそもこれ勝手にやってることですし。というか、一応主人公僕なんですけど……」
「一応と言わず、胸張ってけ」
おさげの人気者ミルダと学校屈指の魔力を持つグレイ。
そして、魔法使いが好まない推理小説を愛するアルフェルノアの3人は、精霊と結界によって守られた密室の謎に挑む。
※この作品は、下記のサイトでも重複投稿しています。
Nolaノベル・小説家になろう・アルファポリス・ノベルデイズ・エブリスタ
文字数 32,076
最終更新日 2024.10.29
登録日 2024.01.11
東京へ夢を叶えるために上京してきた女子大生・右芝 詩瑠(うしば しる)。初めて実家を離れて暮らす場所として選んだのは、都内でありながらのどかな風景にポツンと建つ長屋「あったか荘」。
様々な年齢や職業の人々が集う寄宿舎(シェアハウス)「あったか荘」の入居ルールは
、たったひとつだけ。
それは……毎日朝ごはんにスープを作ってみんなへ振る舞うこと。
姿を見せない大家、月夜にだけ会える謎の美青年、大酒飲みの美女、胡散臭いイケオジなどなど、同居人はみんな優しいけどみんな少し変。
そんな個性的なメンバーを「スープ」であたためてまとめる、グルメなヒューマンドラマ。
文字数 107,404
最終更新日 2024.10.28
登録日 2023.12.31
寵愛なんていりません!身代わり宮女は3食昼寝付きで勉強がしたい。
私は北峰で商家を営む白(パイ)家の長女雲泪(ユンルイ)
白(パイ)家第一夫人だった母は私が小さい頃に亡くなり、家では第二夫人の娘である璃華(リーファ)だけが可愛がられている。
妹の後宮入りの用意する為に、両親は金持ちの薬屋へ第五夫人の縁談を準備した。爺さんに嫁ぐ為に生まれてきたんじゃない!逃げ出そうとする私が出会ったのは、後宮入りする予定の御令嬢が逃亡してしまい責任をとって首を吊る直前の宦官だった。
利害が一致したので、わたくし銀蓮(インリェン)として後宮入りをいたします。
雲泪(ユンレイ)の物語は完結しました。続きのお話は、堯舜(ヤオシュン)の物語として別に連載を始めます。近日中に始めますので、是非、お気に入りに登録いただき読みにきてください。お願いします。
文字数 82,689
最終更新日 2024.10.19
登録日 2023.04.30
貸本屋七本三八の譚めぐり
レンタル有り【書籍化しました】
【第4回キャラ文芸大賞 奨励賞受賞】
舞台は東端の大国・大陽本帝国(おおひのもとていこく)。
産業、医療、文化の発展により『本』の進化が叫ばれ、『術本』が急激に発展していく一方で、
人の想い、思想、経験、空想を核とした『譚本』は人々の手から離れつつあった、激動の大昌時代。
『譚本』専門の貸本屋・七本屋を営む、無類の本好き店主・七本三八(ななもとみや)が、本に見いられた人々の『譚』を読み解いていく、幻想ミステリー。
文字数 474,105
最終更新日 2024.08.27
登録日 2020.07.20
文字数 55,594
最終更新日 2024.07.31
登録日 2024.07.31
「ハジメティヤーサイ! ワンネーウチナーカラチャービタン。名護武琉ヤイビーン。ユタシクウニゲーサビラ」
謎の言葉を発しながら、私立鷺乃宮学園に転校生がやってきた。
南海の漁師を彷彿とさせる肌。
沖縄の独特の方言。
陽気すぎる性格。
転校生の名前は、名護武琉(なご・たける)。
そして転校してきた当日、武琉はクラスメイトの前で私立鷺乃宮学園の理事長の孫娘――鷺乃宮羽美(さぎのみや・うみ)の婚約者だと言い放つ。
そんな武琉が転校してきたことをきっかけに、羽美の身近で色々なトラブルや事件が巻き起こるようになった。
もちろん、正義感に溢れて空手の有段者でもある羽美は全力で事件の解決に当たろうとする。
すると武琉も当然と言わんばかりに羽美に協力を申し出てきた。
しかし、このときの羽美は知らなかった。
実は武琉が沖縄で〝カクレブサー〟と呼ばれるほどの凄まじい〇〇使いの実力者だったことに――。
文字数 115,046
最終更新日 2024.07.09
登録日 2024.06.27
「ねえ知ってる? 最近でるらしいよ?」
――吸血鬼――。白皮症、血液嫌い、大妄想持ちの女子高校生、出里若菜は克服しきれない朝の眩惑的騒々しさの中で、親友から今更ながらの情報を小耳に入れる。
吸血鬼が現れる。なんでも、ここ最近の夜間に発生する傷害事件は、おとぎ話でしか存在を聞いたことがない、そんな化け物が引き起こしているらしい、という情報である。
噂に種はなかった。ただ、噂になるだけの事象ではあった。同時に面白いがために、そうやって持ち上げられた。出里若菜はそう思う。噂される化け物らは、絵本に厳重に封をされている。加えて串刺し公の異名を持つブラド・ツェペシュも結局人の域を出なかった。
この化け物も結局噂の域を出ない伝説なのだ。出里若菜はそう決め込んでいた。
あの光景をみるまでは。
※流血表現、生生しい描写、という要素が含まれております。
ご注意ください。
※他サイト様にも掲載させていただいてます。
文字数 113,361
最終更新日 2024.05.20
登録日 2022.12.05