第7回ほっこり・じんわり大賞

第7回ほっこり・じんわり大賞

選考概要

734作の応募があった第7回ほっこり・じんわり大賞では、家族や友達との確執を乗り越える心温まる物語や、恋の切なさ、離別の苦しみを繊細に描き出した青春ストーリー、心を癒やす動物ものなどさまざまな題材の作品が集まった。その中から、27作品が一次選考を通過した。

編集部による検討を経て、大賞候補としたのは「いいえ、推し活です」「仲町通りのアトリエ書房 -水彩絵師と白うさぎ付き-」「あやかし神社へようお参りです。」「猫神様の言うことにゃ、神頼みなんて役立たず」「死んだ兄と子育て始めます!幽霊兄の子育て指南」「青春リフレクション」の6作品。

これらの候補作の中で、舞台設定の魅力や筆力の高さで最も評価の高かった「仲町通りのアトリエ書房 -水彩絵師と白うさぎ付き-」を『大賞』に選出した。また、該当するテーマ別賞はなかったものの、毒舌な猫神様をはじめとする登場人物の個性が光った「猫神様の言うことにゃ、神頼みなんて役立たず」には『優秀賞』を授与。テーマ別賞では推し活に励む女子高生をコミカルに描いた「いいえ、推し活です」に『心ほっこり賞』を与えた。一方で『涙じんわり賞』『優秀短編賞』については該当作なしとなり、最終選考に残り、あと一歩受賞には届かなかった作品を奨励賞とした。

「仲町通りのアトリエ書房 -水彩絵師と白うさぎ付き-」は、スランプに陥った絵描きである主人公が、下宿先の兎ノ書房を訪れる優しい人々との交流を経て、絵を描くことへの情熱を取り戻す物語。喋る白うさぎのお雪さん、ミステリアスな小説家の一色や図書室を訪れる不登校の少年といった主人公を取り巻く人々が魅力的だった。また、そうした登場人物の巧みな心理描写により、しっかりと世界観を作れていたことが評価された。

「猫神様の言うことにゃ、神頼みなんて役立たず」は、口は悪いがどこか愛嬌がある猫神様と、彼が棲む神社に集う四人の男女の恋模様を書いたストーリー。恋に揺れる四者の恋愛観の書き分けが上手く、読み応えのある作品だった。ヒューマンドラマを丁寧に描写したことで、ビターな切なさを残しつつも、余韻ある物語に仕上がっていた。

「いいえ、推し活です」は、クラスメイトを推す女子高生、織田のハートフルな日常を描いた漫画作品。キャラクターと設定が秀逸で、くすっと笑える軽妙なやり取りが心をほっと温める。「推し」という時代に即した題材をオリジナリティのあるテーマでエンタメに落とし込もうと試みていた点に、編集部の支持が集まった。

開催概要はこちら
応募総数 734作品 開催期間 2024年07月01日〜末日

編集部より

兎ノ書房での日々を経て、過去のトラウマを乗り越える主人公、絵莉のひたむきな姿に胸を打たれました。喋るうさぎのお雪さんをはじめとする魅力的な登場人物たち、そして彼らと絵莉の交流が優しい作風で描かれており、前向きなラストがほっこりと心を癒やしてくれます。兎ノ書房に行ってみたくなるような、温もりを感じるストーリーでした。


編集部より

ポイント最上位作品として“読者賞”に決定いたしました。愛を知らない主人公と彼を拾った颯真の温かくて優しい日々が描かれた作品でした。二人が絆を深めていく様子がしっかりと書かれている点が、読者から人気を集めたのではないでしょうか。


編集部より

少々毒舌な猫神様による語り出しがキャッチーで、引き込まれました。また、恋に翻弄されるキャラクターたちの等身大の悩みが丁寧に描写されており、共感を覚えます。ほろ苦い大人の恋愛を描きつつも、どこか温かみのある筆致がグイグイ読ませる物語でした。


編集部より

クラスメイトを推す地味な主人公、織田と個性豊かなクラスメイトとのテンポの良いかけあいが面白い作品でした。イラストや画面構成も巧みでわかりやすく、ページをめくる手が止まらなくなります。織田の緩くて賑やかな学園生活に、元気をもらえました。

※受賞作については大賞ランキングの最終順位を追記しております。

奨励賞

投票ユーザ当選者

投票総数 2,711票 当選 10名