道間ユキは、鬼や魑魅魍魎を狩る一族の道間家に生まれながら、疎まれた存在だった。
黒を尊ぶ道間家において、赤茶色の髪を持って生まれたユキは、父である道間家の当主から「処分」されるのをただ待つだけの身。
そして、15歳になったユキは、とうとう、処分の日を迎える。
雪深い山の中に薄着で放り出されたユキは、歩いているときに見つけた祠の前で、ただただ死を待っていた。
そのとき。
「道間家の女狐が」
ユキの目の前に現れたのは、鬼の棟梁、暁月千早。
千早は、死に逝くユキの首にそっと手をかけて――
死んだはずのユキは、鬼の暮らす隠れ里で目を覚ます。
ユキを「殺した」鬼、千早は、彼女に向かって告げた。
「お前は、もはや道間ではない。――お前は、鬼だ」
鬼に殺され、鬼となったユキと、鬼の棟梁である千早。
二人の運命は、静かに交差する――
文字数 9,222
最終更新日 2024.12.21
登録日 2024.12.21
サーラには秘密がある。
絶対に口にはできない秘密と、過去が。
ある日、サーラの住む町でちょっとした事件が起こる。
両親が営むパン屋の看板娘として店に立っていたサーラの元にやってきた男、ウォレスはその事件について調べているようだった。
事件を通して知り合いになったウォレスは、その後も頻繁にパン屋を訪れるようになり、サーラの秘密があることに気づいて暴こうとしてきてーー
これは、つらい過去を持った少女が、一人の男性と出会い、過去と、本来得るはずだった立場を取り戻して幸せをつかむまでのお話です。
文字数 354,618
最終更新日 2024.12.20
登録日 2024.06.14
☆おしらせ☆
8/25の週から更新頻度を変更し、週に2回程度の更新ペースになります。どうぞよろしくお願いいたします。
☆あらすじ☆
わたし、マリア・アラトルソワは、乙女ゲーム「ブルーメ」の中の悪役令嬢である。
十七歳の春。
前世の記憶を思い出し、その事実に気が付いたわたしは焦った。
乙女ゲームの悪役令嬢マリアは、すべての攻略対象のルートにおいて、ヒロインの恋路を邪魔する役割として登場する。
わたしの活躍(?)によって、ヒロインと攻略対象は愛を深め合うのだ。
そんな陰の立役者(?)であるわたしは、どの攻略対象ルートでも悲しいほどあっけなく断罪されて、国外追放されたり修道院送りにされたりする。一番ひどいのはこの国の第一王子ルートで、刺客を使ってヒロインを殺そうとしたわたしを、第一王子が正当防衛とばかりに斬り殺すというものだ。
ピンチだわ。人生どころか前世の人生も含めた中での最大のピンチ‼
このままではまずいと、わたしはあまり賢くない頭をフル回転させて考えた。
まだゲームははじまっていない。ゲームのはじまりは来年の春だ。つまり一年あるが…はっきり言おう、去年の一年間で、もうすでにいろいろやらかしていた。このままでは悪役令嬢まっしぐらだ。
うぐぐぐぐ……。
この状況を打破するためには、どうすればいいのか。
一生懸命考えたわたしは、そこでピコンと名案ならぬ迷案を思いついた。
悪役令嬢は、当て馬である。
ヒロインの恋のライバルだ。
では、物理的にヒロインのライバルになり得ない立場になっておけば、わたしは晴れて当て馬的な役割からは解放され、悪役令嬢にはならないのではあるまいか!
そしておバカなわたしは、ここで一つ、大きな間違いを犯す。
「おほほほほほほ~」と高笑いをしながらわたしが向かった先は、お兄様の部屋。
お兄様は、実はわたしの従兄で、本当の兄ではない。
そこに目を付けたわたしは、何も考えずにこう宣った。
「お兄様、わたしと(契約)結婚してくださいませ‼」
このときわたしは、失念していたのだ。
そう、お兄様が、この上なく厄介で意地悪で、それでいて粘着質な男だったと言うことを‼
そして、わたしを嫌っていたはずの攻略対象たちの様子も、なにやら変わってきて……。
これは、ヒロインに選ばれない攻略対象たちの救済に動き始めた、悪役令嬢の物語――
文字数 178,691
最終更新日 2024.12.18
登録日 2024.07.22
「アドリエンヌ・カントルーブ伯爵令嬢! 突然ですまないが、婚約を解消していただきたい! 何故なら俺は……男が好きなんだぁああああああ‼」
ルヴェシウス侯爵家のパーティーで、アドリーヌ・カンブリーヴ伯爵令嬢は、突然別人の名前で婚約破棄を宣言され、とんでもないカミングアウトをされた。
勘違いで婚約破棄を宣言してきたのは、ルヴェシウス侯爵家の嫡男フェヴァン。
そのあと、フェヴァンとルヴェシウス侯爵夫妻から丁重に詫びを受けてその日は家に帰ったものの、どうやら、パーティーでの婚約破棄騒動は瞬く間に社交界の噂になってしまったらしい。
一夜明けて、アドリーヌには「男に負けた伯爵令嬢」というとんでもない異名がくっついていた。
頭を抱えるものの、平平凡凡な伯爵家の次女に良縁が来るはずもなく……。
このままだったら嫁かず後家か修道女か、はたまた年の離れた男寡の後妻に収まるのが関の山だろうと諦めていたので、噂が鎮まるまで領地でのんびりと暮らそうかと荷物をまとめていたら、数日後、婚約破棄宣言をしてくれた元凶フェヴァンがやった来た。
そして「結婚してください」とプロポーズ。どうやら彼は、アドリーヌにおかしな噂が経ってしまったことへの責任を感じており、本当の婚約者との婚約破棄がまとまった直後にアドリーヌの元にやって来たらしい。
「わたし、責任と結婚はしません」
アドリーヌはきっぱりと断るも、フェヴァンは諦めてくれなくて……。
文字数 91,590
最終更新日 2024.12.06
登録日 2024.11.03
「はい、ちゅーもーっく! 本日わたしは、とうとう王太子殿下から婚約破棄をされました! これがその証拠です!」
ヴィルヘルミーネ・フェルゼンシュタインは、そう言って家族に王太子から届いた手紙を見せた。
「「「やっぱりかー」」」
すぐさま合いの手を入れる家族は、前世から家族である。
日本で死んで、この世界――前世でヴィルヘルミーネがはまっていた乙女ゲームの世界に転生したのだ。
しかも、ヴィルヘルミーネは悪役令嬢、そして家族は当然悪役令嬢の家族として。
ゆえに、王太子から婚約破棄を突きつけられることもわかっていた。
前世の記憶を取り戻した一年前から準備に準備を重ね、婚約破棄後の身の振り方を決めていたヴィルヘルミーネたちは慌てず、こう宣言した。
「船に乗ってシュティリエ国へ逃亡するぞー!」「「「おー!」」」
前世も今も、実に能天気な家族たちは、こうして断罪される前にそそくさと海を挟んだ隣国シュティリエ国へ逃亡したのである。
そして、シュティリエ国へ逃亡し、新しい生活をはじめた矢先、ヴィルヘルミーネは庭先で真っ黒い兎を見つけて保護をする。
まさかこの兎が、乙女ゲームのラスボスであるとは気づかづに――
文字数 104,763
最終更新日 2024.10.13
登録日 2024.09.07
☆お知らせ☆2025年にSQEXノベル様にから書籍化されます!イラストは雪子先生です!
わたし、スカーレットは燃費が悪い神殿暮らしの聖女である。
ご飯は人の何倍も食べるし、なんなら食後二時間もすれば空腹で我慢できなくなって、おやつももりもり食べる。というか、食べないと倒れるので食べざるを得ない。
この調子で人の何倍ももりもり食べ続けたわたしはついに、神殿から「お前がいたら神殿の食糧庫が空になるから出て行け」と追い出されてしまった。
もともと孤児であるわたしは、神殿を追い出されると行くところがない。
聖女仲間が選別にくれたお菓子を食べながら、何とか近くの町を目指して歩いていたわたしはついに行き倒れてしまったのだが、捨てる神あれば拾う神あり。わたしを拾ってご飯を与えてくださった神様のような公爵様がいた!
神殿暮らしで常識知らずの、しかも超燃費の悪いわたしを見捨てられなかった、二十一歳の若き公爵様リヒャルト・ヴァイアーライヒ様(しかも王弟殿下)は、当面の間わたしの面倒を見てくださるという。
三食もりもりのご飯におやつに…とすっかり胃袋を掴まれてしまったわたしは、なんとかしてリヒャルト様のお家の子にしてもらおうと画策する。
しかもリヒャルト様の考察では、わたしのこの燃費の悪さには理由がありそうだとのこと。
ふむふむふむ、もぐもぐもぐ……まあ理由はどうでもいいや。
とにかくわたしは、この素敵な(ごはん的に!)環境を手放したくないから、なにが何でもリヒャルト様に使える子認定してもらって、養女にしてもらいたい。願いはただそれだけなのだから!
そんなある日、リヒャルト様の元に王太子殿下の婚約者だという女性がやってくる。
え? わたしが王太子殿下の新しい婚約候補⁉
ないないない!あり得ませんから――!
どうやらわたしの、「リヒャルト様のおうちの子にしてほしい」と言う願望が、おかしな方向へ転がっていますよ⁉
わたしはただ、リヒャルト様の側で、美味しいご飯をお腹いっぱい食べたいだけなんですからねー!
文字数 100,637
最終更新日 2024.06.01
登録日 2024.04.27
もう耐えられない!
隣国から嫁いで五年。一度も国王である夫から関心を示されず白い結婚を続けていた王妃フィリエルはついに決断した。
わたし、もう王妃やめる!
政略結婚だから、ある程度の覚悟はしていた。けれども幼い日に淡い恋心を抱いて以来、ずっと片思いをしていた相手から冷たくされる日々に、フィリエルの心はもう限界に達していた。政略結婚である以上、王妃の意思で離婚はできない。しかしもうこれ以上、好きな人に無視される日々は送りたくないのだ。
離婚できないなら人間をやめるわ!
王妃で、そして隣国の王女であるフィリエルは、この先生きていてもきっと幸せにはなれないだろう。生まれた時から政治の駒。それがフィリエルの人生だ。ならばそんな「人生」を捨てて、人間以外として生きたほうがましだと、フィリエルは思った。
これからは自由気ままな「猫生」を送るのよ!
フィリエルは少し前に知り合いになった、「廃墟の塔の魔女」に頼み込み、猫の姿に変えてもらう。
よし!楽しいセカンドラウフのはじまりよ!――のはずが、何故か夫(国王)に拾われ、ペットにされてしまって……。
「ふふ、君はふわふわで可愛いなぁ」
やめてえ!そんなところ撫でないで~!
夫(人間)妻(猫)の奇妙な共同生活がはじまる――
文字数 195,673
最終更新日 2024.04.25
登録日 2024.02.07
※R18設定していますが対象は一部です。対象の短編には(R18)と書いておりますので苦手な方はスルーしてください。
投稿していた短編を一つにまとめました!
今後新作の短編を投稿する際もこちらにアップします。
短編なので好きなお話からお読みください♡
作品一覧:
★振り返れば婚約者がいる!~心配性の婚約者様が、四六時中はりついて離れてくれません!~
★お花畑脳の婚約者が「来世でも結婚する運命の人と結婚したいから別れてくれ」と言い出した
★追放された聖女は滅亡した妖精の国を蘇らせる
★聖女は魔王に嫁ぎます!
★続・聖女は魔王に嫁ぎます!
★世界最強の魔女は普段はポンコツ
★拾ったわんこ(狼)が可愛すぎてモフりまくってたら襲われた(R18)
★超年の差結婚だけど幸せでした! でも短すぎる夫婦生活だったのでやり直しを希望します!
★聖女の座を悪役令嬢に譲ってスローライフ!のはずが、何故か王子と悪役令嬢がもれなく付いている模様です
★バッドエンド回避に奔走していたらラスボス(魔王)に捕まりました
★時計屋の兎(ラビット)
★透明人間になったわたしと、わたしに興味がない(はずの)夫の奇妙な三か月間
★義妹がわたくしを悪役令嬢というものにしたがるので
文字数 238,666
最終更新日 2024.03.27
登録日 2024.02.08
「痛い……」異母妹ユリアに崖の上から突き落とされて瀕死の重傷を負った五歳のエレオノーラ・クラッセン伯爵令嬢は、自分の脳に走馬灯のように前世の記憶が蘇っていくのを感じた。そうだ、わたしは1000年前に聖女と勇者に殺された魔王の娘サンドリアだった。記憶を思い出すとともに、魔族にしか使えない「魔術」が使えるようになったエレオノーラは瀕死の傷を治して一命をとりとめる。
それから十二年。エレオノーラが十七歳になったとき、神殿の女神像が光ったことで各地で聖女選定がはじまる。異母妹ユリアは1000年前の聖女と同じ髪の色をしていたため自分が聖女だと信じているようだったが、選ばれたのは何とエレオノーラだった。
驚くエレオノーラ。けれども驚くのはそれだけではなかった。
エレオノーラがこれまで義母や異母姉に虐げられていたことを知っていて、何度も助けてくれた二人いる王太子候補の一人、ディートリヒが、これを機にエレオノーラを伯爵家から解放しようと考え、自分が暮らしている城の離宮へ連れていき――え⁉求婚⁉
さすがに自分を殺した勇者の末裔と結婚はできない……と思っていたら、ユリアと一緒になってエレオノーラを虐げていたユリアの婚約者ジークレヒトまでエレオノーラに求婚してきて、もう何が何だかわからない!
(っていうか、元魔王の娘が聖女とか何かの間違えじゃないの⁉)
これからいったいどうなってしまうのか。
エレオノーラを巻き込んで、王位継承をめぐる陰謀が、今はじまろうとしていた――
文字数 113,513
最終更新日 2024.01.20
登録日 2023.12.12
五歳の時に男爵である父親に引き取られたセレア。
でもそれは、父がセレアを愛していたわけでも、死んだ愛人(セレア母)に負い目があるからでもなく、セレアが聖女が持つ浄化能力を顕現させたからであった。
国に聖女は何人かいるが、最近瘴気だまりが発生しやすくなっていることもあり、聖女は領地を持つ高位貴族たちから大人気だ。
つまり、自分がのし上がるための政略結婚の道具にしたくて引き取ったのである。
義母は愛人の子であるセレアが気に入らないようで、父がいないところで殴る蹴るの暴力を加えてくる。
義母の子である異母兄は、セレアが成長するにつれていやらしい目で見るようになってきた。
…もう、こんな家にいたくない!
そんな思いを抱えながら、セレアは父に連れられてあるパーティーに参加する。父はそこで、二十も年上の好色な侯爵にセレアを紹介し、娶せようと計画しているのだ。
どうやら、セレアと引き換えに、貴族議員に推薦してもらえる約束を取り付けているらしい。それを知ったセレアは、隙を見て逃げだそうと画策する。けれどもその途中、異母兄に見つかり、茂みに連れ込まれてしまう。
「結婚がいやなら俺がかくまってやるよ」舌なめずりで言う異母兄。
絶体絶命!
セレアは異母兄から逃げようと抵抗するも、逆に怒らせて殴られて気絶してしまう。
そして次に目を覚ました時、セレアは知らない邸にいた。
なんと、あの場から助けてくれたレマディエ公爵ジルベールに連行され、セレアは彼の邸に連れて来られていたのである。
助けてくれたーーそう思ったのもつかの間、ジルベールは助けてやった礼に妻になれと迫ってくる。
逃げ出したいのに、逃げられない!これってある意味監禁ですよね!?
なんとかしてジルベールのもとから逃げ出して、自由を手にしたいのに、彼はあの手この手でセレアの逃亡を阻止してきてーー
文字数 106,612
最終更新日 2023.11.12
登録日 2023.10.06
妖精女王の逆鱗に触れた人間が妖精を見ることができなくなって久しい。
そんな中、妖精が見える「妖精に愛されし」少女エマは、仲良しの妖精アーサーとポリーとともに友人を探す旅の途中、行き倒れの青年貴族ユーインを拾う。彼は病に倒れた友人を助けるために、万能薬(パナセア)を探して旅をしているらしい。「友人のために」というユーインのことが放っておけなくなったエマは、「おいエマ、やめとけって!」というアーサーの制止を振り切り、ユーインの薬探しを手伝うことにする。昔から妖精が見えることを人から気味悪がられるエマは、ユーインにはそのことを告げなかったが、伝説の万能薬に代わる特別な妖精の秘薬があるのだ。その薬なら、ユーインの友人の病気も治せるかもしれない。エマは薬の手掛かりを持っている妖精女王に会いに行くことに決める。穏やかで優しく、そしてちょっと抜けているユーインに、次第に心惹かれていくエマ。けれども、妖精女王に会いに行った山で、ついにユーインにエマの妖精が見える体質のことを知られてしまう。
「……わたしは、妖精が見えるの」
気味悪がられることを覚悟で告げたエマに、ユーインは――
心に傷を抱える妖精が見える少女エマと、心優しくもちょっとした秘密を抱えた青年貴族ユーイン、それからにぎやかな妖精たちのラブコメディです。
文字数 122,885
最終更新日 2023.10.14
登録日 2023.09.06
エイミー・カニングは、五歳の時の顔合わせの際に王子ライオネルを驚かせて楽しませようと落とし穴に落としてしまう。それがきっかけでライオネルに嫌われてしまうも、国王夫妻は「元気でいい」と面白がられて彼の婚約者になったエイミー。
それから十一年。十六歳になったエイミーとライオネルは、貴族の子女が通うフリージア学園に入学する。
五歳の時からライオネルが大好きなエイミーは、何とか彼を振り向かせようと毎日彼を追いかけまわしていたが、少々ずれたところのある彼女の行動はライオネルを迷惑がらせるばかり。
けれども、ずっと追いかけていたらいつかわたしの気持ちは伝わるはずだと、エイミーは彼を迷惑がらせていることには一向に気がついていない。
一方、「絶対別れてやる!」とエイミーとの婚約解消を狙うライオネルは、どうすればエイミーが別れる気になるか頭を悩ませていて――
ポジティブすぎて常識のおかしいエイミーと、彼女と婚約を解消したいライオネルの追いかけっこラブコメディです。
文字数 97,589
最終更新日 2023.10.12
登録日 2023.09.08
婚約者に伯爵家を奪われ、家庭教師として勤めていた子爵家でもとある一件から追い出されたエイジェリンは、エイミーと言う偽名を使って、魔王伯爵や悪魔伯爵とささやかれる難ありなブラッド伯爵家の当主ウィリアムの部屋付きメイドとして再就職した。勤めはじめて三日目の朝、エイジェリンはウィリアムを起こしに部屋に向かう。すると、寝ぼけたウィリアムが突然抱きついてきて、硬直するエイジェリンを「ママ」と呼んで甘えだした!ウィリアムはほどなくして正気に戻ったけれど、唖然とするエイジェリンに彼が語ったことには、どうやら彼の一族は、宝石に宿った魂が体に乗り移ってしまう厄介な体質を持っているらしい。エイジェリンに抱きついたのも、彼が指にはめていたブラックダイヤモンドの指輪の霊のせいだという。
ウィリアムは何とかしてブラックダイヤモンドの霊を成仏させようとしているが、なかなかうまくいかない。ウィリアムの秘密を知ってしまったエイジェリンは、必然的に彼に協力するようになったのだけど――お願いですから「ママ」と呼んで抱きついてくるのはやめてください!
※ヒーローはマザコンではありません。
文字数 81,313
最終更新日 2022.06.11
登録日 2022.05.07
「オーレリア、兄が死んだ今、この家はわしが継ぐべきだ。そうは思わんか?」。家族を馬車の事故で失ったばかりのオーレリアの元に、叔父が来てそうのたまった。この国には女では家を継げない。このままだったら大切な家を奪われてしまう。オーレリアは絶望したが、幼なじみのラルフから結婚すればいいのではないかと言われて思い直す。そうだ、急いで結婚すればいい。そうすれば叔父に家を奪われることもないはずだ。オーレリアは考えた挙げ句、恋愛感情はないけれど昔から優しくしてくれているギルバートに求婚してみようと考える。
一方ラルフはオーレリアに片想い中で…。
文字数 72,340
最終更新日 2022.03.23
登録日 2022.02.26
「だってよく考えてみて? わたくしは強い日差しにあたるだけで気分が悪くなるほど、繊細で可憐で儚い姫なのよ。あんな野蛮な方と結婚だなんて、とてもじゃないけど無理に決まっているでしょう? その点あなたは、わたくしと違って、粗野でがさつで、まるでお山で暮らすお猿さんみたいじゃないの。山登りだってお得意でしょう? わたくしのかわりに嫁ぐのには当たり前のことだと思わなくて?」
ある日、姉プリシラが自分のところに来た縁談を押し付けに来た。プリシラは昔から妹であるセシリアを不出来だと言って笑う。見た目も中身も。プリシラは高貴で、セシリアはまるで猿のようだと。そんなプリシラは、魔王復活の巻き添えを食って滅びた祖国を再興のするために、魔王の花嫁になるように言われたらしい。けれども「野蛮な」魔王との縁談は高貴な自分には似つかわしくないと姉は言う。セシリアはプリシラのかわりに魔王との縁談を進めようとするが、ーーえ?嫁ぐって、魔王には話を通してないの? え?魔王に会うために自分の足で山を登って会いに行け?
いろいろ思うところはあるけれど、祖国再興を目標に、魔王の押し掛け女房になるためにセシリアは現在魔王国となった祖国に向けて出発するが…。
※中編くらいの長さになる予定です。
文字数 25,226
最終更新日 2021.06.26
登録日 2021.06.15
――魔女になるから探さないでください。殿下にごめんねって言っておいてね。ばぁーい、イリア♡
ある日突然手紙を残して失踪した公爵令嬢イリア。彼女は、ある決意を胸に、魔女のもとに向かっていた。イリアは一度、この世界に生を受けたことがある。その世界で、イリアは愛する夫と子供たちを目の前で殺された。絶望し、慟哭をあげ、刺し違えてでも仇を打ってやろうと、恨み言を言う彼女の前に現れたのは一人の魔女。そして、イリアは魔女の気まぐれで過去をやり直す薬を渡された。もう絶対にあの未来は迎えない。今度こそ愛する人を守ってみせる。過去に戻ったイリアは未来を変えるべく、魔女のもとへ急ぐ――
文字数 80,786
最終更新日 2021.03.28
登録日 2020.01.04
※三話目完結しました。
親友に婚約者を奪われ、領地で静かに暮らしていたシャーロットはある日、国王に呼び出されて城に向かった。ーーえ?第三王子の教育係?第三王子って筋トレにしか興味ないバカ王子ですよね!?報酬につられてうっかり教育係を引き受けたシャーロット。けれども王子はまったく学ぶ気がなくて、シャーロットを無視して筋トレばかり!でもシャーロットだって諦められない。なぜなら、婚約者に捨てられたシャーロットには、都会から離れて、一人、田舎に小さな一軒家を買って大好きな本を好きなだけ読んで生活するという野望があるのだ。その夢をかなえるためには筋肉バカ王子に何とか勉強させて、国王から報酬を受け取る必要があるのである。それだというのに毎日筋トレばかりの王子に、シャーロットの存在を面白く思わない侯爵令嬢まで出てきて……。
文字数 78,219
最終更新日 2020.11.16
登録日 2020.08.06
「俺はお前のように不細工でとろくて使えない女と結婚する気は毛頭ない。今ここで、お前との婚約は破棄することにした。かわりにお前の妹と結婚する。わかったら、無意味な花嫁修業などしていないで、さっさと城から出て行け」
18才の誕生日の日、エレノアは婚約者であったクライヴ王子にごみを見るような目で蔑まれて捨てられた。クライヴはエレノアの異母妹と結婚するらしい。もともと家族の中にも居場所はなく、つらくあたられていたエレノアだったが、王子の婚約者ではなくなったら価値のない人間だと、山の中に捨てられる。身一つで山の中に放り出されたエレノアは、生きる方法もわからず、失意のあまり入水自殺を計ろうとするがーー
※第三部完結いたしました。第四部はチューロン編になる予定ですが、少しお時間をいただきますm(_ _)m
文字数 227,418
最終更新日 2020.09.01
登録日 2020.04.28
五年前に父である伯爵を亡くしてから、カレンは継母と彼女の連れ子である二人の姉と暮らしていた。三人はカレンにとても優しいが、節約という言葉を知らない浪費家三人のおかげで家計はいつも火の車!
ある日、女嫌いで有名な第一王子が出席するダンスパーティーが城で開かれるという話を聞く。王子にまったく興味のないカレンだったが、王子とダンスを踊ることができれば金貨五十枚という賞金が手に入ると知る。
「金貨がいっちまーい!にまーい!うふふふふ、王子とダンスで五十まーい♪」
すっかり金貨に目が眩んだカレンは、舞踏会に参加して、なんとしてでも王子とダンスを躍り賞金を手にいれようと考える。
一方王子リチャードは、ある特異体質のせいで悩んでいて…。
恋愛よりお金が大好き!守銭奴没落伯爵令嬢と女性嫌いな特異体質王子とのラブコメ&ファンタジーです。
文字数 60,954
最終更新日 2020.07.24
登録日 2020.04.26
【水・土曜日更新】パン屋の一人娘であるエリザベスが修道院から呼び戻されると、そこには父親が勝手に決めた結婚相手がいた。エリザベスの母は伯爵令嬢だったが、どうやらエリザベスの産む子供にその伯爵家の継承権があるらしい。はあ?ふざけんじゃないわよ!誰よこいつ!? 突然現れた求婚者なんてお断りだと追い返すが、とあることから、求婚者レオナードと一緒に暮らすことになり…。
文字数 71,364
最終更新日 2020.06.13
登録日 2019.12.31