悪役令嬢は断罪回避のためにお兄様と契約結婚をすることにしました

☆おしらせ☆
8/25の週から更新頻度を変更し、週に2回程度の更新ペースになります。どうぞよろしくお願いいたします。

☆あらすじ☆
 わたし、マリア・アラトルソワは、乙女ゲーム「ブルーメ」の中の悪役令嬢である。

 十七歳の春。
 前世の記憶を思い出し、その事実に気が付いたわたしは焦った。
 乙女ゲームの悪役令嬢マリアは、すべての攻略対象のルートにおいて、ヒロインの恋路を邪魔する役割として登場する。
 わたしの活躍(?)によって、ヒロインと攻略対象は愛を深め合うのだ。
 そんな陰の立役者(?)であるわたしは、どの攻略対象ルートでも悲しいほどあっけなく断罪されて、国外追放されたり修道院送りにされたりする。一番ひどいのはこの国の第一王子ルートで、刺客を使ってヒロインを殺そうとしたわたしを、第一王子が正当防衛とばかりに斬り殺すというものだ。

 ピンチだわ。人生どころか前世の人生も含めた中での最大のピンチ‼

 このままではまずいと、わたしはあまり賢くない頭をフル回転させて考えた。
 まだゲームははじまっていない。ゲームのはじまりは来年の春だ。つまり一年あるが…はっきり言おう、去年の一年間で、もうすでにいろいろやらかしていた。このままでは悪役令嬢まっしぐらだ。

 うぐぐぐぐ……。
 この状況を打破するためには、どうすればいいのか。
 一生懸命考えたわたしは、そこでピコンと名案ならぬ迷案を思いついた。

 悪役令嬢は、当て馬である。
 ヒロインの恋のライバルだ。
 では、物理的にヒロインのライバルになり得ない立場になっておけば、わたしは晴れて当て馬的な役割からは解放され、悪役令嬢にはならないのではあるまいか!

 そしておバカなわたしは、ここで一つ、大きな間違いを犯す。
 「おほほほほほほ~」と高笑いをしながらわたしが向かった先は、お兄様の部屋。
 お兄様は、実はわたしの従兄で、本当の兄ではない。
 そこに目を付けたわたしは、何も考えずにこう宣った。

 「お兄様、わたしと(契約)結婚してくださいませ‼」

 このときわたしは、失念していたのだ。
 そう、お兄様が、この上なく厄介で意地悪で、それでいて粘着質な男だったと言うことを‼

 そして、わたしを嫌っていたはずの攻略対象たちの様子も、なにやら変わってきてーー

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