水垣するめ

水垣するめ

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恋愛 完結 長編 R15
「あなたを愛することはありません」 ──私の婚約者であるノエル・ネイジュ公爵は婚約を結んだ途端そう言った。 リナリア・マリヤックは伯爵家に生まれた。 しかしリナリアが10歳の頃母が亡くなり、父のドニールが愛人のカトリーヌとその子供のローラを屋敷に迎えてからリナリアは冷遇されるようになった。 リナリアは屋敷でまるで奴隷のように働かされることとなった。 屋敷からは追い出され、屋敷の外に建っているボロボロの小屋で生活をさせられ、食事は1日に1度だけだった。 しかしリナリアはそれに耐え続け、7年が経った。 ある日マリヤック家に対して婚約の打診が来た。 それはネイジュ公爵家からのものだった。 しかしネイジュ公爵家には一番最初に婚約した女性を必ず婚約破棄する、という習慣があり一番最初の婚約者は『生贄』と呼ばれていた。 当然ローラは嫌がり、リナリアを代わりに婚約させる。 そしてリナリアは見た目だけは美しい公爵の元へと行くことになる。 名前はノエル・ネイジュ。金髪碧眼の美しい青年だった。 公爵は「あなたのことを愛することはありません」と宣言するのだが、リナリアと接しているうちに徐々に溺愛されるようになり……? ※「小説家になろう」でも掲載しています。
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小説 9,156 位 / 192,645件 恋愛 4,380 位 / 57,795件
文字数 200,482 最終更新日 2023.03.09 登録日 2023.01.29
恋愛 連載中 短編
主人公、伯爵家のエリカ・オーブリーは伯爵令息のサミエル・ドワーズと婚約していた。 婚約した十歳の頃、サミエルの性格は優しく、それに加えて頭も良かった。 そしてサミエルは学園に入ると伯爵家としては異例の、生徒会役員として王子の側近に加えられることとなった。 しかし側近になった途端、サミエルは豹変した。 「自分は選ばれた人間だ」と自画自賛をし、反対に「お前はノロマだ」とエリカを馬鹿にした。 日に日にサミエルの暴挙はヒートアップしていき、ついには生徒会の仕事を全て主人公に任せるようになった。 当然、エリカは最初は断った。 しかしサミエルの評判が悪くなるとエリカのオーブリー家まで被害を被るので我慢して仕事をするしか無かった。 エリカはずっとサミエルの仕打ちに耐え続けた。 だが、ある日サミエルはエリカに婚約破棄を突きつける。 婚約破棄を突きつけられたエリカは完全にサミエルを見放すことにし、サミエルの仕事も全て手伝わないことにした。 そしえエリカに完全に仕事を任せきっていたサミエルは破滅の道を歩んでいくことになる……。
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小説 3,494 位 / 192,645件 恋愛 1,865 位 / 57,795件
文字数 14,234 最終更新日 2022.11.30 登録日 2022.11.14
恋愛 完結 短編
公爵令嬢のローズ・ブライトはレイ・ブラウン王子と婚約していた。 婚約していた当初は仲が良かった。 しかし年月を重ねるに連れ、会う時間が少なくなり、パーティー会場でしか顔を合わさないようになった。 そして学園に上がると、レイはとある男爵令嬢に恋心を抱くようになった。 これまでレイのために厳しい王妃教育に耐えていたのに裏切られたローズはレイへの恋心も冷めた。 そして留学を決意する。 しかし帰ってきた瞬間、レイはローズに婚約破棄を叩きつけた。 「ローズ・ブライト! ナタリーを虐めた罪でお前との婚約を破棄する!」 えっと、先日まで留学していたのに、どうやってその方を虐めるんですか?
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小説 5,603 位 / 192,645件 恋愛 2,773 位 / 57,795件
文字数 14,630 最終更新日 2022.11.18 登録日 2022.09.26
恋愛 完結 短編
ここはセントリア学園。 貴族から平民まで、様々な身分の人間が通う学園。 その中でもカーストのトップに位置しているマーガレット・エドワーズ公爵令嬢の取り巻きBをしているごく普通な私は。 ──推しを見つけた。 主人公エマ・ホワイトは公爵令嬢のマーガレットの取り巻きをしていた。 マーガレットは王子であるルークと婚約していたが、ルークは同じ公爵令嬢のクレア・アワードに好意を寄せていた。 エマはマーガレットの取り巻きとして暮らす毎日を送っていた。 しかしある日、マーガレットの恋敵であるクレアの秘密を知ってしまう。 それは『美少女として知られるクレアが実は女装した男性である』というものだった。 秘密を知られたクレアはエマと共に行動するようになり…? ※「小説家になろう」でも先行掲載しています。
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小説 9,156 位 / 192,645件 恋愛 4,380 位 / 57,795件
文字数 116,347 最終更新日 2022.11.04 登録日 2022.10.20
恋愛 連載中 短編
主人公、公爵令嬢のエリナ・ファインズは婚約者のマックス・クロフトに冤罪をかけられる。 それは『エリナが男爵令嬢のセシル・ブルースを虐めている』というものだった。 しかし真実は違う。 セシルがエリナに『王子がアプローチをしてくるのを止めさせて欲しい』と相談しに来ていただけだった。 セシルはマックスの熱烈なアプローチに嫌気が差していたのだ。 しかしマックスはそれをエリナがセシルを自分から遠ざけようとしているのだと勘違いした。 マックスはエリナを糾弾する。 そして人格まで罵倒し始めた。 「勘違いで冤罪を着せたくせに今さら申し訳ない、ですか? もう遅いです」
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文字数 12,721 最終更新日 2022.10.01 登録日 2022.09.16
恋愛 完結 短編
主人公、公爵令嬢のレイラ・マキロイには婚約者がいた。 第一王子のノーマン・ブラウンだ。 レイラはノーマンに相応しい女性になるために幼少期から厳しい教育を受けてきた。 自由な時間を捧げてノーマンに尽してきたのだ。 しかし、学園が主催するパーティーにて、 「レイラ・マキロイ!お前との婚約は破棄する!」 とノーマンが突然婚約破棄を叩きつけてきた。 理由を聞くと、「真実の愛を見つけたから」だった。 ノーマンは真実の愛の愛のために、レイラのことを使い捨てるように婚約破棄したのだった。 レイラ自身には何も非はないのに公衆の面前で婚約破棄を叩きつけられ、貶められ、見世物にされたレイラは、ノーマンに復讐を誓う。 「なるほど。真実の愛を見つけたから婚約破棄ですか。なら、慰謝料は払ってくださいね?」
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小説 11,258 位 / 192,645件 恋愛 5,439 位 / 57,795件
文字数 16,277 最終更新日 2022.09.19 登録日 2022.08.27
恋愛 完結 短編
主人公サラ・ゴーマン公爵令嬢は第一王子のマイケル・フェネルと婚約していた。 しかしある日突然、サラはマイケルから婚約破棄される。 マイケルの隣には男爵家のララがくっついていて、「サラに脅された!」とマイケルに訴えていた。 当然冤罪だった。 以前ララに対して「あまり婚約しているマイケルに近づくのはやめたほうがいい」と忠告したのを、ララは「脅された!」と改変していた。 証拠は無い。 しかしマイケルはララの言葉を信じた。 マイケルは学園でサラを罪人として晒しあげる。 そしてサラの言い分を聞かずに一方的に婚約破棄を宣言した。 もちろん、ララの言い分は全て嘘だったため、後に冤罪が発覚することになりマイケルは周囲から非難される……。
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小説 8,821 位 / 192,645件 恋愛 4,241 位 / 57,795件
文字数 17,846 最終更新日 2022.08.30 登録日 2022.08.09
恋愛 完結 短編
主人公伯爵家のメアリー・キングスレーは公爵家長男のロビン・ウィンターと婚約していた。 メアリーは幼い頃から公爵のロビンと釣り合うように厳しい教育を受けていた。 そして学園に通い始めてからもロビンのために、生徒会の仕事を請け負い、尽していた。 しかしある日突然、ロビンは平民の女性を連れてきて「彼女を正妻にする!」と宣言した。 そしえメアリーには「お前は妾にする」と言ってきて…。 メアリーはロビンに失望し、婚約破棄をする。 婚約破棄は面子に関わるとロビンは引き留めようとしたが、メアリーは婚約破棄を押し通す。 そしてその後、ロビンのメアリーに対する仕打ちを知った王子や、周囲の貴族はロビンを責め始める…。 ※小説家になろうでも掲載しています。
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小説 3,557 位 / 192,645件 恋愛 1,895 位 / 57,795件
文字数 24,380 最終更新日 2022.08.17 登録日 2022.07.18
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主人公伯爵家のアンナ・ブラッドは公爵家のアイク・ブルックと政略結婚していた。 婚約した当初、アンナとアイクの仲は良かった。 愛を囁き、二人で支え合っていこう、と約束した程だった。 しかしアイクは結婚した途端豹変した。 初夜にアンナを突き放してから、アンナを冷遇し始めた。 本当はカーラ・ウェスト男爵令嬢に想いを寄せていたからだ。 今までのアイクは全て政略結婚のための演技だった。 妻ではなく、ただの政略結婚の道具として扱われる毎日。 アンナはついにアイクと離婚する決意をする。
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小説 14,383 位 / 192,645件 恋愛 6,863 位 / 57,795件
文字数 4,662 最終更新日 2022.08.02 登録日 2022.07.28
恋愛 完結 短編 R15
お互い望まぬ政略結婚だった。 主人公エミリアは貴族の義務として割り切っていた。 しかし、アルバート王にはすでに想いを寄せる女性がいた。 そしてアルバートはエミリアを虐げ始めた。 無実のエミリアを虐げることを、周りの貴族はどう捉えるかは考えずに。 気づいた時にはもう手遅れだった。 アルバートは王の座から退かざるを得なくなり──。
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小説 9,156 位 / 192,645件 恋愛 4,380 位 / 57,795件
文字数 11,548 最終更新日 2022.07.25 登録日 2022.07.09
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伯爵令嬢のマーガレット・ルイスは侯爵家のクリス・マーシャルと婚約していた。 しかし学園のパーティーで突然クリスは婚約破棄を叩きつける。 理由は「真実の愛を見つけたから」 マーガレットは呆れながらも婚約者として、善意から男爵家の令嬢と付き合うのはやめたほうがいい、と忠告した。 明らかに身を滅ぼす恋だったからだ。 しかし浮気相手を罵倒されたクリスはマーガレットに激高した。 マーガレットの頬を叩きつけ、激しい罵倒を浴びせる。 善意を悪意で返され、マーガレットはついにクリスに愛想を尽かす。 婚約者として今まで我慢してきたので、もう我慢しなくてもいいですよね?
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小説 14,383 位 / 192,645件 恋愛 6,863 位 / 57,795件
文字数 4,844 最終更新日 2022.07.19 登録日 2022.07.13
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それは突然だった。 「アメリア・イングランド。お前との婚約は破棄する。もう決めたことなんだ」 アメリアの婚約者であるサイモン・エヴァンスはパーティー会場にて、いきなりアメリアへ婚約破棄を申し付けてきた。 隣に見知らぬ女性を連れて。 当然、アメリアは拒否した。 しかしサイモンはアメリアに許しを乞うために土下座までし始めた。 しかし、王妃の準備に今までの人生をかけていたアメリアは婚約破棄を受け入れられなかった。 全てを捧げてきた物を何の努力もしていない人間に盗まれるのは、我慢ならないのは当然だ。 だが、それを見ていた周囲の人物はアメリアへと物を投げ、罵声を浴びせ始めた。 「なぜそんな事が言えるんだ!」 「このクズが!」 それを利用し、サイモンはアメリアを悪者へと無自覚に仕立て上げる。 誹謗中傷。 肉体的な暴力。 全ての悪意がアメリアへ向いていく。 サイモンは悪気もなく一緒になってアメリアを責め立てる。 なぜ今まで頑張ってきた私が真実の愛を邪魔する悪者になるのですか?
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小説 13,455 位 / 192,645件 恋愛 6,416 位 / 57,795件
文字数 18,479 最終更新日 2022.07.08 登録日 2022.05.21
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主人公、リズ・シモン伯爵令嬢はユークリッド王国の聖女だった。 シモン伯爵家は代々聖女を排出する家系であり、リズも聖女になってからは国のために尽してきた。 しかし── 「リズ・シモン! お前との婚約を破棄する!」 婚約していたセルジュ・ユークリッド王子は『下級貴族のリズは婚約者に相応しくない』と婚約を破棄する。 リズは聖女として笑顔でそれを受け入れた。 「一回目」 そして次に、国王はリズを聖女の座から下ろし、聖女へ別の人物を据え、変わらずリズを酷使しようとした。王族が聖女の力を得るためだった。 しかし、リズは国を守れるなら構わない、とそれを笑顔で了承した。 「二回目」 最後に国王は数年前に亡くなったリズの両親は自分が聖女の力を得るために殺したのだと説明し、リズを冤罪にかけ処刑しようとした。 「三回目」 度重なる裏切りに対してリズはついに愛想を尽かした。 そしてリズはユークリッド王国を出ていった。 すると王国では異変が次々と生じるようになり……? 国王は知る。 なぜリズが聖女の座についていたのか。 そして聖女がユークリッド王国にとってどれほど大切な存在だったかを。 しかし時すでに遅し。 国が滅亡の危機に瀕しても、リズは隣国で聖女として暮らしているので、もう戻らない。 「聖女の笑顔も三度までです」
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文字数 3,140 最終更新日 2022.07.08 登録日 2022.07.07
主人公、伯爵家のアン・ウィルトンは伯爵家のジョン・クラークと政略結婚をしていた。 しかし、結婚してから一年がたったある日、ジョンは「離婚してくれ」とアンに切り出してきた。 理由を尋ねると「他に愛するができたから」 アンは呆れてため息をついた。 政略結婚なのに離婚をすると家同士の関係は悪化するし、約定も全て破綻してしまう。 ジョンはそれなのに一時の感情を優先し、アンへ離婚を迫った。 アンは呆れて「もういいか」とジョンとの離婚を承諾する。 結婚生活を続けてもこれ以上ジョンと上手くやっていけないと思ったからだ。 「本当はありがとう、アン!」 「いえ、あなたたちの幸福をお祈りしています」 ジョンは飛び上がるほどに喜び、アンは作り笑いでそれに対応した。 「では、私はもう行きますので」 しかしアンが部屋から出ていこうとしたその時、 「ああ、慰謝料は後で請求するよ」 とジョンが言ってきた。 アンは理解できなかった。 アンが慰謝料を払う?意味がわからない。 離婚を切り出したのはジョンだ。 「わ、私が慰謝料を払うんですか?」 するとジョンは当然のように頷いた。 「ああ、そうだ。だって君は女だろう? 慰謝料を払うのは当然じゃないか」 ジョンは慰謝料を貰えると錯覚していた。 加えてジョンはアンの持つ資産や屋敷までも相続できると考えていることが分かった。 離婚を突きつけられたうえにあまりにも虚仮にされて、アンはジョンへ復讐することを決意する……。
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文字数 8,984 最終更新日 2022.07.07 登録日 2022.06.24
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私の名前はサラ・ウィルキンソン。伯爵令嬢だ。 私には両親と二人の兄がいる。 家族四人の仲はとても良かった。 しかし四人とも、私のことを嫌っていた。 ある日のこと。 私はいつも通り部屋で用事をこなしていた。 すると突然、部屋の扉が開かれた。 そして家族四人がゾロゾロと部屋へ入ってくる。 「サラ、無能なお前を家から追放する」 「……は?」 私は何を言われたのか分からなかった。 何故私が追放されなければならないのだろう。 「お前のような穀潰しは家に置くだけでも気分が悪くなるからな。害虫駆除だ、さっさと出ていけ」 「……本当にいいんですね?」  私はため息を吐きながら確認した。 「もちろん。お前なんかいても邪魔なだけだからな」  ジェームズがその太った腹をさすりながら答える。 私はそこで、完全にこの家族を見捨てることにした。 「そうですか。それでは私は失礼します」 私は椅子から立ち上がり、颯爽と部屋から出ていった。 四人はあっさりとしたその様子に唖然としていた。 もしかして私が醜く「追い出さないで!」と懇願すると思ったのだろうか。 まさか。 そんなことをする訳がない。 なぜなら。 私はこの家の財産。 当主の座。 土地。 商会。 その全てを所有しているからだ。 「私を追い出すなら、覚悟しておいてくださいね?」
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文字数 2,810 最終更新日 2022.05.20 登録日 2022.05.19
「ノエル・セラフィン! お前との婚約を破棄する!」 パーティー会場に大声が響きわたった。 今まで歓談していた生徒たちの声はピタリと止み、声の方向と私へ視線が一斉に向いた。 現在は学園のパーティーの最中だ。 しかしさっきまでの楽しげな雰囲気は跡形も無くなっている。 私はそれを引き起こした原因である、目の前に立っている人物へ質問した。 「クロード・ルグラン王太子、一体これはどういうことですか……?」 目の前の人物は王太子だった。 そして、私はその王太子と婚約している公爵令嬢だ。 クロードは眦を吊り上げ、私を罵倒した。 「どうもこうもあるかこの売女が! 貴様! 俺という婚約者がいながら不貞をはたらいていただろう!」 クロードは口からつばを飛ばし私を怒鳴りつける。 もちろん冤罪だ。 私が不貞をはたらいていたことなどない。 しかしクロードは平民の男を連れてきて、浮気していたと嘘の証言をさせた。 そしてクロードは言った。 「今、ここで靴を舐めろ。そうしたら不貞のことは許してやる」
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文字数 4,075 最終更新日 2022.05.15 登録日 2022.05.08
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 この世界の貴族は魔法を重視する。  魔法がどれだけ洗練されているか。  魔法を使うのに重要な魔力をどれだけ持っているか。  それが貴族における重要な価値判断の一つとなる。  そして私、男爵家のエルザ・フランスは誰よりも保有する魔力が多かった。  常人の約百倍。  それは国の中でも五本の指に入るほどの魔力量だった。  両親に私に大層期待して、甘やかしてくれた。  あれが欲しい、と言えば何でも買ってくれた程だ。  そしてその魔力量の多さは、フランス男爵家に大きな幸運をもたらした。  公爵家から縁談が来たのだ。  両親は即刻頷き、私は公爵家のジャン・ブルボンと婚約することになった。  両親は喜んだ。  これで公爵家とのパイプができて、かつ上流貴族にもなることができる、と。  私は誇らしかった。  自分がこれほどまでに両親の役に立っていることが。  そんな幸せの歯車が狂ったのは私が魔法を習い始めた、十二歳の頃だった。  私は魔法が全く使えなかったのだ。  どの属性にも適正は無く、唯一使えたのは治癒魔法だけ。  両親は「魔法は使えるまで一年はかかる」と励ましてくれたが、治癒魔法だけしか使えずニ年が過ぎた頃から、両親の態度が変化し始めた。  そしてジャンに「無能とは婚約できない」と婚約を破棄されたことから、両親にも完全に見捨てられ、家から追い出されることとなる。  しかし私には治癒魔法の才能があったようで……?
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 その衝撃的な場面を見たのは、何気ない日の夕方だった。  空は赤く染まって、街の建物を照らしていた。  私は実家の伯爵家からの呼び出しを受けて、その帰路についている時だった。  街中を、私の夫であるアイクが歩いていた。  見知った女性と一緒に。  私の友人である、男爵家ジェーン・バーカーと。 「え?」  思わず私は声をあげた。  なぜ二人が一緒に歩いているのだろう。  二人に接点は無いはずだ。  会ったのだって、私がジェーンをお茶会で家に呼んだ時に、一度顔を合わせただけだ。  それが、何故?  ジェーンと歩くアイクは、どこかいつもよりも楽しげな表情を浮かべてながら、ジェーンと言葉を交わしていた。  結婚してから一年経って、次第に見なくなった顔だ。  私の胸の内に不安が湧いてくる。 (駄目よ。簡単に夫を疑うなんて。きっと二人はいつの間にか友人になっただけ──)  その瞬間。  二人は手を繋いで。  キスをした。 「──」  言葉にならない声が漏れた。  胸の中の不安は確かな形となって、目の前に現れた。  ──アイクは浮気していた。
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