許してくれ?自分がしたことをまだ理解していないようですね。


「ノエル・セラフィン! お前との婚約を破棄する!」

パーティー会場に大声が響きわたった。
今まで歓談していた生徒たちの声はピタリと止み、声の方向と私へ視線が一斉に向いた。

現在は学園のパーティーの最中だ。

しかしさっきまでの楽しげな雰囲気は跡形も無くなっている。
私はそれを引き起こした原因である、目の前に立っている人物へ質問した。

「クロード・ルグラン王太子、一体これはどういうことですか……?」

目の前の人物は王太子だった。
そして、私はその王太子と婚約している公爵令嬢だ。

クロードは眦を吊り上げ、私を罵倒した。

「どうもこうもあるかこの売女が! 貴様! 俺という婚約者がいながら不貞をはたらいていただろう!」

クロードは口からつばを飛ばし私を怒鳴りつける。

もちろん冤罪だ。
私が不貞をはたらいていたことなどない。

しかしクロードは平民の男を連れてきて、浮気していたと嘘の証言をさせた。

そしてクロードは言った。

「今、ここで靴を舐めろ。そうしたら不貞のことは許してやる」
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