第2回きずな児童書大賞

第2回きずな児童書大賞

選考概要

全680作品が集まった第2回きずな児童書大賞。少年少女の恋愛や成長といった身近なテーマから、現実を飛び出した心躍る冒険譚まで、幅広いテーマの作品が集まり、選考にも熱が入った。

一次選考を通過したのは39作品。その中で、大賞候補として「わたしの婚約者は学園の王子さま!」「天神様の御用人 ~心霊スポット連絡帳~」「放課後の秘密~放課後変身部の活動記録~」「悪魔さまの言うとおり~わたし、執事になります⁉︎~」「一心君は、人狼です!」「抜けがけ禁止×王子たちの溺愛争奪戦」「あやかし達の送り屋をやっています! 〜正反対な狐のあやかし双子との出会い〜」「化け猫ミッケと黒い天使」の8作品が残った。

いずれの作品も魅力的な設定を活かした物語だったが、あと一歩決め手に欠け、残念ながら大賞の該当作はなしとし、それぞれの作品を以下のテーマ別賞に選出した。
学校を舞台として、理想と現実の自分のギャップに悩む中学生たちの友情を描いた「放課後の秘密~放課後変身部の活動記録~」を相応しいテーマ別賞がなかったことから「学園部活賞」を新設して授与、さらに、学校の人気者との甘い恋愛を描いた「わたしの婚約者は学園の王子さま!」「抜けがけ禁止×王子たちの溺愛争奪戦」の2作品を「学園恋愛賞」に選出した。
心霊スポットでのスリリングな戦いを描いた「天神様の御用人 ~心霊スポット連絡帳~」を「サバイバル・ホラー賞」、謎に溢れた怪奇現象を解決する「化け猫ミッケと黒い天使」を「謎解きユニーク探偵賞」、ファンタジックな世界観とキャラクターたちの軽快なやり取りが魅力的な「悪魔さまの言うとおり~わたし、執事になります⁉︎~」「一心君は、人狼です!」「あやかし達の送り屋をやっています! 〜正反対な狐のあやかし双子との出会い〜」の3作品を「ファンタジー賞」とした。
また、一次選考通過作品のうち、惜しくも受賞に至らなかった作品を奨励賞とした。


「放課後の秘密~放課後変身部の活動記録~」
は、真面目な学級委員長の主人公が放課後変身部と出会って変わっていく学園青春ストーリー。なりたい自分、ありのままの自分を肯定するメッセージ性のある作品だった。

「わたしの婚約者は学園の王子さま!」
は、実は学園の王子様の婚約者である主人公が、すれ違いや魅力的なライバルに悩むラブコメディ。彼と自分の学園内格差に苦しむ主人公の心情がよく描かれていた。

「抜けがけ禁止×王子たちの溺愛争奪戦」
は、ひょんなことから4人のイケメンとエレベーターに閉じ込められた主人公が皆から愛されるようになる甘い恋物語。昨今の児童書のニーズを抑えている点が評価された。

「天神様の御用人 ~心霊スポット連絡帳~」
は、天神様の御用人に選ばれた主人公が神社に住む同級生と過保護な義兄の三人で心霊スポットに挑むホラー作品。時間制限がもたらす程よい緊張感が魅力だった。

「化け猫ミッケと黒い天使」
は、怪奇現象を解決していく主人公たちの奮闘を、化け猫のミッケの視点を通して追う冒険譚。随所に謎がちりばめられ、主人公たちがユーモアのある会話を交えて解き明かしていく様が鮮やかだった。

「悪魔さまの言うとおり~わたし、執事になります⁉︎~」
は、悪魔の学校に唯一の人間、しかも男装執事として通う主人公のドタバタ奮闘劇。学園ファンタジーらしく、個性豊かな同級生や魅力的な魔法の描写が楽しい作品だった。

「一心君は、人狼です!」
は、人狼のいる世界における、心優しいヒロインと訳あり人狼ヒーローの交流の物語。よく描き込まれたサブキャラクターや、お腹の空いてくる料理の丁寧な表現に評価が集まった。

「あやかし達の送り屋をやっています! 〜正反対な狐のあやかし双子との出会い〜」
は、双子のイケメン狐兄弟と一緒にあやかしを隠世に送り返す、王道のあやかしファンタジー作品。連作短編を通して主人公の成長を描く構成力が光っていた。


今年はオリジナリティのある魅力的な設定の作品が多く集まった一方で、物語の起伏に富んだ、突き抜けた印象を与える作品が少なかった。この点は、告知の工夫も含めて課題とし、次回以降の応募作品に期待したい。

開催概要はこちら
応募総数 680作品 開催期間 2024年08月01日〜末日

なし


編集部より

ポイント最上位作品として“読者賞”に決定いたしました。特筆した能力は無いながらも、前世の記憶を活かしてレシピを開発したり、家族に溺愛されてゆるゆると過ごしたりする主人公の様子が楽しく描かれていました。主人公とそれぞれキャラが立った登場人物たちとのテンポのよい掛け合いも読者を引きつけたのではないでしょうか。


編集部より

本心を隠して学校生活を送る主人公たちそれぞれの苦悩や葛藤がリアリティたっぷりに描かれ、互いに手を取り合い乗り越えていく姿に心打たれました。読者の背中をそっと押してくれる作品だと思います。


編集部より

学園の王子様と婚約者の立場にある主人公が、恋愛や周囲とのぶつかり合いの中で悩みながらも成長していく様は、読んでいて応援したくなります。等身大の女子中学生の心情描写が素敵な作品でした。


編集部より

4人のヒーローたちがみな個性豊かで、主人公の「運命の人」が誰なのか、先が気になる魅力的なキャラクターに仕上がっていると思います。恋のドキドキ要素がてんこ盛りの、きゅんとする作品でした。


編集部より

天神様の御用人として人形を回収していく展開、一時間以内に出ないと具合が悪くなる心霊スポットというスリルのある設定がユニークでした。キャラクターがそれぞれ魅力的で、主人公との会話が読んでいて楽しかったです。


編集部より

化け猫ミッケの視点から描かれる構成がオリジナリティにあふれた作品でした。ダークな雰囲気がありつつも子供達の活き活きとしたやりとりの描写が可愛らしく、最後まで読ませる力がありました。


編集部より

主人公が悪魔のお嬢さま学校に男装の執事の姿で通うことになるという設定が面白い作品です。自分の外見と内面のギャップに悩む主人公が、悪魔たちとの学園生活を通して成長していく様子が巧みに描かれていました。


編集部より

人狼と共に楽しく暮らせることを願う心優しい主人公と、ツンデレなヒーローの心温まる交流が丁寧に描かれた秀作でした。二人を取り巻くサブキャラたちも皆魅力的で、独特の世界観に引き込まれました。


編集部より

あやかしが見えることで孤独になりそうだった主人公の心の葛藤がよく描かれていました。イケメン双子とキュートなあやかしたちとの交流を通して成長してゆく主人公を応援したくなる作品でした。

※受賞作については大賞ランキングの最終順位を追記しております。

奨励賞

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