カペルマイスター ～宮廷楽長アントーニオ・サリエーリの苦悩～

サリエーリはモーツァルトの才能に嫉妬した。
サリエーリはモーツァルトの楽曲を盗作した。
サリエーリはモーツァルトを毒殺した。
どれも、何の証拠もない悪意ある風説でした。
サリエーリの没年前後、ヨーロッパ中で語られたこの噂は、後年発表される彼等を題材にした戯曲によって、あたかも真実であるかのように世界に広まってしまったのですが、近年ではサリエーリの再評価の流れも生まれております。

これはサリエーリとモーツァルトの関係を、いくらかの事実を基にして筆者が大いに脚色を加えた、完全なフィクションの物語です。決して史実ではないという事をどうかご了承下さい。
物語の都合上、モーツァルトとの交流がかなり多くなります。

モーツァルトの独白に始まり、
第一幕　若き宮廷室内作曲家の誕生
第二幕　かつて神童と呼ばれた男
第三幕　苦悩の日々と友の急死
第四幕　彼の後悔と突然囁かれる噂
という内容でお送りします。