小説一覧
大手薬品グループ傘下の動物用医療器株式会社は、搾乳牛と競走馬の育成に関わる医療器材や医薬品の開発製造販売の会社である。
畜産動物、特に牛馬に興味のあった由井秀一には高校時代からの夢があった。
夢を叶えるために大学では獣医科を選び、動物用医療器株式会社に就職すると、脇目も振らず酪農家や競走馬育成農場などを訪問し仕事に取り組んでいた。
同期の中でも早い管理職昇進だったが、特に望んだことではなく、喜びもなかった。
由井秀一にとっては、出世に興味はなく、好きな仕事ができれば、それでよかった。
父の友人に薦められた結婚は数か月で破綻した。離婚は、社内に予想外の噂の種を作った。
人事課は東京本社から大阪支店への転勤辞令を秀一に出した。秀一が噂を気にせずに仕事に専念できるようにと、総務部人事に上司の働き掛けがあったからである。
将来を嘱望され、部下や上司からの人望も厚く、離婚歴があるとはいえ、独身課長の秀一に接近する女性はいた。
離婚経験は少なからず結婚観や女性観に影響を及ぼし、都会の女性は自分には相応しくないと秀一は思い始めていた……。
秀作は部下の若い男女の恋愛に関わるが、自分自身は恋愛も結婚も、暫くは縁のないものとして考えていた。
そんなとき、故郷の親友、岡谷健吾から、秀一を慕っている妹の有希が、今でもロックバンド『THE POLICE』の『EVERY BREATH YOU TAKE』を聴いていると聞かされる。
高校時代に校内のバンドコンテストに参加するため、健吾の家の牧場の納屋で練習をしていた曲だった。
男性から女性に対する思いを吐露する楽曲の、日本語の曲名は『見つめていたい』である。
有希が曲の内容とは違う、『見つめられる』側の立場で聴いていたと思うと、秀一の思いは複雑だった。
純朴で物静かな有希の、自分への想いに応えるために、故郷に戻って、夢だった獣医師になりたいと考えるようになる。
幼い頃から無口で大人しかった有希は、秀一の傍で遊んでいた頃から、大人の女性に成長した今も、秀一を慕っていることを誰にも話してはいなかった。
想いを口に出して伝えられない有希は、言葉に代えて想いを伝えようとしていた。
秀一は故郷にいる妹から、有希のスケッチには、胸を打つ風景が、長きに亘って何ページも描き続けられていると聞かされる……。その絵の意味を理解した秀一は、健気な有希の想いに応えようとする……。 (全てフィクションです。)
文字数 78,565
最終更新日 2024.03.31
登録日 2024.03.31
「魔法の森の秘密」は、冒険心あふれる少年エリーが主人公の長編小説です。不思議な招待状を受け取ったエリーは、魔法の森へと足を踏み入れ、妖精、話す動物、エルフなどの森の住人たちと友情を育みます。他の子供たちと出会い、一緒に森を救う冒険に出発するエリーたちは、勇気と友情の力を学びながら「光の宝石」を探し求めます。彼らは試練を乗り越え、森を救うための秘密を解き明かし、最終的には自然との調和と環境保護の重要性を理解します。物語は、子供たちが大人になっても続く、森との永遠の絆を描き出して終わります。この物語は、勇気、友情、自然との調和の大切さを教える心温まる冒険譚です。
文字数 1,676
最終更新日 2024.03.31
登録日 2024.03.31
主人公伊藤夏生は、物心つく前から同性の幼なじみ、酢谷海里に恋をしている。人一倍他人の目を気にする海里に対し、夏生は青春の全てを捧げてきた。だがある日、海里が初恋を経験したことで、夏生の日常は急変する。
文字数 12,969
最終更新日 2024.03.31
登録日 2024.03.31
夏休みの火曜日の午後、物語部員が巻き込まれた惨劇について
・樋浦遊久…物語部員の3年生。背は高くないがそのことをコンプレックスにはしていない。本を読むのが早い。立花備は妄想を抱いていると思い込ませるフリをしている。
・千鳥紋…2年生。紅茶を愛し女性語で話す親切な人。世界の創造のときからいる人物。
・年野夜見…2年生。この物語の中では唯一超越的三人称視点で語ることができる。普段は観察者的立場にいる。紋とは友人。
・樋浦清…1年生。樋浦遊久の妹で頭の回転は早いがボケ役に回ることが多い。
・市川醍醐…1年生。樋浦清と同じクラスにいる。冷笑的な性格で、くだらない物語を作る。
・立花備…おれ。1年生。この物語の真犯人を探そうとする。
文字数 128,627
最終更新日 2024.03.31
登録日 2024.02.10
突如仕事をクビになったマサオ。
彼は職業案内所で秘境駅の臨時職員募集の張り紙を目にする。
駅には様々な思いを抱えた利用客が訪れる。
※気が向いたら続きを書きます
文字数 13,894
最終更新日 2024.03.31
登録日 2024.01.10
デービス伯爵家の長女リディアは、ピンクブロンドの男爵令嬢を虐めたという理由で婚約破棄されてしまった。もちろんそれは濡れ衣だったので、恋愛神からの救済を受けるケースに当てはまった。が、たまたま恋愛神が失恋でやさぐれていたため、救済に来たのは魔法神だった。色々あってハッピーエンドの物語。
文字数 26,216
最終更新日 2024.03.31
登録日 2024.03.31
目が覚めたら牢獄の中にいた。どうやら姉二人と一緒にスリをして捕まってしまったらしい。しかしおかしい。スリをした覚えはないし、ましてや一人っ子だ。姉二人とやらはどこからどう見ても外人だし、あたしは生まれも育ちも日本だ。
「まあ、可哀そうに……こんなところに閉じ込められて、怖かったでしょう?」
状況が飲み込めない中、ようやく見覚えのある女性が近づいてきた。でも待って、この女性って確か、あたしの好きなVRMMO【ラビリンス】に出てくる公爵令嬢のレミーゼ・ローテルハルクだったはず。
だとすれば、マズイ……これは非常にマズイ。
「ふふ、怯えなくてもいいの。あたしがここから出してあげるから、ねっ?」
レミーゼの表の顔は【聖女】様。
でも裏の顔は……奴隷を痛めつけるのが趣味の、通称【拷問令嬢】だ。
連れてこられた拷問部屋で、あたしはレミーゼを殺した。これは不慮の事故だ。あたしの意志でやったことじゃない。でも、初めて人を殺してしまった。
騒ぎを聞きつけたのか、屋敷の外で待機していた護衛が中に入ってくる。
どうすればいい? どうすればこの状況を乗り切ることができる?
「……もう、これしかない。あたしが……あたしがレミーゼになって誤魔化すしか……!」
死体を放置したまま、変身魔法を唱える。すると姿形がレミーゼそっくりに変化した。
「演じるのよ……あたしが、拷問令嬢レミーゼ・ローテルハルクを……!」
文字数 118,719
最終更新日 2024.03.31
登録日 2024.03.01
伯爵令嬢リラの夫ザロクは、聖女の騎士になってから態度を変える。
それでも我慢していたある日、リラは前世の記憶を思い出した。
この世界は前世で読んだ漫画の世界で、リラはこれから悪事を働く。
それによりザロクと聖女がリラを断罪して結ばれる内容だから、これからは穏やかに生きようと決意した。
漫画と違いリラが悪事を働かなくても、ザロクは聖女を愛している。
これはただの浮気で、更にザロクはリラが悪事を働いていると嘘をつき断罪を目論む。
それを知ったリラは漫画の出来事が起こる二年後まで待ち、準備して離婚すると決めた。
離婚した後、ザロクは二年間に起きたリラの活躍を聞く。
ザロクは後悔し、更に悪事の捏造が発覚することとなる。
文字数 64,149
最終更新日 2024.03.31
登録日 2024.02.17
街中にダンジョンが現れた現代日本。
人々には戦士としてのレベルが与えられる。
主人公は世界最弱のレベル0。
レベルの低さに絶望していたある日、戦士のレベルの10倍の強さになるというボスが現れる。
世界で倒せるのレベル0の主人公だけ。
ダンジョンで戦うことは諦めていた主人公だが、その日から自分だけがレベルアップできることに。
最強戦士になって、美女の仲間たちとダンジョンの秘密を解き明かす。
文字数 98,485
最終更新日 2024.03.31
登録日 2024.03.23
不運体質(人間)×毒舌(人外)
人はこの世に生を受けて、たった一度しかない己の生を生きて最後には死んでいく。
肉体から離れた魂はあの世へと還り、輪廻(りんね)の輪に乗って再びこの世のどこかに生を受ける。
巡る命の流れを人々は『輪廻転生(りんねてんせい)』と呼んだ。
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~登場人物~
○久住 宗介(くずみ そうすけ)
・攻め(主人公)
・天涯孤独、不運体質
・25才
・昔から尽(ことごと)くツいておらず、職を転々としている。フリーター。
・ある日の帰り道、奇妙な事件に巻き込まれ、謎の男に殺されそうになった所を八代に助けられた
○八代(やつしろ)
・受け
・黒髪、薄紫色の瞳を持つ青年
・フード付きパーカーを常に着用
・宗介より若い見た目をしているが、少し(?)古風な喋り方をする
・ 不思議な力と猫を使役。宗介を殺そうとした男をずっと追っている
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~説明~
人間と神様、魂と運命、鬼と悪霊。
非科学的なものへの信仰が薄れつつある現代で繰り広げられる和風ファンタジーな(予定の)お話です(*´▽`*)
※グロテスク、暴力表現が多々あります。苦手な方はご注意下さい。
※この物語はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
※BLove様でも掲載中の作品です。
※表紙絵は友人様作です。
※読み:終(つい)の九生(きゅうしょう)
分からない事があれば質問して下さい。お答え出来る範囲で受け付けます!
感想もお待ちしております!
文字数 66,511
最終更新日 2024.03.31
登録日 2021.04.16
グランゾート侯爵令嬢、ミリアーナは領地視察中に誘拐されて行方不明になって3ヶ月。そのミリアーナは助けに等来てくれない、父や侯爵領の侍従達に見切りをつけ始めた頃、助けに来た人物に求婚された。
「ミリアーナ嬢、助けに来た。やっと会えた」とミリアーナを抱き締めると、ミリアーナは悲鳴と共に気を失った。
何故なら、ミリアーナは行方不明になっていた間、誘拐犯達に陵辱され続け、男への恐怖心を植え付けられていたからだった………。
*Hシーンには♡が付きます
文字数 88,698
最終更新日 2024.03.31
登録日 2024.03.01
外れない指輪。消えない所有印。買われた一生。
けれどもそのかわり、彼は男の唯一無二の愛を手に入れた。
✔︎ 四十路手前×ちょっと我儘未成年愛人
✔︎ 振り回され気味攻と実は健気な受
✔︎ 職業反社会的な攻めですが、BL作品で見かける?ようなヤクザです。(私はそう思って書いています)
✔︎ 攻めは個人サイトの読者様に『ツンギレ』と言われました。
✔︎ タグの『溺愛』や『甘々』はこの攻めを思えば『受けをとっても溺愛して甘々』という意味で、人によっては「え?溺愛?これ甘々?」かもしれません。
🔺ATTENTION🔺
攻めは女性に対する扱いが酷いキャラクターです。そうしたキャラクターに対して、不快になる可能性がある場合はご遠慮ください。
暴力的表現(いじめ描写も)が作中に登場しますが、それを推奨しているわけでは決してありません。しかし設定上所々にそうした描写がありますので、苦手な方はご留意ください。
性描写は匂わせる程度や触れ合っている程度です。いたしちゃったシーン(苦笑)はありません。
タイトル前に『!』がある場合、アルファポリスさんの『投稿ガイドライン』に当てはまるR指定(暴力/性表現)描写や、程度に関わらずイジメ描写が入ります。ご注意ください。
➡︎ 作品や章タイトルの頭に『★』があるものは、個人サイトでリクエストしていただいたものです。こちらではリクエスト内容やお礼などの後書きを省略させていただいています。
➡︎ 作品は『時系列順』ではなく『更新した順番』で並んでいます。
文字数 64,940
最終更新日 2024.03.31
登録日 2023.02.28
もっとも色白で魔力あるものが神聖の巫女であると言われている国があった。
アデリナはそんな理由から巫女候補に祀り上げらて王太子の婚約者として選ばれた。だが、より色白で魔力が高いと噂の女性が現れたことで「彼女こそが巫女に違いない」と王子は婚約をした。ところが神聖巫女を選ぶ儀式祈祷がされた時、白色に光輝いたのはアデリナであった……
文字数 18,812
最終更新日 2024.03.31
登録日 2024.03.20
瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。
白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。
後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。
人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話。
文字数 30,292
最終更新日 2024.03.31
登録日 2024.03.31
タイトルのまんまです。婚約者はオオカミの獣人なので、ツンデレを発揮しても何をしても尻尾の様子で丸わかり!婚約者と王子の成長です。
そんなお話です
文字数 2,057
最終更新日 2024.03.31
登録日 2024.03.31
文字数 1,037
最終更新日 2024.03.31
登録日 2024.03.31
新生活が始まる春。それはあの世も同じ話だった。幽霊の女は死神の不動産屋とともに新居を求めて都内のアパートを内見するのだった。
文字数 2,313
最終更新日 2024.03.31
登録日 2024.03.31
桐谷春陽は新卒の編集者。父は地元の老舗町中華を営んでいる。海のそばで生まれ育ちながらも、亡くなった母のことを思い出す海に近寄れない。かつて栄えた地元商店街は、高齢化と老朽化によって、閑古鳥が鳴いていた。そんな廃れかけた町に大手企業の再開発計画が進行中だと知る春陽。時を同じくして、地元の海にイルカの母子は住みつき、にわかに観光客で賑わっていく。遠き昔にも家のすぐそばの海にイルカの母子が住んでいた。春陽は幼少期を思い出しつつ、仕事に恋にと社会人の新生活に頑張りながら、いつしか地元の町と父の中華料理店を守りたいという想いが芽生える。幼なじみや地元の仲間に支えられ、失われた過去を取り戻そうと奮闘する春陽は、新しい季節を迎えるなか――。
文字数 159,976
最終更新日 2024.03.31
登録日 2024.03.31
────シルク・フェルパールは、とある乙女ゲームでヒロインの隣になんとなく配置されがちな“モブ”である。
日本生まれ日本育ちの鈴水愛花はひょんなことから命を落とし、乙女ゲームのモブキャラクター、大国アルヴァティアの令嬢シルクに転生した。
乙女ゲームのファンとして、余計な波風を立てず穏やかなモブライフを送るべく、シルクは“シナリオ通り”を目指して動き出す。
しかし、乙女ゲームの舞台・魔法学園に入学してからわずか二日目にして、その望みは崩れていくことに……
シナリオをめちゃくちゃにしてくるヒロイン、攻略対象同士の魔法バトル勃発、お姫様のエスケープ、隣国王子の一目惚れプロポーズ─────一難去ってはまた一難。
これはモブ令嬢シルクが送る、イレギュラー続きの奮闘記。
【※本編完結済/番外編更新中】
文字数 141,758
最終更新日 2024.03.31
登録日 2024.03.20
「ごめん!いま地獄にいて、お祀りに間に合いそうにないから、今回だけ頼みます!」
参考サイト
警視庁Webサイト:https://www.npa.go.jp/index.html
裁判所:https://www.courts.go.jp/index.html
内閣府:https://www.cao.go.jp/
熊谷さとるのホームページ【移転版】:https://dusklog.fc2.net/
文字数 50,270
最終更新日 2024.03.31
登録日 2024.02.29
文字数 9,685
最終更新日 2024.03.31
登録日 2024.03.31
最強ギャルと生真面目伯爵のドタバタラブコメ!
うっかり聖女として異世界に召喚されたギャルのエミ。その強すぎる魔力で世界を救ったはいいものの、婚約していた第一王子に捨てられ、偏屈で有名なソーオン伯爵のもとへ嫁がされてしまう。
しかし、ソーオン伯爵は明るいエミにだんだん惹かれ、やがて溺愛するようになり、エミもちょっとズレていながらもその愛に応えていく。
一方、エミを盲目的に慕う一人の聖女、サクラは王宮でエミを裏切った第一王子に復讐を果たすべく、権力の亡者になっていて――…!?
人の死なないアホエロコメディ(仮)です。ここで書かれるギャルはあくまで想像上の生き物です。突っ込んだら負け。
エロを含むお話にはタイトルに「※」が入ります。
ムーンライトノベルズ、エブリスタに投稿していたお話です。
文字数 180,682
最終更新日 2024.03.31
登録日 2024.02.28
人と家畜――少女と牛が友達となった先にあった結末は……
※小説家になろう様、カクヨム様にて重複投稿しております。
文字数 4,213
最終更新日 2024.03.31
登録日 2024.03.31
社会人一年目の大宮 蒼汰(おおみや そうた)は帰りの駅の出口で雨が降っていてどうしようかと悩んでいると、同じく悩んでいた幼馴染の藤北 彩音(ふじきた あやね)と再会する。二人は昔のように仲良く会話していると、お互いに昔のことを思い出し懐かしむ。そんな中で綾音は遠い目で雨を見つめるとある提案をする。
[重複投稿] 小説家になろう ノベマ! カクヨム
文字数 2,909
最終更新日 2024.03.31
登録日 2024.03.31
太陽神アギスと豊穣の女神メネシアの間に生まれた若き神ゼネス。
彼はある冬の日、友である伝達の神より、夜の泉に咲くと言う睡蓮の話を聞いた。
好奇心に駆られたゼネスは、霊峰の谷にあるその泉へと赴いた。
雪原の中で唯一氷らない泉。満月の夜空の下、睡蓮は美しく開花した。
その美しさに感動したゼネスは母の土産に一輪取ろうと、中へと足を踏み入れる。しかし、茎に手が触れた瞬間、彼は何かに足を取られてしまう。水面へ何とか上がろうとするも泉の中へと引きずり込まれ、やがて意識は闇に呑まれて行った。
意識を取り戻したゼネスは、奇妙な水路に流されていた。探索をするうちに、生命の行きつく最後の地〈冥界〉へと落ちたのだと気づき、急ぐ。
ゼネスは冥界の王であるシャルシュリアの元へと急ぎ、なぜここへ来てしまったのか事情を説明し、地上へ戻る為の協力を願おうとした。しかし、父から貰った剣を無くしている事にゼネスは気づく。
冥界のどこかに落としてしまったのか。それともゼネスを冥界に落とした何者かの仕業か。
悪戯にしては悪質であり、何か問題が発生していると判断したシャルシュリアは、ゼネスに剣の捜索を兼ねた冥界の掃除係に任命をする。
冬となり何かが潜む地上に安易に帰れなくなったゼネスは、真面目に掃除と探索を取り組み、冥界に属する神や英雄と出会っていく。
次第に、真面目に取り組むゼネスに対し、シャルシュリアは気に掛け始める。ゼネスもまた彼を気に掛け始める。
しかしシャルシュリアは、冥界をより盤石にするために自ら生贄になる儀式を執り行おうとした。首を切り落とそうとする彼に対し、居合わせたゼネスは咄嗟に止めに入る。
箱庭で育てられた若き神と自分の世界を守るために贄になり続けた古き神。
他愛ない会話から始まる2人の静かな恋の物語。
文字数 132,089
最終更新日 2024.03.31
登録日 2024.01.21