奇譚小説一覧
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私がだれかなんて重要ではない。なぜなら、いつか必ず知るからだ。ただ、モブかと言われたらそうでもない。お楽しみは後でというやつだね。それよりも今は、私の話を聞いてもらおうか。
強い想いは形を成す。常人には見えないそれ、『異形』の存在を知ってしまったら、普通の生活に戻ることは限りなく困難に近い。倒さなと行けない、なんていう綺麗な理由ではなく、死にたくないというあまりにも身勝手で醜い、不純な理由だ。しかし、殺らなければ殺られるのだからしょうがないだろう。
恐怖を見せてはならない。自分の想いに揺らぎを見せてはならない。そんな世界で生きるために必要なのは―――ずばり、イカれている。もっと言えば、狂っていること。そして、狂うだけではなく自分の想いに従い力に変換すること。この変換が、常人と異形を狩るもの、異能者との違いにつながるのだが、その話はおいておくことにするよ。
さて、また一人この世界に踏み込んでしまったものがいるようだね。踏み込んでしまったのは不可抗力か、または自分の意思か。はたして彼はどのような奇譚を作ってくれるのだろうか。私に会うために頑張ってくれよ、柊渚君。しかし、まさかあの茜が動くなんて、うん。面白くなりそうだ。いつか会えるように願っていてあげよう。そうすればいつか、きっと、、、。
文字数 6,617
最終更新日 2024.12.08
登録日 2024.12.08
狸が猿の子孫を滅ぼし天下太平の世が訪れようとしている慶長年間。砦の兵の目をかすめ、生ゴミからその日の糧を奪い取る孤児の集団がいた。リーダー格の石彦と犬丸、その妹の葛。砦の汚わい集めの親分権蔵と手を組んだ別の孤児集団のリーダー太一は石彦らと縄張り争いを繰り返していた。そんなある日、激しい豪雨がやんだ後、石彦たちは崖崩れの中からイットーサイと名乗る老人を拾う。天下一を名乗るその老人こそが石彦たちの人生の転轍機であった。
文字数 19,669
最終更新日 2023.10.01
登録日 2023.10.01
文字数 47,096
最終更新日 2021.11.20
登録日 2021.08.12
──化け物と聞いて、其方は何を思い浮かべる?──
鬼、天狗、人魚、河童。年経た器物は手足を生やし、百鬼夜行が道を行く。しゃれこうべは唄い、狐は人に化け、見上げた先には天突く高さの入道が佇む。
古来、この国で化け物話が絶えた事はない。
彼等は人の暮らしに寄り添い、人を脅かし、時には取って喰らい……そして、時には人の友となり伴侶となる。
約束を交わし、恩を返し、頼み事をし、まるで人のように人を愛し、人を守る。
──ならば化け物とは……一体、何であろうな──
これから語られるは、ある土地を守り続ける人間達と魑魅魍魎が織り成す妖怪奇譚。嘘か、真か……それは貴方様の目でお確かめ下さいな。
文字数 57,526
最終更新日 2021.09.05
登録日 2018.03.14
死の病が蔓延る町、その近くの暗い森に、棺桶を引きずって歩く銀色の怪人物。
ここでないどこかで巻き起こるゴシックスリラー風の物語。
文字数 22,539
最終更新日 2021.03.10
登録日 2021.02.28
私は見つけてしまった。
自身が唯一心を許せる侍女、サリーの手帳を。
「日報代わり」と題された手帳には、日々の細々とした記録が綴られていた。
侍女長に提出するものであれば、わざわざ手帳に書く必要はない。
つまり、本来そんなものは必要ない。
それでも、サリーは敢えてその日々を記していた。
誰にも見せることのない、しかしいつか誰かに見られても問題ないようにと、その手記は記載されていたのだ。
文字数 1,125
最終更新日 2019.01.04
登録日 2019.01.04
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