深淵小説一覧
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連続妊婦殺害犯<ツェザリ・カレンバハ>は、いわゆる私生児だった。彼の母親は大きな力を持った商人の愛人の一人で、子供ができた時点で少しばかりの金を持たされて捨てられた。その後の母は、何人もの男の間を転々としながら彼を育てた。しかも次々と父親も分からない子を宿していたこともあり、彼の記憶にある母の姿はいつも大きな腹を抱えて面倒臭そうに自分を見る<売女>そのものだった。
母親は大きな腹を抱えて彼を奴隷のようにこき使った。糞の後で尻を拭かされたことさえある。それでも、普段から優しくしてくれたなら彼の方も大きな腹を抱えて尻を拭くのもままならない母の為にと思えたかもしれない。だが実際には、
「この為にお前を産んだんだよ! さっさとしろ!」
と怒鳴りながら命令したのだ。しかもすぐにやらなかったということで、暖炉の炭を掻き出す火かき棒で殴られもした。その時にできた額の傷を隠す為に髪を伸ばしているというのもある。
だから彼にとって腹の大きな女性は、自分を虐げ苦しめる<魔物>なのだ。彼の最初の標的は、自身の母親だった。しかも母親が彼に刺されて死んだ時、母親は赤ん坊を産み落とした。それを見たことで、彼にとって胎児は、<母親を魔物に変えた悪魔そのもの>という認識になった。
そう。彼にとって<妊婦殺し>は、魔物や悪魔を狩るという、<自らに与えられた使命>だったのだ。
彼は、『悪魔から人間を守る為に正義を執行していた』のである。
筆者より
この物語に<救い>はありません。ただただ胸糞悪いだけです。
文字数 102,317
最終更新日 2021.12.11
登録日 2021.09.08
5才の頃に 魔法科学発展区ミザリの科学者によって過酷な実験をされていた主人公ライム。原因は『神見習い』のステータス。みんなと一緒に幸せにぐーたらな生活をしたい。好きな人と結ばれたい。ただそれだけの為に、力を奮い、逃げ惑い、陰謀に立ち向かい、やがて神様になるお話。ーー『創生の魔術書』を得る為に科学者から逃げて逃げて逃げて逃げて……。そして彼女は深淵を廻るーー
※なろうでも投稿しています。
文字数 35,187
最終更新日 2021.03.29
登録日 2020.06.29
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