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エルザ・バートレイは、ローディア王国の平民街で育った十八歳の少女。
彼女は父を早くに亡くし、母と弟と共に貧しいながらも逞しく生きてきた。
学問も剣術も諦めず、苦労の末に王国最高の学び舎であるローディア学園に特待生として入学を果たした。
だが、そこは庶民には縁遠い、貴族たちのための学校だった。
学園には、ファイブスターと呼ばれる五人の特権階級の生徒たちがいた。
彼らは各々が王国でも名高い五大貴族の跡取りで、美貌、才能、そして富を兼ね備えたまさに王国の頂点に立つ存在だ。
エルザは彼らとは無縁の生活を送りたいと考えていたが、運命はそう簡単に彼女を見逃してくれなかった。
文字数 24,293
最終更新日 2025.01.30
登録日 2025.01.29
「まあ、はしたない! それだけブクブクと太っておきながら、まだエサをほしがるなんてまるで豚ね!」
母親から同じ家族に向けたとは思えない酷い言葉が飛ぶ。
「あはは、ミスティ姉さんは豚だったのか! どうりでうちの誰にも似てないと思ったんだよ!」
弟のミックも同調し、ツバを飛ばしながら叫ぶ。
「ケリーバース子爵家の|面汚《つらよご》しめ! これだから結婚相手も見つからんのだ!」
さらに、父親までもが暴言を浴びせる。
「……申し訳ありません」
見るからに不当な扱いを受けているにもかかわらず、ミスティは聞こえるか聞こえないかの小さな声を発し、再び頭を下げた。
ミスティは生まれてから現在まで、何も悪いことをしていない。
七歳のときに家を失った彼女は、財産の一部を貰えるからという理由からケリーバース子爵家に引き取られた。実の両親もまた子爵家で、悪事に手を染めて処刑されたことだけは知らされている。
それからというもの、人間らしい扱いを受けたことは一度もない。
そんなミスティのストレス発散方法は、謎を解くことだった。
ある事件をきっかけに知り合った騎士――ダグラスとともに、今日もミスティは街へ向かう。
愛を知らないミスティは、人との関わりあいの中で一人の女性へと成長していく。
文字数 29,830
最終更新日 2025.01.27
登録日 2025.01.25
時間がないときにも読めるショートや短編の恋愛小説になります。
ゾワッとする復讐劇から甘いラブストーリーまで、様々なジャンルが詰め込まれています。
文字数 94,622
最終更新日 2024.12.05
登録日 2024.10.24
アインナーズ伯爵家のレイナは、幼い頃からリリアナ・バイスター伯爵令嬢に陰湿ないじめを受けていた。
レイナには、親同士が決めた婚約者――アインス・ガルタード侯爵家がいる。
アインスは、その艶やかな黒髪と怪しい色気を放つ紫色の瞳から、令嬢の間では惑わしのアインス様と呼ばれるほど人気があった。
ある日、パーティに参加したレイナが一人になると、子爵家や男爵家の令嬢を引き連れたリリアナが現れ、レイナを貶めるような酷い言葉をいくつも投げかける。
そして、事故に見せかけるようにドレスの裾を踏みつけられたレイナは、転んでしまう。
上まで避けたスカートからは、美しい肌が見える。
「売女め、婚約は破棄させてもらう!」
文字数 10,758
最終更新日 2024.11.02
登録日 2024.11.02
「みんな聞いてくれ! 今日をもって、エルザ・ローグアシュタルとの婚約を破棄する! そして、その妹——アイリス・ローグアシュタルと正式に婚約することを決めた! 今日という祝いの日に、みんなに伝えることができ、嬉しく思う……」
ローグアシュタル公爵家の長女――エルザは、マクーン・ザルカンド王子の誕生日記念パーティーで婚約破棄を言い渡される。
それどころか、王子の横には舌を出して笑うエルザの妹――アイリスの姿が。
傷心を癒すため、父親の勧めで隣国へ行くのだが……
文字数 10,948
最終更新日 2024.10.29
登録日 2024.10.29
伯爵家の次女——エミリア・ミーティアは、優秀な姉のマリーザと比較され、アレと呼ばれて馬鹿にされていた。
ある日のパーティで、両親に連れられて行った先で出会ったのは、アグナバル侯爵家の一人息子レオン。
そこで両親に告げられたのは、婚約という衝撃の二文字だった。
文字数 14,154
最終更新日 2024.10.27
登録日 2024.10.26
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