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5・新学期と学園祭
5-7・新学期の前に⑦
しおりを挟むナウラティスが直接、他国に対して何かを働きかけるというようなことはほとんどない。
精々がナウラティスが所持している魔法魔術関連の特許。それの使用を停止させることぐらい。
もっともそれだけでも大変な話ではあるのだが、あとは、ナウラティス自身が、国交を持たなくなるだとかそう言ったことに終始した。
しかし、ナウラティスは大国である。
例えば特定の国に対して、ナウラティスがそういった対処を取ったとすると、当然周辺の国々はナウラティスに迎合した。
誰しもが同じような処置を取られたくはないのである。
特に魔法や魔術関連の特許となると、生活に根差したものが多々あり、細々とした物も踏まえると、そもそも生活自体が立ち行かなる危険性さえ孕んでいる。
それでどうして、彼の大国に敵対しようと思えるというのだろう。
ナウラティスは基本的には寛容な国だ。
他国を侵略したり、浸食したりなどしない。
勿論、差し出された土地などはしっかりと管理しはするのだが、ナウラティスの方からそういったものや人を差し出させたりなどと言うことをすることは一度もなかった。
先程の特許の引き上げ、あるいは国交の断絶だって、余程に相手がおかしなことをしなければ、そういうことをすることもなく。だがしかしもちろん、何をしてもそういった処置を取らないなどと言うことはなく。
今回に関して言えば、皇族に対する、明確に攻撃の意志を見せたということになる。
少なくともキゾワリ国内を通る際に差し向けられた刺客などを考えると、それはただの事実に過ぎなかった。
それもおそらくは国が主体となって、だ。
当然キゾワリに対して、先の処置は取り済みで、そしてキゾワリがそういった処置の対象となったことを、周辺の国々へも周知徹底してあったのである。
通常これだけで話は終わる。
たったこれだけで、対象となった国はなくなったり、国の名前が変わったりすることは全く珍しくないことでさえあった。
その先のことに関してはナウラティスの感知するところではなく、国交にしても特許の使用停止にしても新しく国を熾したりなどした場合、謝罪さえあればすぐに撤廃される程度のものだった。
しかしどうやらキゾワリは、少し事情が違うらしい。
元々ナウラティスに敵愾心を抱いていたキゾワリは、そもそもナウラティスが特許を所有する魔法魔術の技術を、ほとんど使用していないようなのだった。
国交などはもとよりほとんどありはしないので問題にならないことだろう。
つまり大きな影響はなかったようなのである。
これに困ったのは周辺諸国だ。
周辺の国もまた、キゾワリとはほとんど国交がなかったようで、辛うじてつながりがあった所も、差し出された王子や王女を送り返したりなどをしたようなのだが、それだけ。
それ以上何をすればいいのかわからず、ナウラティスへと相談を持ち掛けてくる国々がある位なのだと聞いていた。
しかしそれはつまり、キゾワリ国内は、いったいどれほど良くない環境なのか計り知れないということと同義でもあった。
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