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翌日、ルイジアスとデューカスは、予定通りに祭りを視察し、ある程度回った後に、花屋に行く事にした。
店の前を見ると、女性客が何人も商品を購入したり、選んだりしている。
その奥で忙しく動き回っている女性がいた。
「あ、あの人が、ここの店員さんですね。
昨日は1人で大変そうでしたが、今日は2人だ。あの店員さん、平民にしては洗練された物腰で、対応に驚きました。」
と、デューカスが感想を述べていたが、ルイジアスには聞こえていなかった。
(ルナリア!? いや、まさか。
大体こんな所に居るはずがない。
それに、見た目が全然違うじゃないか。
でも、だとしたらあの光は何だ?
まるで初めてルナリアを見た時のように、あの女性の周りが光り輝いているのは、どういう事だ?)
ルイジアスは混乱して、その場を動けずにいた。
今のルナリアは、髪色を変え、眼鏡をかけて、そばかすいっぱいの地味化粧をしている。よく知っている人でも、一目では見抜けないような変装ぶりな為、ルイジアスはすぐに気付くことが出来なかった。
「こんにちは」
デューカスの声掛けに、
「あっ。これは領主のご子息様。ようこそお越し下さいました。」
ルナリアが挨拶すると、隣に居たポルカも慌てて挨拶をする。
「今日は、僕の友人を連れてきているんだ。昨日、ここの商品を見せたら気にいったらしくてね。ジアス、こちらに来てよく見せてもらってはどうですか?」
と、笑顔でルイジアスを呼ぶ。
自分を呼ぶ声にハッとして、慌ててルイジアスは店の前まで来た。
店の前まで来て、改めて店員の女性を見る。やはり、その女性の周りは、神々しい程輝いており、追随するように、並べられている商品も光っている。
眩しくて目を細めながらも、しっかりとその女性を見ながら話しかけた。
「ここの商品は、見た事のない飾りや、植え方がされているな。このアイデアは誰が?」
ルイジアスのその問いに、ルナリアは、目を見開いていたが、何とか平静を保ちながら答えた。
「私でございます」
「いい商品ばかりだ。このような物は、王都でも見た事がない。私も何か買っていこう」
その言葉に、ルナリアとポルカは笑顔でお礼を言った。
ルイジアスは、匂い袋と、リース、そして小さなブーケを選んだ。
「ありがとうございます」
ルナリアは、笑顔でお礼を言いながら商品を渡すと、その内の小さなブーケを差し出された。
ルナリアは、返品か?と思ったが、
「お前にやろう。今日の礼だ」
と、ルイジアスに言われて、びっくりした。
「お礼を言われる事は、何もありませんが?」
「いや、いい物を見せてもらった礼だ。」
と、それだけ言って、ブーケをルナリアに押し付けるようにして帰って行った。
「まぁ、素敵! あの方、ルナちゃんに一目惚れでもしたのかしら」
呑気にポルカがそう言っているが、ルナリアはそれどころではなかった。
その日の祭りも無事終了し、残すところはあと1日。
明日の商品を確認している所に、ポルカさんが、
「ルナちゃん、2日間お疲れ様。ルナちゃんは、この町の祭り初めてでしょ。だから明日は、店はいいから祭りを見に行ってくれば?」
と、提案してくれた。
「え? でも……」
「いいのよ。アンナも昨日で満足したし、この商品たちの売り方も、今日でバッチり掴めたから。明日は私だけで大丈夫。
だから、ルナちゃんは楽しんでらっしゃいな。色んな所を見て回るのは、楽しいわよ?」
ポルカさんが、そう言ってくれたので、明日は、祭りを見て回る事として、今日の片付けが終わった後、自分の部屋に戻った。
『ルナ~今日もお疲れ様~』
『今日もいっぱい売れたねぇ』
『ルナが作ったものは、特別だから、みんな喜んでくれてるね~』
精霊たちは、今日も元気に私の周りを飛んでいる。
しかし、今日は本当に驚いた。
まさか、この町で、ルイジアス殿下にお会いするとは。
私の完璧な変装で、気付いてはいなかったけど、簡単に女性にブーケをプレゼントするなんて、あの方は昔から、やる事がキザなんだから。
私が昔の思い出に思いを馳せていると、
『あの皇子、昔から見てくるよね~』
『ほんとほんと。いつもジロジロ見てくる』
『え~、本当に見えてるのかなぁ』
などと、精霊たちが話している。
「なにをジロジロ見てくるの?」
私が聞くも、
『う~ん、ちょっと分からないんだよね~』
『うんうん、分からない』
『ルナを見てるのか、僕らを見てるのか……』
ウンウン言いながら、精霊は口々に話すが、全く要領が得られず。
またか……と、精霊たちの話は聞き流すことにした。
店の前を見ると、女性客が何人も商品を購入したり、選んだりしている。
その奥で忙しく動き回っている女性がいた。
「あ、あの人が、ここの店員さんですね。
昨日は1人で大変そうでしたが、今日は2人だ。あの店員さん、平民にしては洗練された物腰で、対応に驚きました。」
と、デューカスが感想を述べていたが、ルイジアスには聞こえていなかった。
(ルナリア!? いや、まさか。
大体こんな所に居るはずがない。
それに、見た目が全然違うじゃないか。
でも、だとしたらあの光は何だ?
まるで初めてルナリアを見た時のように、あの女性の周りが光り輝いているのは、どういう事だ?)
ルイジアスは混乱して、その場を動けずにいた。
今のルナリアは、髪色を変え、眼鏡をかけて、そばかすいっぱいの地味化粧をしている。よく知っている人でも、一目では見抜けないような変装ぶりな為、ルイジアスはすぐに気付くことが出来なかった。
「こんにちは」
デューカスの声掛けに、
「あっ。これは領主のご子息様。ようこそお越し下さいました。」
ルナリアが挨拶すると、隣に居たポルカも慌てて挨拶をする。
「今日は、僕の友人を連れてきているんだ。昨日、ここの商品を見せたら気にいったらしくてね。ジアス、こちらに来てよく見せてもらってはどうですか?」
と、笑顔でルイジアスを呼ぶ。
自分を呼ぶ声にハッとして、慌ててルイジアスは店の前まで来た。
店の前まで来て、改めて店員の女性を見る。やはり、その女性の周りは、神々しい程輝いており、追随するように、並べられている商品も光っている。
眩しくて目を細めながらも、しっかりとその女性を見ながら話しかけた。
「ここの商品は、見た事のない飾りや、植え方がされているな。このアイデアは誰が?」
ルイジアスのその問いに、ルナリアは、目を見開いていたが、何とか平静を保ちながら答えた。
「私でございます」
「いい商品ばかりだ。このような物は、王都でも見た事がない。私も何か買っていこう」
その言葉に、ルナリアとポルカは笑顔でお礼を言った。
ルイジアスは、匂い袋と、リース、そして小さなブーケを選んだ。
「ありがとうございます」
ルナリアは、笑顔でお礼を言いながら商品を渡すと、その内の小さなブーケを差し出された。
ルナリアは、返品か?と思ったが、
「お前にやろう。今日の礼だ」
と、ルイジアスに言われて、びっくりした。
「お礼を言われる事は、何もありませんが?」
「いや、いい物を見せてもらった礼だ。」
と、それだけ言って、ブーケをルナリアに押し付けるようにして帰って行った。
「まぁ、素敵! あの方、ルナちゃんに一目惚れでもしたのかしら」
呑気にポルカがそう言っているが、ルナリアはそれどころではなかった。
その日の祭りも無事終了し、残すところはあと1日。
明日の商品を確認している所に、ポルカさんが、
「ルナちゃん、2日間お疲れ様。ルナちゃんは、この町の祭り初めてでしょ。だから明日は、店はいいから祭りを見に行ってくれば?」
と、提案してくれた。
「え? でも……」
「いいのよ。アンナも昨日で満足したし、この商品たちの売り方も、今日でバッチり掴めたから。明日は私だけで大丈夫。
だから、ルナちゃんは楽しんでらっしゃいな。色んな所を見て回るのは、楽しいわよ?」
ポルカさんが、そう言ってくれたので、明日は、祭りを見て回る事として、今日の片付けが終わった後、自分の部屋に戻った。
『ルナ~今日もお疲れ様~』
『今日もいっぱい売れたねぇ』
『ルナが作ったものは、特別だから、みんな喜んでくれてるね~』
精霊たちは、今日も元気に私の周りを飛んでいる。
しかし、今日は本当に驚いた。
まさか、この町で、ルイジアス殿下にお会いするとは。
私の完璧な変装で、気付いてはいなかったけど、簡単に女性にブーケをプレゼントするなんて、あの方は昔から、やる事がキザなんだから。
私が昔の思い出に思いを馳せていると、
『あの皇子、昔から見てくるよね~』
『ほんとほんと。いつもジロジロ見てくる』
『え~、本当に見えてるのかなぁ』
などと、精霊たちが話している。
「なにをジロジロ見てくるの?」
私が聞くも、
『う~ん、ちょっと分からないんだよね~』
『うんうん、分からない』
『ルナを見てるのか、僕らを見てるのか……』
ウンウン言いながら、精霊は口々に話すが、全く要領が得られず。
またか……と、精霊たちの話は聞き流すことにした。
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