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「……デューカス、魔物の森に行く捜索隊の事だが」
祭りの視察を終え、アーガストの屋敷に戻った2人は、屋敷の応接室で、持ってきていた書類仕事をしていた。
花屋から戻ってきてからのルイジアスは、何処かボッーとしていたり、考え込んだりしていたので、やっと仕事をしてくれるのかと思ったが、どうやら違ったようだ。
がっかりしながらも、
「今も募集をかけているところです」
と、デューカスは返答した。
「いや。募集は打ち切っていい。
魔物の森にいくのも止めにする」
「え! 本当に良いのですか!?」
あれほど、ルナリアを捜すことに頑なだったルイジアスの豹変ぶりに、デューカスは驚きを隠せない。
「ああ。中止にする。帰ったら隣国のシュナイダー公爵にも、手紙を送る」
何が起こったのか分からないデューカスは、
「まさか! あの花屋の店員に、一目惚れしたとか!?」
と、叫んでしまった。
「ふはっ! そうかもな。何度でも一目惚れするんだろうな」
と、それを聞いたルイジアスは、笑いながらそう言って、手元の書類に目を通しはじめた。
「……嘘だろ?」
デューカスが唖然とするのも、無理はなかった。
──── 翌日
ポルカさんに見送られながら、私は町を見回っていた。祭り中とあって、あちらこちらに催しが開かれており、気も漫ろになる。
『ルナ~お祭りって、賑やかだねぇ』
『みんな楽しそうだ~』
一緒に付いてきている精霊たちも、あちこちに飛んで見て回っている様子を見て、それだけで楽しい気持ちになる。
「そういえば、国外追放になってから、全然気を休める暇がなかったもんね。今日は一緒に楽しもうね」
精霊たちに、そう声を掛けると、
『『『『『『 楽しもう~!』』』』』』
と、みんな一斉に元気よく返事をした。
何処の店も見応えがあり、気分よくゆっくりと見て回っていると、お腹が空いてきた。
何か食べようかと考えていると、色々な果物や野菜が山盛りに積まれている店を見つける。
よく見ると、あちらこちらの店も、野菜や果物を豊富に使った料理が目についた。
「凄い! この国は凄く食べ物に恵まれているのね」
声に出して驚いていると、目の前の店の人が教えてくれた。
「いや~、こんなに豊作なのは、今年が初めてだよ。
今までは、こんなには出来なかったんだ。
嬉しい悲鳴だよ」
と、笑っている。
それを聞いた精霊たちが、
『そりゃ、僕たちがこっちに来たからね』
『そうそう、精霊たちはみんな、ルナに付いて来ちゃったからね~』
『精霊王様があの国の事、怒ってるしね~』
口々に話す。
ん?
今、聞きなれない単語を耳にしたような?
「ねぇ、精霊王様って、何?」
精霊たちに聞くと、
『『『『『『 僕らの王様~ 』』』』』』
と、無邪気に返答する。
「なんで、精霊王様は、怒ってるの?」
あの国って、どこ?などと思ってると、
『そりゃ、ルナに酷いことしたから』
『ルナリアを追放する国はいらないって、精霊王様が言ってた』
『そうそう、ルナの事、精霊王様は大好きだもんね~』
いやいや、その情報、初耳なんですけど?
てか、精霊王なんて、会ったことないのに、なんで、気に入られてるの?
「え~っと、精霊王様は、なぜ私を気に入ってくれてるのかな?」
その質問に精霊たちは一斉に、
『『『『『『『 ひみつ~ 』』』』』』』
と、言いながら笑っている。
その後、何とか精霊たちに色々話しを聞くと、今まで住んでいたロックウェル王国は、精霊たちの力で自然の恵みが維持されていて、王国の人は、精霊に感謝を捧げなければならなかったんだとか。
でも、いつしかみんな精霊たちが見えなくなり、精霊王や精霊たちは、あの国に居続ける意味を失っていたらしい。
そんな時に、私が生まれ、精霊王がやっと精霊が見える人間が生まれたと言ったことで、精霊たちは、それからずっと私のそばに居たんだという。
なんか、いままで見えてなくて、ごめんなさい。
いや、でも何で私? 自慢じゃないけど、私、乙女ゲームの悪役令嬢なんですけど。
普通は主人公がこのポジションだよね?
「本当に私でいいの?」
今更だけど、間違ってない?
ドキドキしながら精霊達に聞くと、
『ルナがいいの~』
『ルナ以外はダメなの~』
『ルナが好き~』
と、精霊達は笑顔でそう返してくれた。
祭りの視察を終え、アーガストの屋敷に戻った2人は、屋敷の応接室で、持ってきていた書類仕事をしていた。
花屋から戻ってきてからのルイジアスは、何処かボッーとしていたり、考え込んだりしていたので、やっと仕事をしてくれるのかと思ったが、どうやら違ったようだ。
がっかりしながらも、
「今も募集をかけているところです」
と、デューカスは返答した。
「いや。募集は打ち切っていい。
魔物の森にいくのも止めにする」
「え! 本当に良いのですか!?」
あれほど、ルナリアを捜すことに頑なだったルイジアスの豹変ぶりに、デューカスは驚きを隠せない。
「ああ。中止にする。帰ったら隣国のシュナイダー公爵にも、手紙を送る」
何が起こったのか分からないデューカスは、
「まさか! あの花屋の店員に、一目惚れしたとか!?」
と、叫んでしまった。
「ふはっ! そうかもな。何度でも一目惚れするんだろうな」
と、それを聞いたルイジアスは、笑いながらそう言って、手元の書類に目を通しはじめた。
「……嘘だろ?」
デューカスが唖然とするのも、無理はなかった。
──── 翌日
ポルカさんに見送られながら、私は町を見回っていた。祭り中とあって、あちらこちらに催しが開かれており、気も漫ろになる。
『ルナ~お祭りって、賑やかだねぇ』
『みんな楽しそうだ~』
一緒に付いてきている精霊たちも、あちこちに飛んで見て回っている様子を見て、それだけで楽しい気持ちになる。
「そういえば、国外追放になってから、全然気を休める暇がなかったもんね。今日は一緒に楽しもうね」
精霊たちに、そう声を掛けると、
『『『『『『 楽しもう~!』』』』』』
と、みんな一斉に元気よく返事をした。
何処の店も見応えがあり、気分よくゆっくりと見て回っていると、お腹が空いてきた。
何か食べようかと考えていると、色々な果物や野菜が山盛りに積まれている店を見つける。
よく見ると、あちらこちらの店も、野菜や果物を豊富に使った料理が目についた。
「凄い! この国は凄く食べ物に恵まれているのね」
声に出して驚いていると、目の前の店の人が教えてくれた。
「いや~、こんなに豊作なのは、今年が初めてだよ。
今までは、こんなには出来なかったんだ。
嬉しい悲鳴だよ」
と、笑っている。
それを聞いた精霊たちが、
『そりゃ、僕たちがこっちに来たからね』
『そうそう、精霊たちはみんな、ルナに付いて来ちゃったからね~』
『精霊王様があの国の事、怒ってるしね~』
口々に話す。
ん?
今、聞きなれない単語を耳にしたような?
「ねぇ、精霊王様って、何?」
精霊たちに聞くと、
『『『『『『 僕らの王様~ 』』』』』』
と、無邪気に返答する。
「なんで、精霊王様は、怒ってるの?」
あの国って、どこ?などと思ってると、
『そりゃ、ルナに酷いことしたから』
『ルナリアを追放する国はいらないって、精霊王様が言ってた』
『そうそう、ルナの事、精霊王様は大好きだもんね~』
いやいや、その情報、初耳なんですけど?
てか、精霊王なんて、会ったことないのに、なんで、気に入られてるの?
「え~っと、精霊王様は、なぜ私を気に入ってくれてるのかな?」
その質問に精霊たちは一斉に、
『『『『『『『 ひみつ~ 』』』』』』』
と、言いながら笑っている。
その後、何とか精霊たちに色々話しを聞くと、今まで住んでいたロックウェル王国は、精霊たちの力で自然の恵みが維持されていて、王国の人は、精霊に感謝を捧げなければならなかったんだとか。
でも、いつしかみんな精霊たちが見えなくなり、精霊王や精霊たちは、あの国に居続ける意味を失っていたらしい。
そんな時に、私が生まれ、精霊王がやっと精霊が見える人間が生まれたと言ったことで、精霊たちは、それからずっと私のそばに居たんだという。
なんか、いままで見えてなくて、ごめんなさい。
いや、でも何で私? 自慢じゃないけど、私、乙女ゲームの悪役令嬢なんですけど。
普通は主人公がこのポジションだよね?
「本当に私でいいの?」
今更だけど、間違ってない?
ドキドキしながら精霊達に聞くと、
『ルナがいいの~』
『ルナ以外はダメなの~』
『ルナが好き~』
と、精霊達は笑顔でそう返してくれた。
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