第12回BL大賞

第12回BL大賞

選考概要

小説部門に加えて、新たに漫画部門を創設して行った第12回BL大賞。

まず、小説部門に応募されたのは2838作品。その中から、一次選考を通過したのは48作品。
その後最終選考で、大賞候補に残ったのは、「悪役神官の俺が騎士団長に囚われるまで」「悪役令息が戦闘狂オメガに転向したら王太子殿下に執着されました」「おそらく、僕だけ違うゲームをしている。」「嫌われオメガは巻き戻った世界でベータに擬態する」「有能すぎる親友の隣が辛いので、平凡男爵令息の僕は消えたいと思います」「みんなの心の傷になる死にキャラなのに、攻略キャラの皇太子が俺を死なせてくれない」「疲れ果てた水の巫子、隣国王子のエモノになる」の7作品。

これらの候補作の中で、すでに読者賞に決まっていた「悪役神官の俺が騎士団長に囚われるまで」が編集部内の選考でもやはり高く評価され、大賞とのW受賞に決定。さらにテーマ別賞として、ファンタジーBL賞に「おそらく、僕だけ違うゲームをしている。」、現代BL賞に「嫌われオメガは巻き戻った世界でベータに擬態する」、学園BL賞に「みんなの心の傷になる死にキャラなのに、攻略キャラの皇太子が俺を死なせてくれない」、異世界転生・転移BL賞に「悪役令息が戦闘狂オメガに転向したら王太子殿下に執着されました」を選出した。なお、最終選考に残ったものの、惜しくも受賞に至らなかった作品を奨励賞とした。

「悪役神官の俺が騎士団長に囚われるまで」は、BLゲームの悪役神官に転生した主人公が破滅ルート回避のために奔走するうちに、攻略対象者である騎士団長に溺愛されてしまう王道ストーリー。誤解から悪役認定された主人公が、不器用ながらも攻めと距離を縮めていく様子が丁寧に描かれていた。キャラクター造形、物語の展開ともにクオリティが高く、編集部内から支持を集めた。

「おそらく、僕だけ違うゲームをしている。」は、読書中毒の主人公がVRMMO世界で出会った傭兵と恋に落ちる物語。細部まで丁寧に練られたゲーム世界観と、クエストをこなしながら距離を縮める二人の恋愛模様が魅力で、オリジナリティ溢れる設定が目を引いた。

「嫌われオメガは巻き戻った世界でベータに擬態する」は、芸能界を舞台に死に戻ったオメガがベータと偽って二度目の人生を生きる、現代オメガバース作品。切ない恋愛模様に加え、主人公の死の真相をミステリー調に追った巧みなストーリー構成が評価された。

「みんなの心の傷になる死にキャラなのに、攻略キャラの皇太子が俺を死なせてくれない」は、BLゲームで皇太子を守って死ぬ親友に転生した主人公が一命を取り留め、皇太子に溺愛される物語。親友二人の恋愛模様が微笑ましく、楽しく読める作品だった。

「悪役令息が戦闘狂オメガに転向したら王太子殿下に執着されました」は、前世の記憶を思い出した主人公が、王太子や周囲の人間たちに愛されていくストーリー。「戦闘狂」という独自性の高い設定の主人公を始め、魅力的なキャラクターが多数登場する作品だった。

このほか、最終選考作の中には是非出版化を進めたい、あるいは出版化の道を探りたい魅力のある作品が数多くあり、個別に連絡をしていく予定である。


次に、漫画部門に応募されたのは252作品。その中から、一次選考を通過したのは14作品。
その後、最終選考で大賞候補に残ったのは「任務失敗した悪役令息は〇〇に弱すぎる」「俺の異世界転移は仕組まれているかもしれない」「【完結】これを恋と呼んでもいいのでしょうか」の3作品。

これらの候補作の中で、華のあるキャラクターやダイナミックな構図が評され、最も編集部内で支持を集めた「任務失敗した悪役令息は〇〇に弱すぎる」が高く評価され大賞に決定。さらにテーマ別賞として、異世界・ファンタジー賞に「俺の異世界転移は仕組まれているかもしれない」、現代BL賞に「【完結】これを恋と呼んでもいいのでしょうか」を選出した。なお、最終選考に残ったものの、惜しくも受賞に至らなかった作品を奨励賞とした。

「任務失敗した悪役令息は〇〇に弱すぎる」は、主人公がとある事情から皇太子の暗殺を試みるも返り討ちに遭ってしまい、心も体も懐柔されてしまうラブコメ作品。フェチの感じるキャラクター性やシチュエーションに加え、テンポ感の良い構成と構図のバリエーションが編集部から高く評価された。

「俺の異世界転移は仕組まれているかもしれない」は、突然異世界に転移した主人公が美形王子と出会い、関係を深めていくストーリー。テンポ感の良い話構成やセリフ運びが印象的で、ファンタジーの世界観も丁寧に描写できていることから異世界・ファンタジー賞に相応しい作品であると評された。

「【完結】これを恋と呼んでもいいのでしょうか」は、平凡な部下が上司の弱みを握ってしまったことから恋愛に発展していくリーマンBL。王道設定ではあるものの、読者のニーズを的確に押さえた展開や高い画力が評され、現代BL賞に相応しい作品として選出された。

今回のコンテストは漫画大賞からBL部門を切り離し、BL小説との合同開催を試みた第1回目。異世界ファンタジー作品、現代BLのどちらも粒ぞろいで活躍できそうな作品も多かった。このコンテストからの新たな作家、作品の創出を目指していきたい。

開催概要はこちら
応募総数 3,090作品 開催期間 2024年11月01日〜末日

編集部より

悪役が断罪を回避しようと奮闘するという流行りの設定で、緩急のあるストーリー展開に終始ドキドキしながら読みました。二人が少しずつお互いを理解し、想いあうようになる様子も丁寧に描かれていて、キャラクター、展開ともに魅力的かつ完成度の高い作品でした。


編集部より

ゲーム世界の設定がきちんと作り込まれていて、クオリティの高さを感じられる作品でした。主人公が成長していく過程が巧みに描かれる中、攻めに執着されるさまも随所で楽しむことができ、ハラハラドキドキしながら読み進められました。


編集部より

オメガバースや死に戻りなどの人気の設定と、主人公を殺した犯人は誰なのかというミステリー要素が、巧みに組み合わされた構成力の高い作品でした。主人公の恋愛模様も切なく、読んでいて何度も胸を締め付けられました。


編集部より

シナリオから外れて徐々に攻略キャラたちに愛されていくという、昨今の流行りの設定がしっかりと取り入れられた作品でした。主人公と皇太子のやり取りは、親友らしい軽やかさと切なさが含まれていて読んでいるだけで情景が浮かびました。


編集部より

主人公の前世が星を爆破した人物であるという、今までにない設定が魅力的でした。また、学園生活の中で仲間たちとゆっくりと仲を深めていく様子も非常に丁寧に描かれ、主人公たちの成長をずっと見守っていたいと思わせる作品でした。


編集部より

腹黒執着攻めのSっ気や、絆されやすい不憫受けのチョロかわいさなど、受けと攻めの組み合わせの妙が出ており、キャラクターの掛け合いが面白かったです。そのうえストーリーもテンポよくまとまっており、読者を惹きつける魅力があると感じました。


編集部より

ポイント最上位作品として、”読者賞”に決定しました。暗い過去を持つ受けが主人公の力で幸せになってほしいと思うような、応援したくなるキャラクターが読者にも支持されたのでしょう。


編集部より

しっかりとした世界観やキャラ設定に裏打ちされたストーリーを土台にコミカルなやり取りが小気味よく、ページをめくる手が止まりませんでした。今後、主人公と攻めのラブストーリーにも期待しています。


編集部より

心理描写が丁寧なこともあり、体から始まる関係でありながらも二人の心の距離が近づいていく様子に説得力がありました。また、キャラクターのギャップを生かしたエピソードも魅力的です。

※受賞作については大賞ランキングの最終順位を追記しております。

奨励賞

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投票総数 24,288票 当選 10名