現実的には段階的に実証を積み重ねていくことになると思うが、地理的・時間的な制約を超えて手軽に投票できるのは魅力的だ。スマホ利用が当たり前の20~30代の若年層にとって日曜日にわざわざ投票所まで出向くこと自体、ナンセンスだ。それに、コロナ禍のような緊急事態などで投票所に行くことがリスクになる状況が今後もないとはいえないだろう。有権者の投票機会を公平にするという意味では、「投票所に来ないほうが悪い」と切り捨てるのはもはや政治の怠慢だ。
目を覆うばかりのダメさ加減を露呈する自民党の長期政権を支えたのはリアル投票に支えられた組織票であり、インターネット投票の導入は政権交代を促す意味でも有効な手法であることは間違いない。今後の議論が注目される。
(文=松岡久蔵/ジャーナリスト)
●松岡 久蔵(まつおか きゅうぞう)
Kyuzo Matsuoka
ジャーナリスト
記者クラブ問題や防衛、航空、自動車などを幅広くカバー。特技は相撲の猫じゃらし。現代ビジネスや文春オンライン、東洋経済オンラインなどにも寄稿している。ツイッターアカウントは @kyuzo_matsuoka
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