日本人が知らないラスベガスの変貌…世界一のアミューズメント都市・完全ガイド

 ミラージュの前にあるゴールで記念のメダルをもらうと、沿道では完走者に水やビールなどが無料で配られる。こうした作業を担う市民ボランティアが、自らも楽しみながらラスベガスのエンタテインメントを盛り上げている。そうした仕組みづくりができなければ街にIRは育たないことは、ラスベガスを見れば明白だ。

 せっかくなので、このままクールダウンしながらのナイトハイクを楽しんでみた。ストリップはまだ先に続き、物珍しいテーマホテルを見ることができるからだ。さらに進むと、華やかな電飾でひときわ目立つフラミンゴ・ホテルが目に飛び込んでくる。フラミンゴの羽で花びらを型取ったネオンサインは、古き良きラスベガスを感じさせる。

「これが伝説のホテルか」とその歴史に思いを馳せて通り抜けると、エッフェル塔が見えてくる。パリス・ラスベガス。パリの町を再現したホテルで、エッフェル塔の高さは本家が321mであるのに対して、こちらは150m。正面右側には世界初の有人飛行に成功したモンゴルフィエ兄弟の青い気球の巨大なモニュメントがあり、看板替わりとなっている。

 内部のカジノフロアはベルサイユ宮殿風の装飾がなされ、その一角にはスコットランド出身の3つ星シェフ、ゴードン・ラムゼイが経営する「ゴードン・ラムゼイ・ステーキ」がある。ラムゼイはプロサッカー選手だったが、けがでその道を断念し、料理人に転身した異色の経歴を持つ。テレビにも引っ張りだこで『ヘルズキッチン』(地獄の厨房)は人気番組、ロンドンにある3つのレストランで7つの星を持ち、アメリカ、アジア、中東にも店舗展開している。

「ゴードン・ラムゼイ・ステーキ」はパリのイメージを基調としたホテルの内装から一気にロンドンの近未来にトリップするような内装で、看板メニューは名前通り数々の部位や熟成肉を取り揃えたステーキとともに、牛ヒレ肉をパイで包んで焼き上げたビーフウエリントン。このほか、「限定テイスティングメニュー」などもある。

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ベラッジオの様子

 パリス・ラスベガスの道を挟んだ反対側にあるのが「ベラッジオ」。98年にウィンが夢のホテルとして完成させた。コンセプトは「エレガント」。巨大な噴水ショーはゴールしたランナーたちをもてなしてくれる。

 ベラッジオはテーマホテルの高級化とともに、ラスベガスをグルメの一大拠点にし、全米から一流シェフを集めて競演させた。ニューヨークで人気のベーカリーカフェ「サデルズ・カフェ」も出店している。ニューヨークではベーグルで有名な店だが、ラスベガスの看板メニューはエッグベネディクト、スティッキーエバンズ、チョップドサラダ、魚、ベーグル、トマト、キュウリ、ケッパーなど前菜の皿を重ね合わせたサデルの塔など。周囲にはプールや植物園があり、自然を楽しみながら食事をすることができる。

 ベラッジオの先に見えるのが、エメラルドグリーンに輝くラスベガス最大のリゾートホテル、MGMグランド、1920年代のマンハッタンにタイムスリップしたようなニューヨークニューヨーク、エジプトをテーマにしたルクソール、マンダレイベイと別館のデラーノ・ラスベガスなど、ちょっとした世界旅行を楽しむことができる。

 デラーノ・ラスベガスの最上階にはフレンチの巨匠アラン・デュカスが監修する「リベア」がある。フランス出身でモナコ国籍のデュカスは史上最年少でミシュランから3つ星を取得し、さらにパリ、モナコ、ロンドンと3つの国で3つ星を持つ、ミシュラン史上唯一のシェフ。そのデュカスが監修するラスベガスの地中海料理の店。ワインはフランス、イタリア、カリフォルニアなど300種類以上をそろえ、今海外で話題沸騰中の新感覚カクテル、ミクソロジーカクテルも提供している。最高の夜景と料理を堪能できる店だ。