ストリップの北端部分に入ると最初に目を引くのが、ウィンラスベガスだ。見た目はシンプルだが、グレードは全米自動車協会(AAA)の最高評価の5ダイヤモンドと、フォーブス・トラベルガイドの最高評価5つ星を受賞した、ラスベガス随一のリゾートホテルだ。
創業したのは“ラスベガスの父”スティーブ・ウィン。ウィンはラスベガスをカジノ一辺倒の街からカジノ以外でも集客の見込める街にしようと、ホテルにエンタテインメント性を求めて、ミラージュ(砂漠の蜃気楼)・リゾート(89年オープン)を皮切りに、海賊をテーマにしたトレジャーアイランド、イタリアの高級リゾート地、コモ湖をテーマにしたベラッジオ(98年オープン)を建設。ラスベガスにテーマホテルブームを巻き起こし、カジノの街からエンタテインメントの街へと一変させたことから、「ラスベガスの父」と呼ばれるようになる。
そんなウィンが、ミラージュやベラッジオなど自慢のホテルを売却してでも挑戦したかった最高級ホテルがウィンラスベガスだったというわけだ。高級ショップブランドのアーケード内にあるイタリアンレストラン「コスタ・ディ・マーレ」はフォーブス・トラベルガイドで4つ星にも輝き、注目のレストランとなっている。
ウィンリゾートの隣に見えてくるのが、ベネチアン&パラッツォ。世界有数の規模と設備を誇る超メガリゾート。ベネチアン本館、ベネチアタワー、別館パラッツォを合わせると客室数は7093室。
率いるのは、IR運営会社のラスベガスサンズのCEO(最高経営責任者)、シェルドン・G.アデルソン。アデルソンが最初にラスベガスで始めた事業が、コムデックスというコンピュータ関連の展示会だった。79年のことだ。この事業を通して、アデルソンはコンベンションタイプのデスティネーション事業(ある地域で宿泊施設と各種レジャー施設を囲い込んだ滞在型総合レジャー施設)の構想を発案。
コムデックスはソフトバンクに売却し、その資金を基に89年にサンズ・ホテルを買収、その1年後にはサンズ・エキスポ&コンベンションセンターを設立。96年のハネムーン旅行で行った伊ベネチアに魅了されたアデルソンは、サンズホテルを取り壊して、ザ・ベネチアン、さらに別館のパラッツォの建設を決定した。アデルソンは、客足が閑散な平日にはコンベンションと展示会ビジネスで客室稼働率を上げるというMICE統合型のリゾートモデルを考案、ラスベガスをコンベンションの一大拠点にした。
パラッツォの敷地内には運河をつくり、そこにゴンドラまで浮かべてアドリア海の旅情を演出している。周辺にはレストランが並び、ニーズやトレンドに合ったレストランを導入することで、常に一新を図っている。2019年秋には、新たに南イタリアをコンセプトにしたレストラン「シックス+マイル・レストランテ・ピザ&バー」がオープン。メニューは、手作りのナポリ様式のピザ、伝統的な小麦のパスタを、目的に応じて選ばれたトマトや3種類のピザソースで味付けしている。2つのピザオーブンをイタリアから取り寄せ、優雅で歯ごたえのあるピザ生地を実現している。
マラソンも佳境を迎える。ベネチアン&パラッツォの道を挟んで反対側にあるのがミラージュ。このミラージュの前の通りがゴールだ。
ミラージュは1989年にウィンが建設したメガリゾート。南国のパラダイスをテーマに、火山の噴火や熱帯植物、カラフルな熱帯魚が泳ぐ、まさに“砂漠の蜃気楼(ミラージュ)”だ。ミラージュは人と動物との絆、継続的な教育と研究を通じて動物と人を結びつけることに力を入れ、シークレットガーデン&ドルフィンハビタットでは、イルカを保護する一方でイルカショーや体験プログラムが開催されている。