生成AIの進化はめざましく、文章を生成してもらうことを活用すれば、いまや小説を書くことも可能です。どのようなジャンルでどんな作風の小説にしたいのか。指示を的確に行うことで、本物の小説家が書いている作品に近いコンテンツを生むことができます。
たとえば、「芥川龍之介テイストの作品を書いてくれ」といった指示です。太宰治でも構いません。村上春樹の世界観を反映した作品でもよいでしょう。
このような使い方がある一方で、自分が書いた作品のベースがある。それを入力し、よりエンタメ色の強い作品に書き換えたい。東野圭吾のような、時代を超越したミステリー風にしたいなど、アレンジとして使うことも可能でしょう。
つまり、作家を目指している、あるいは趣味で文章を書いている人の助けも、今後は生成AIが添削先生として、担ってくれることになるのです。
正式な作品も発表されています。堀江貴文氏がChatGPTを使って書いた『夢を叶える力』というビジネス書です。分量は約4万8000字、あとがき以外はほぼAIが作成し、制作時間は2時間だそうです。
タイトルについても、「堀江氏が書きそうな本のタイトル」を、と指示を出し、生成されたものをそのまま使ったそうです。アマゾンのレビューを見ると一長一短はあるようですが、それなりの評価を得ています。
文章生成AIに関しては、BtoB(法人)関連のサービスもいくつか登場しています。企業の法務担当者などが法律を元に作成する各種契約書を、生成AIがサポートするサービスなどです。
2017年、大手法律事務所出身の弁護士2名によって創業された、「LegalOn Technologies」という、リーガルテックベンチャーが手がけています。
これまでも、同社は契約審査を行うAIサービスや、同じくAIによる契約書の管理システムを開発していました。そして2023年の5月から、ChatGPTを使った契約書類の修正支援サービスを始めました。
同社のサービスはAIに入力する指示を調整する、プロンプトエンジニアリングと同じく注目されているサービスとも言えます。
単にChatGPTに契約書類を確認させるのではなく、正しい契約書類、つまり独自に生成もしくは保有しているデータを、一般的なChatGPTが学習で使う外部のオープンデータとは別に、学習させているからです。
つまり、公開されていない独自データによりChatGPTをチューンナップすることで、契約文書の修正に特化したサービスに仕立て上げたのです。同サービスを利用することで、契約書修正に要していた時間の2~3割を削減できるそうです。
このように、1つひとつの文字や文章に価値があるデータを持っている組織などは、同様のサービスを展開していく可能性は十分にあり得るでしょう。たとえば、何らかの学会の議事録といった領域などです。