もちろん、政府の課題、企業の課題、教育機関の課題が山積していることは言うまでもないですし、本書で言うように、技術変化に社会変化が追いついておらず、現在の社会制度に問題があることも確かです。
しかし一方で、変化への向き合い方に、ブレーキをかけてしまっているのは自分自身ということもあるのではないでしょうか。本書は、厳しい変化に翻弄されず、それを乗りこなす社会的開拓者になろう、と言っているのです。
また本書は、心理学者と経済学者が深く社会分析をしていくなかで、日本という個別具体的な国についての、今の状況を捉えた指南書として、見事に当てはまるものになっていますし、そのなかで、企業や教育現場、政府のなすべきことはこれだという提唱もなされています。
同時に、私たちの目の前にある現実への具体的なリアクション、その1個1個の認識を変える本になっています。
前作は、人生100年時代における気づきを与えてくれました。そして、今作は、個人と組織の具体的な関係性の地図を示してくれています。これを読んだ私たちは、何をするべきか。それを考えるときです。
本書は、生き方の教科書であり、出口の明るい希望の書、コロナ後の歴史的モーメント本でもあると思っています。
(構成:泉美木蘭)