「家族」というチームのつくり方

妻の愚痴に毎日付き合うのが苦痛です――愚痴問題を解決するカンタンな方法

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奥さんの愚痴、どうしていますか?

仕事を終えて家に帰ると、奥さんの愚痴が始まります。

・子どもが学校で何があったのか
・学校の先生がどう対応したのか
・子どもの友達の親から言われた言葉
・パート先の人間関係
・病院に行ったときのお医者さんの態度
・Amazonでポチッた商品の不具合

よくもまあ、毎日毎日愚痴を言うのが尽きないものだ、と感心する気持ちが半分。あと半分は、仕事で疲れているんだけど、また今日も同じような話を聞かないといけないの? という呆れた気持ち。
しかし、奥さんの愚痴を聞くことを拒否しようものなら、大変なことになるのはわかっています。

・なぜ聞いてくれないのか。
・私が日々、子育てと家族のことで奮闘していることを理解していないのか。
・自分への感謝の気持ちが足りていない。
・子育てを任せていて話を聞かないとはどういうことだ。
・話をちょっと聞くだけですっきりするんだから、夫婦で向き合う時間を作りなさい。

ものすごい攻撃が始まることがわかってるので、黙って聞くようにしている――そんな旦那さんも多いのではないでしょうか。

じつは、我が家も全く同じです。
そんなわけで、結婚して10年、7歳の子供がいる私の家庭では、毎日家に帰ると必ず30分は会話するというルールができました。
土日にたっぷり話したので平日はいいじゃないか、と私の理屈は通りません。会話を土日に貯める、というようなことはなく、毎日毎日会話しないと、夫婦関係はどんどん悪くなる、というのが奥さんの主張です。

そして、私から見て、愚痴とか文句に聞こえる彼女の話は、本人にしてみれば、全く愚痴でも文句でもなく、話したいことを話しているだけなので、意見もアドバイスも必要ないのだそうです。
ただただ聞いて、共感してほしいと、奥さんは言います。

男性脳と女性脳の違い

男性の脳と女性の脳は違うと言われます。
『話を聞かない男、地図が読めない女 ~男脳・女脳が「謎」を解く~』(主婦の友社/2000年)という本は、脳から見た男女の違いを明らかにしたベストセラーで、私は社会人2年目で読みましたが、この本に書かれていることは、組織において、今も変わらず重要だと思っています。

悩みや相談に対して、男性脳はすぐに解決策を提示しようとします。
狩りに出て獲物をとることに長けた男性脳は、何か問題が起きれば、解決しなければ気が済みません。問題を前にして、人間関係を気にしたり、他人の機嫌をうかがったりして、命を落としてはたまらないのです。どんな問題であれ、即座に解決する必要があると考えるのです。

一方で女性は、男性が狩りに出ている間、女性と子供だけで家を守ることになります。そこでは、命の関わるような問題は起きづらいものの、集団で共同生活を送っているため、人間関係がこじれることがリスクになります。
そのため、女性脳にとって、何か問題が起きれば、その問題はいわば「関係性づくりの道具」となります。
問題を別の誰かに相談したり、噂話にしたり、陰口を叩いたりしますが、解決しようとしているわけではないのです。その悩みをネタに、人間関係を構築しているわけです。

このように脳に違いがあるため、男性は、女性が悩みや問題を相談してきたときに、解決しようと謎のアドバイスをするのではなく、ただ話を聞いて共感する必要がある、というわけです。

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プロフィール

高野俊一
高野俊一

組織開発コンサルタント。
1978年生まれ。日本最大規模のコンサルティング会社にて組織開発に13年関わり、300名を超えるコンサルタントの中で最優秀者に贈られる「コンサルタント・オブ・ザ・イヤー」を獲得。これまでに年200回、トータル2000社を超える企業の組織開発研修の企画・講師を経験。
指導してきたビジネスリーダーは累計2万人を超える。
2012年、組織開発専門のコンサルティング会社「株式会社チームD」を設立、現代表。
2020年よりYouTubeチャンネル『タカ社長のチームD大学』を開設。2023年6月現在、チャンネル登録者約3万5000人、総再生回数380万回。
2021年より、アルファポリスサイト上にてビジネス連載「上司1年目は“仕組み”を使え!」をスタート。改題・改稿を経て、このたび出版化。
著書に『その仕事、部下に任せなさい。』(アルファポリス)がある。

著書

チームづくりの教科書

チームづくりの教科書

高野俊一 /
成績が振るわない。メンバーが互いに無関心で、いっさい協力し合わない。仕事を...
その仕事、部下に任せなさい。

その仕事、部下に任せなさい。

高野俊一 /
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