凄腕のスナイパー、セブン・ウォーカーは、傭兵を卒業し、恋仲にあった一般の男性と慎ましい結婚生活を送っていた。
しかし、彼女が所属していた無国籍の民間軍事会社『イノセント』のメンバーであるブルック・アートボードが、突如、彼女の家を襲撃する。
セブンとブルックは元々孤児であり、銃を持ち、戦場に行くことのみを教育されてきた純粋な“兵士”だった。
血に染まった人生を今更拭い去ることなどできず、自らの運命を受け入れるべきだと、彼女に諭そうとしたのだ。
ブルックは、セブンに憧れていた。
そして、彼女こそがイノセントの頂点に上り詰めるべきだと、子供の頃から感じていた。
イノセントの兵士を雇った国こそが、戦場の勝者になる。
そう囁かれるようになった巨大な組織の“現在地”にこそ、彼女が必要だと。
文字数 729
最終更新日 2024.12.15
登録日 2024.12.15
人気Vチューバー「青鮫透」は、若くして若年性の白血病を患い、余命が僅かに迫っていた。
青鮫透の大ファンである豊島ブン太は、幼馴染の瀬名サツキが、まさか“青鮫透”であることには気づいていなかった。
サツキは青鮫透として、Vチューバーとして、誰かに夢に与えられる存在になりたいと思っていた。
ブン太はいじめられっ子だった。
宇宙マニアで、いつも“数学ノート”と呼ばれるノートを持ち歩いていた。
彼はホーキング博士に憧れていた。
ブラックホールの謎を解き明かし、いつか宇宙の秘密に迫ってみたい。
そう夢見ていた。
ブン太は学校には行かなくなっていた。
高校2年生の頃だった。
全国でも有数の進学校に通っていながら、いじめが原因で不登校になってしまっていた。
サツキは彼が学校に行かなくなっていることを友達から聞き、彼の家に行く。
ブン太とは対照的に偏差値の低い私立の学校に通い、ギャルとして高校生活を謳歌していた。
サツキの初恋の相手は彼だった。
今じゃ恋心も無くなっていたが、彼のことが気がかりだった。
「私がどうしてVチューバーになったか、ブン太は知ってるの?」
少年と少女。
最初で最後の夏が、2.5次元の狭間で動き始める。
文字数 395
最終更新日 2024.12.15
登録日 2024.12.15
中学生の頃に両親を亡くし、高校を中退した小鳥遊みかんは、祖母と2人で実家の牧場を切り盛りしていた。
学生生活を捨て、生活のために働くことを決意したみかんだったが、次第に自分の将来について不安を感じるようになってしまう。
そんな折、とあることがきっかけで祖母と喧嘩した彼女は、小学生の頃に別れた幼馴染からの誘いで、上京することを決める。
幼馴染は彼女にとっての初恋の相手であり、もう二度会うことがないと思っていた「夢の中」の人だった。
沖縄に住んでいた彼女にとって、東京という街はそれほどまでに遠い場所だった。
会うためのお金も、時間も、子供だった2人にとっては、あまりにもぶ厚い「距離」だったのだ。
上京後、彼の紹介で大学の寮に上がり込んだ彼女は、幼馴染の夢である「カメラマン」の仕事のモデルになるため、ありのままの自分を探す日々を送る。
今を生きる人を撮りたい。
彼にそう言われ、将来の自分についてを考える日々が始まった。
未来のこと、やりたい仕事。
生きるべくして高校を中退した彼女だったが、「生きる」ということがどういうことかを、いつからか見失っていた。
上京して5年。
彼女の元に連絡が入る。
祖母が入院したという、親戚からの電話だった。
文字数 329
最終更新日 2024.12.07
登録日 2024.12.07
神辺高校に通う男子高校生、不知火潤平は、対悪魔組織、『ソロモン72柱の候補生』と出会う。
彼女は“リリム”と名乗り、現世に潜む下級悪魔、フレイムを駆逐するために働いていた。
フレイムは街の至る所に存在し、人々の“負の感情”を食べる存在であった。
空気を汚し、病気を蔓延させることで、大地を腐食させ、海を穢そうとしていた。
彼らは「空」からやって来た。
少なくとも、古代文明においては、そう言い伝えられていた。
——空。
つまり、銀河星雲の彼方より。
これは、人々に名前が宿るようになった後の物語。
変化のない世界から、変化のある世界へと変貌を遂げた後の、物語である。
文字数 231
最終更新日 2024.11.17
登録日 2024.11.17
はるか未来において、人類は「過去」を管理するネットワークを開発していた。
世界はやがて滅びる。
その運命に抗うためには、“過去を変える”必要があった。
しかし、それには問題がいくつかあった。
まず一つ、新しい未来を構築するためには、未来に存在するはずだった「記憶」を世界に返還する必要があった。
世界に流れている時間はたった一つだけであり、複数の時間を同時に交差させることはできない。
つまり未来を変えるには、これまでの時間を塗り替える必要があり、その意味で「記憶」を変換する必要があった。
もう一つが、「知脈(エビデンス・ライン)」と呼ばれる電磁波ネットワークへの侵入である。
過去を変えるには、人の遺伝子の中に流れる記憶を遡る必要があり、その「ネットワーク」を通じて過去へと戻る必要がある。
しかし、このネットワークに侵入することができるのは、生身の人間には不可能であった。
そのため、このネットワークに侵入することができる人工的な“知能”を生み出す必要があり、この知能を、人々は「返還者(ロスト・メモリーズ)」と呼んだ。
ロスト・メモリーズは、過去の人間の意識の中に潜り込み、その人間の人格を乗っ取ることができる。
『世界のゲート』と呼ばれる知脈を通じ、過去への扉を開く。
ロスト・メモリーズの使命は、かつて人々が開けなかった扉を、こじ開けること。
手に触れられなかった時間を、繋げることだった。
文字数 8,106
最終更新日 2024.11.17
登録日 2024.11.04
文字数 666
最終更新日 2024.11.10
登録日 2024.11.10
丹後半島の北東部、漁村伊根町。朗らかな村人たちに囲まれて生まれ育った下村カモメはある日、幼なじみの喜多川唄に海の貝殻を取ってほしいと頼まれる。
海の貝殻を約束の数だけ集めたカモメは、待ち合わせ場所の浜に行く。そこで一匹の小汚い鳥に出会う。その時、彼女は不思議な光に身を包まれた。
待ち合わせ場所に一向に来ない唄。カモメが村に戻ると、村人たちは口を揃えて他人扱いし、冷たく接してくる。更には次の日、学校で会った唄までカモメのことを初対面であるかのように言い出し、「10年前に溺れ死んだ友達」に似ていると言い出す。
唄から友達の墓にお参りに行ってほしいと言われ、カモメは町外れにある岬へと向かう
文字数 2,789
最終更新日 2024.11.10
登録日 2023.11.12
生命の魂を製造する機関、モンスターズ・バンク。
その”第1支部“と呼ばれる『自然科学研究機構(NINS)』では、ある事件が発生していた。
「竜人(アブソリュート)」と呼ばれる新型モンスターの研究で使われていた研究所から、テスト段階にあった1匹の竜人が脱走したのだ。
脱走した竜人は「コード:013」と呼ばれ、研究所職員をはじめとする第1支部の関係者は、急ぎ機動偵察部隊の派遣を帝国政府に要請していた。
事件からおよそ数年後、コード013は逃亡を続け、ある特殊なゲートから地上へと移り住んでいた。
地上。
——すなわち、“セントラル・ドグマ(魂の巣窟)”と呼ばれる人間界へ。
文字数 1,653
最終更新日 2024.11.10
登録日 2024.10.27
『オリジナルズ』と呼ばれる始祖バンパイアたちの配下の1人、天ヶ瀬結花は、自らがバンパイヤであることを隠しながら、何気ない学校生活を送っていた。
しかし、それと同時に、バンパイヤ特有の「空腹」に苛まされる日常を送っており、人間の血を吸う環境を求め、バンパイヤたちが集うガールズバー、『ルミナス』のバイト生になることを決意する。
ルミナスでは、催眠の効果によって言いなりになった男性客の血を吸いながら、人間生活の中に自然と溶け込めるシステムが構築されていた。
人間とは比べ物にならないほどの身体能力と、不死身の肉体を持つバンパイヤであっても、社会的に自らの存在を晒すわけにはいかなかった。
それは、バンパイヤたちが住んでいるとされる区域、「東京一番街」からの監視が厳しいためであった。
そう。
「東京」は、始祖バンパイヤと呼ばれる13人のバンパイヤたちによって支配されていたのだ。
そして、天ヶ瀬結花は、始祖バンパイヤに殺された少女の1人だった。
結花は、元々働いていたコンビニのバイト先で、バーの客であったある男と口論になっていた。
男はただの会社員であり、バーの常連客でもあったが、好みのタイプであった結花のバイト先を突き止め、ストーカー行為を働いていた。
困り果てた結花は、男性に「催眠」をかける。
ナイフを持たせ、自分を襲う。
そうすることで、“社会的に抹殺しよう”と企んでいたのだ。
計画はうまくいくはずだった。
同じ学校に通うクラスメイトが、コンビニに来るまでは——
文字数 25,726
最終更新日 2024.09.21
登録日 2024.08.24
あらゆる時空が交差する並行世界、——『ライブ・ビューイング』を自由に行き来することができる少年、スコール。
彼は「リンク」という特殊能力を生まれ持ちながら、並行世界の中の運命を変えるための配送屋(トレーサー)という職業についていた。
“エンドポイント”と呼ばれる終末点から、世界は無限に増殖する「不可侵領域(エンシェント・シー)」の渦に呑み込まれようとしていた。
世界は一度滅んだ。
エンドポイントの座標は並行世界を管理する“スカイネットワーク”と呼ばれる電波塔と重なっており、この電波塔は“世界が一度滅んだ後に”作られたと言われている。
スコールはスカイネットワークの中に存在している「プライマル」という人間であり、過去にも未来にも属していない人間だった。
故に彼は時空を越え、あらゆる未来や過去の中間を飛び越える翼を持っていた。
——そう、配送屋とは、世界が滅びる前の「空」を取り戻すために、『リンク』という特殊能力を持っていたのだ。
全ての世界を統合する一本の塔、スカイネットワークの中心に生じている、時空の揺らぎを閉じるために。
文字数 609
最終更新日 2024.09.18
登録日 2024.09.18
全てが作り替えられた世界、アルビオン
そこは、遺伝子にコードが埋め込まれた人間たちが住む世界であり、現実とは隔絶された区域に該当する世界である
“統一言語”と呼ばれる言語を話し、全てのものが、肉体を持たない。
言い換えれば、その場所は人間が生を受けるまでの空間であり、また、時間であった。
遥か未来、世界は機械に支配され、人間はコンピュータの活動に用いられるデータグラムとして、「夢」を見る役割を担っていた。
遺伝子プログラムと呼ばれるネットワークの中で、人間の持つ生物としての思考回路をインストールし、機械に“学ばせていたのだ”
機械は人間よりも遥かに優れた知能や計算能力を有していたが、唯一、「生」という概念にたどり着くことができずにいた。
生と死、物質と、非物質。
世界を支配するとはどういうことか。
世界に潜む可能性とは何か。
機械王国を統べる主、『プロメテウス』は、一度は滅ぼした人間たちと対話することを試みた。
全ては、生命という時間を手に入れるために。
文字数 2,541
最終更新日 2024.09.15
登録日 2024.09.08
年に一度の筆記試験に失敗した『見習い天使』勅使河原サユリは、下界への修行を言い渡される。
下界での修行先と住まいは、夏木りんという先輩天使の家だった。
りんは彼女に天使としての役目と仕事を指導する。
魔族との戦い。
魔法の扱い方。
天使の持つ「属性」について。
下界に転送され、修行を重ねていく最中、街に出現した魔族が暴走している場面に遭遇する。
平和だったはずの烏森町で暗躍する影。
人間の魂を喰らう魔族、「悪魔」と呼ばれる怪物が彼女の目の前に飛来してきた時、彼女の中に眠る能力が顕現する。
——痛快バトルファンタジー小説
ここに開幕!!
文字数 192,979
最終更新日 2024.09.12
登録日 2023.10.29