昭和初期小説一覧
20
件
時は大正時代から昭和初期でございます。身寄りのない私が里子として引き取られたのは、伊豆の国の山奥に佇む洋館でございました。
※男色的な表現あり
***
旦那様は不幸なお方です。
大変な美男でありましたが、両の足を悪くしてからは、そのご尊顔は不機嫌が常で、一日中書斎に閉じ籠るようになりました。
そんな旦那様の僅かなサインに気がつけるのは、私ぐらいのものでしょう。
「手水ですか」
恥じるように頬を染めて頷く美男に、私はどうしようもなく心が乱されてしまうのです。
***
つぶやき短編集
『不機嫌』×『サイン』より
朗読動画あります。
https://twitter.com/nao83466377/status/1484468214545338375?t=GKBY63poqZLHoA8N9-lmxg&s=19
表紙作成は、羽多奈緒さん(@hata_nao_)です。
ありがとうございます。
文字数 61,695
最終更新日 2023.12.02
登録日 2021.12.09
この話を書き始めた当時は思ってもみなかったのですが、ロシア軍によるウクライナへの侵攻を巡って広がった国際輿論を見るにつけ、強い“既視感”を覚えざるを得ませんでした。
ちょうど90年前の同じ季節、上海を舞台に日本と中華民国の武力衝突が起こった際、世界に広がった輿論と“瓜二つ”なのです。もっともあの頃は世界に多少なりとも“良識”が残っていましたから、「対日経済制裁」は瀬戸際で見送られることとなりましたが……。
上海での武力紛争に先立つこと4カ月、満洲事変が起こった時には外交団の間にこんなことが交わされました。
国と国との紛争ごとは、よくよくの“いきさつ”があってはじめて起こる。この“いきさつ”を無視して起 こった“事態”にのみ目を向ければ、絶対的に事を起こした側が悪者になる。
しかし悲しいかな、この“いきさつ”巴とても複雑で面倒だから、大方の人々はつい目をそむけたくなるのです。だから戦争はいつも、「突如として起こる」かのように見えてしまうのです。
筆者は決して、今回のウクライナ紛争におけるロシア側を擁護するとか、正当化するつもりはありません。ただ90年前、我々の父祖が“同じ経験”をしたという事実を知って欲しいのです。
この長たらしい小説はただひたすら記録に忠実に、昭和の歴史を描き出した実録となります。
※受験生には目の毒なので、R18指定をさせていただきました。
文字数 592,478
最終更新日 2022.05.03
登録日 2021.01.07
作家、蒼翅碧花が同居人ともども雲隠れしてから数か月。ある冬の朝、彼は自宅の庭で変わり果てた姿で見つかった。その傍らには一体の白骨死体が土から上半身を出している。一体この家で何があったのか?
おぞましくも悲しい二人の最期を紐解く、和風怪奇BL譚。
***
登場人物
・蒼翅碧花(あおばね へきか)※攻め
作家。酒と美男美女が好きな遊び人。
・北村瑤(きたむら よう)※受け
蒼翅碧花の同居人。近くの喫茶でボーイとして働く青年。
・小暮(こぐれ)
この作品の語り手でもある、蒼翅碧花の友人。
⚠︎注意事項⚠︎
・DV、スカトロ(小)描写あり
・ホラー要素強め
文字数 34,509
最終更新日 2021.12.25
登録日 2021.12.20
田舎の漁村で暮らすハナが拾った小瓶の中には、一通の手紙が込められていた。文通から始まる恋に、様々な人が、ものが、絡み合う。
文字数 4,505
最終更新日 2021.10.10
登録日 2021.10.09
昔の話。JRがまだ国鉄でもなく「省線」と呼ばれていたころの話。村の貧しい少女たちが、トンネル工事で賑わう温泉町で、体を提供して稼ぎます。
文字数 5,440
最終更新日 2021.08.04
登録日 2021.08.04
人は古来より様々なものを恐れてきた。戦争、疫病、災害これらのものは全て人々を迷信へと誘う材料となり、何世紀もの間、文明を停滞させてきていた。
だが、それらのものに紛れて人を襲う紛れもない『怪異』が存在していた。
その名は『妖鬼』。古来より、闇に紛れて人を襲うその怪物たちは人々に恐れられており、人々はこの『脅威』に対抗するために、『対魔師』を結成。
様々な時代を通じて『妖鬼』と呼ばれる存在へと立ち向かっていた。
時代は流れ、昭和30年代。科学と迷信とが同居していた古き良き時代と呼ばれる時代。
その時代を生きる青年、獅子王院風太郎は少ない収入で妹、弟と自分との三人で狭いアパートで仲良く暮らしていたのだが、ある日、家族で暮らしていた自宅に斧を持った怪しげな老人が侵入し、妹、弟を惨殺した後に、風太郎を殺そうとしたのだが、その前に彼は一人の可憐なセーラー服の少女の前に『除霊』される。
風太郎は『妖鬼』に惨殺された弟と妹の復讐を誓い、『対魔師』となるための修行を積み、成長していく。
この物語は一人の青年による『復讐』と『成長』の物語である。
文字数 358,147
最終更新日 2021.02.23
登録日 2021.02.08
文字数 19,030
最終更新日 2020.09.15
登録日 2020.09.15
ここは帝国海軍が誇る重巡洋艦「古鷹」のとある一室。
そして現在、ここでは主計科の長たる主計少佐が人生最大級の危機を迎えようとしていた。
すわ、緊急事態か、敵襲か。いいや、違う。「古鷹」主計長にとって目下最大の敵とは即ち──来週の、献立。
時は昭和初期。世界情勢が徐々に悪化していく中で、軍艦勤務の者も日に日に緊張感が高まっていた。
そんな海の男のご飯事情を支えているのが、軍艦の衣糧を担当する主計科所属の将兵たちだ。それはここ、重巡「古鷹」も例外ではない。
「主計看護が兵隊ならば、蝶々も蜻蛉も鳥の内」
などという嘲笑にもめげず、自分たちがいなければみんなの仕事が回らないという矜持を胸に、今日も主計科は独楽鼠のように駆け回る。
──これはそんな主計科の長として日々奮闘する、主計少佐のお話。
※時と場合によっては飯テロに分類される話ですので注意してください
※主計科とは経理を担当している部署です
※この物語は実在する帝国海軍の重巡「古鷹」とも史実の人物とも一切関係の無い話です。
※作中に登場する旧海軍に関するうんちく話についても「ふーん」程度に聞き流してください。
※ライト文芸大賞に出しています
参考資料
『海の男の艦隊料理─「海軍主計兵調理術教科書」復刻─』
『写真で見る海軍糧食史』
『海軍カレー伝説』
『海軍と酒』
『日本海軍がよくわかる辞典』
『海軍よもやま物語』
『物価の文化史辞典』
文字数 221,543
最終更新日 2020.06.19
登録日 2020.04.18
昭和7年。令嬢多喜子は不良少女団のボス、映画館の切符売りのハナと出会う。
境遇の違う少女二人は次第に仲良くなっていく。
そのうち、建築家になりたい多喜子、洋裁師になりたいハナ。
二人が望む未来に足を踏み出すまでのおはなし。
昭和戦前の、ご都合主義通俗小説を狙って書いたものです。その割には男女ロマンスはほとんどないです。
女子二人の友情がメイン。
文字数 33,854
最終更新日 2020.04.28
登録日 2020.04.28
昭和六年、広島。季節は冬から春へ向かおうとしていた。
海軍大尉である瀧本は、密かに関係を持っている陸軍将校の尾坂の家で情事を買わした後の一服を楽しんでいる最中だ。思いを寄せる尾坂の寝顔をこっそり楽しみつつ貴重な一本を堪能していると、不意に目覚めた尾坂が寄ってきて瀧本の煙草を奪い……
※こちらは『海辺のハティに鳳仙花』の番外編となっております。詳しい噺はそちらにあります。
※キャラの喫煙描写があります。
※そのものズバリの描写はありませんが、事後表現とディープなキス表現があるのでR15で……
※pixivにも投稿しています。
文字数 11,058
最終更新日 2020.04.08
登録日 2020.04.08
「さっさと降伏したらどうだ、海軍!」
「それはこっちの台詞だ、陸軍!」
大陸で戦禍の火種が燻る昭和六年八月、広島県呉港の近くにて。今宵も将来を約束されたエリート海軍大尉・瀧本零士と素行不良が原因で出世コースを外された陸軍大尉・尾坂仙が大喧嘩を繰り広げていた。周囲を呆れさせるほどの罵倒と殴り合いを続ける瀧本と尾坂だったが、しかしどういうわけか二人は喧嘩の最中に忽然と姿を消してしまうことでも有名だった。そんな彼らが乱闘現場から抜け出して向かう先は尾坂の下宿先。
実は喧嘩をしているその裏で、二人は密かに逢い引きを行っていたのだ。
瀧本が上陸するその日は、二人は尾坂の下宿先で激しい交接を行い夜を明かしていた。無論、これは誰にもバレてはいけない秘密である。
犬猿の仲で有名な二人が、態々危険を冒してまで逢い引きを繰り返す理由。それは名門華族の一族出身であり、恩賜組として輝かしい出世を約束されていたはずの尾坂が抱えた薄暗い過去に原因があり……
・殴る蹴る系の暴力描写があります。
・サブタイトルの後ろに「※」が付いているのがR18です。
・作中である登場人物が多数の人間から暴行を受けていたことを示唆する描写や自i傷i行為を行っていた描写がありますが、作者はそれらを称賛する意図はありません。
・また、舞台背景が1931年であるため、現代の価値観にそぐわない表現が散見されますが、作者にはそれらを肯定する意図もありません。
・受けが過去に多数の人間と関係を結んでいた描写や、攻めが女性と関係を持っていた事を匂わす描写があります。
・受けも攻めもどっちとも腹黒いです。ピュアな受けを求めている方はベッキ(後方)へお下がりください
・愛と憎しみだけはたっぷり込めました
※現在第二部を更新中
※2019年10月24日にタイトルを『鳳仙花』から今のに変えました。
※この話は2016年11月にpixivで公開した作品の加筆修正版になっております。
※ふじょっしーさんとムーンライトノベルズさんの所にも転載してあります。
文字数 437,113
最終更新日 2020.02.09
登録日 2019.10.21
昭和初期の頃。
恐慌で没落した貴族の和泉は、家柄を買われるように結婚をしたが、年上の義弟・英嗣に惹かれていく。
夫は新婚早々から冷たく向き合おうとせず、大姑のきつい言動で苛まされる日々。英嗣の笑顔と優しさだけが、暗く塞いでいる孤独な和泉の心を救ってくれていた。
英嗣さんは義理の弟――和泉は気持ちに蓋をした。
一年後、夏の酷く暑かった日の夜、あまりにもつらい出来事に和泉はとうとう泣いてしまう。そして英嗣が囁いた。
「しがらみなど関係なく、和泉さんを必要としてはいけませんか?」
必要とされた嬉しさと、癒えない寂しさ、押し殺していた恋慕……。和泉は英嗣に堕ちてしまう。
瀟洒な洋館の邸宅で、華やかな帝都で続ける不埒な愛人関係。
偽りの幸福の中、関係は突然終焉を迎える。
夫との結婚も、英嗣との日々もすべて偽りだったのだ――。
※雰囲気注意
※ムーンライトノベルズにて同タイトル短編投稿済です
※イラストは自作です
文字数 104,390
最終更新日 2018.06.12
登録日 2018.04.29
20
件