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第五十四話 因縁?

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 私はね、これはもう呪いとしか言いようがないと思えて来たの。

 大聖女クライネート様から通信が来たんだけど…?

 今回の星の涙の落下予想地点の場所が、忌まわしい記憶しかないレントグレマール王国って言われたのよ。

 しかも…私は船でオルシェフリッツ大陸に向かっている筈だったのに、大聖女クライネート様の通信を伝えた船長が船をUターンさせて、ダルンデス港に引き返す事になったのよねぇ。

 まぁ…このままダルンデス港に着いてレントグレマール王国に向かったとしても、私が着く頃には王国内は空っぽになっていると思うから、煩わしい人達に会う事はないとは思うんだけどね。

 でもね、1つ腑に落ちない事があってね…?

 私はファスティアの名前で活動していた筈なのに、大聖女クライネート様の通信で私に来た際に、本名であるレイラ・カストゥールの名前で来たのよね。

 大聖女様にはお見通しだったのかしら?

 更には、歴代の聖女達には無かった強大な魔力を保有している事も指摘されて…

 期待しているとまで言われたのよ。

 …な~んて期待されてもねぇ…?

 こんな話を突然されても困りますよね?

 話は…大聖女クライネート様の通信が来た時に話は遡ります。

 ~~~~~数分前~~~~~

 メナスとステファニーさんからの通信魔法から二日後…

 ステファニーさんから言われた通り、大聖女クライネート様からの通信を受け取りました。

 「貴女がレントグレマール王国の聖女のレイラ・カストゥールですね?」

 「何故…私の本名を⁉︎」

 声の感じから、妙齢の御婦人という感じでした…って当たり前か!

 魔凶星ディザステェルによる星の涙を数回経験している聖女という話でしたし、その数回が何回を指すのかは分かりませんが…?

 恐らくは100歳近い…いえ、下手すると100歳を超えているかもしれないといった感じでしょうね。

 そうでなければ、大聖女という呼ばれ方はしないでしょうから。

 「実は貴女に大事な話があります。」

 「魔凶星ディザステェルの星の涙に関する事なら知っておりますが…」

 「聖女レイラ、貴女は初めて体験する事だと思いますが?」

 「聖女ステファニーさんから一通りの話は聞きました。」

 「そうですか、あの子から…ならば、大方の話は知っているみたいですね。」

 「ただ…落下予想地点の話までは聞いていなくてですね、今回はどの大陸が落下予想地点なのでしょうか?」

 「貴女の祖国である、レントグレマール王国が今回の落下予想地点の可能性があります。」

 私はその話を聞いて…私はあの国とつくづく縁があるんだと思いました。

 まさか、レントグレマール王国とはね?

 「王国ネットワークの通信魔法により、既にレントグレマール王国の国王陛下には通達されていると思いますので、貴女も大至急向かって欲しいのですが…」

 「他の大陸ならともかく、私はレントグレマール王国が滅びようが滅亡しようがどうでも良いのですが…」

 「どちらも同じ意味ですけど、貴女は祖国が大事ではないのですか?」

 「両親からは虐げられ、妹からは婚約者を奪い取られ、10年間に及ぶ結界魔法を維持して来たというのに、そんなものは無いと言われ続けて非道な扱いをする…そんな故郷が大事だと思いますか?」

 私は全てを吐き出す様に答えると、大聖女クライネート様は暫く沈黙した。

 「ちょっと待って下さい! 星の涙の予想落下地点がレントグレマール王国で、国王陛下に通達が行っているということは…王国内ではどんな事になっているのでしょうか?」

 「通達された時点で、国王より国民に伝えられているでしょう。 今では、国民が一刻も早くレントグレマール王国から離脱しようと混乱していると思いますね。」

 …という事は、私がレントグレマール王国に戻る頃には、王国内に誰も居ない状態になっている?

 でも、各国の聖女達や騎士や冒険者達が集結するとかいう話も通達されているだろうから…私が戻れば結界を復活して貰えると思って、王族達は残っていそうな気がするわね?

 まぁ、私が戻った所で…結界を張る事はないし、星の涙の魔物達を逃さない様に結界を張る場合はあるかもしれないけど、あの王国に対して有利になる様な結界を張る気はないからなぁ。

 「う~ん、う~ん…」

 「詳しい話は現地に到着してから内容をお伝え致しましょう。 聖女レイラは一刻も早くレントグレマール王国に向かって下さいね! 貴女の有している膨大な魔力に期待しております!」

 大聖女クライネート様の通信は終わりました。

 私は正直言って…レントグレマール王国がどうなろうが知った事ではない。

 だけど、各国の聖女達も一斉に集結するという話になると、ステファニーさんや冒険者達でメナス達も来る事になるのでしょうねぇ?

 本当だったらバックれておきたい所だけど、メナス達が危険な目に遭うのは避けたいしなぁ。

 私は船の船長に言って、本来の進路からダルンデス港に引き返す様に伝えると、船は進路を変えてダルンデス港に向かって行った。

 そして私がダルンデス港に到着する頃には、レントグレマール王国の国民達がこの大陸から離れる為に船着場はごった返していた。

 「そう言えば聞きそびれたんだけど…星の涙はいつ起きるのだろう? その辺の正確な日付けは何にも聞かされていなかったんだけど…」

 各国が集結するという話だから、最低でも1ヶ月くらいは先読みしているとは思うんだけど?

 まぁ、行けば分かるか!
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