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第五十五話 何を期待しているの?
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あれから数日後…
私はレントグレマール王国に到着しました。
まぁ…当然の事だけど、城下街には国民の姿は殆どいなかった。
見掛けたとしたら、冒険者や兵士が街の中を彷徨いていた。
国王陛下がどういう発表をしたかにもよるけど、空から魔物の軍勢が降って来る…なんて話をすれば、国民達は一斉に逃げ出すでしょう。
私は一応、聖女達が集合している場所を目指して歩いていると…?
私より先に到着した一団がチラホラ見えた。
その中には、ドレクスの様に屈強な体格を持った女性がいて、背中には両手剣のグレートソードを二本担いだ法衣を着たムキムキの女性が立っていた。
「あの服装から見ると…あの人も聖女なのかな?」
私は遠目から見ていたんだけど、その法衣を着た女性は私に気付いたみたいで、私に近付いてきた。
「アンタがこの国の聖女か?」
「はい…」
あまりの体格の良さに、昔に物語で読んだアマゾネスと呼ばれた女戦士を彷彿とさせる感じでした。
聖女…というよりは、バーバリアンという方がしっくりする。
その聖女は私に挨拶するかの様に手を差し出した。
私もそれに応える様に手を出して握手をしようとすると、以前のステファニーさんの時の様にバチっと弾かれた。
「やはり…聖女同士だとこうなるんだな。 アタイはベルセラだ!」
「私はレイラと申します。」
本来なら、冒険者活動をしている時に名乗っていたファスティアを名乗りたかったけど、大聖女クライネート様からは本名で呼ばれたので、私は本名で名乗る事にした。
まぁ…メナス達と合流した際に、ややこしくなりそうな予感はするけど…?
そんな事を考えながら他の聖女を探していると、聞き覚えのある声が聞こえて来た。
「レイラは…聖女レイラはいるか⁉︎」
この声は間違い無く…レントグレマール王国の国王陛下の声だった。
自国の問題なので、国民は退避していても王族は残っているよね?
私は…無視して街の外に向かおうとすると、先程話しかけて来たベルセラが私の方を指差していた。
ベルセラさん…余計な事を。
それを聞いた国王陛下が私の元に駆け寄って来た。
「其方がレイラ…なのか⁉︎」
何をすっとぼけた事を言っているのだろうか?
星の涙の予想到達場所がこの王国と聞いて、頭が混乱しているのかしら?
貴方があの馬鹿王子との婚姻を決めた張本人の癖に…と思っていたけど、国王陛下の中の私の姿は銀髪だった所を思うと、今の変装した青髪を見て…私と分からないのかな?
「そうですけど…」
「良かった! 早速で申し訳無いが、以前に王国全土に張っていたという結界を…」
「張りませんよ? そんな事をしても無意味ですから…」
「なっ!」
私の以前張っていた結界は、魔物の侵入を退ける事が出来ていた。
前回の星の涙の時は、レントグレマール王国は一切参加していないという話なので、魔物の軍勢も結界で退けられるとでも思っている節が見えた。
「どんなに頑丈な橋でも、重量級の魔物がのしかかれば…数分で大破しますよ。 それと同じで、何万や何十万という魔物の軍勢が空から落ちて来たら、例え私の結界でも物の数秒しか持ちませんから…」
「だが、やってみないと分からないでは無いか‼︎」
やった所で目に見えていると諭しているのに、なぜ理解ができないんだろう?
「あの国王陛下…もしかして私が結界を張れば、レントグレマール王国が助かる…なんて思ってはいないですよね?」
「レイラの結界で防げ…」
「…ません! 先ほどもお話しした通り…あ~~~こう言った方が分かりやすいかな? 国王陛下は魔物の軍勢が、この付近にいるボアとかアルミラージなどの自然魔物とでも思っているんですか? 星の涙で襲って来る魔物の軍勢は、ドラゴンやベヒーモスと言った災害級や天災級クラスの軍勢ですよ!」
「むぅ………」
国王陛下は、大聖女クライネート様の放送を聞かなかったのかな?
各国の聖女や騎士に冒険者を集結させるという話を国王のネットワークから聞いていて、何で結界如きで追い払えると思っているんだろう?
「なら、この王国は…?」
「星の涙が終われば、地図から無くなるでしょうね。 それも…以前に星の涙で滅ぼされた王国の様に…」
私はそう話し終わると、国王陛下は肩を落として城の方に歩いて行った。
気持ちは分からなくは無いんだけどね。
それから三週間の月日が流れた。
各国の騎士や聖女達が集結して行き、その中にはステファニーさんやメナス達も合流した。
そして最後に、大聖女クライネート様の一団も集結し、作戦の発表がされたんだけど?
国王陛下もそうだったけど、大聖女クライネート様も私に何を期待しているんだろう?
そんな内容の話が出たのでした。
私はレントグレマール王国に到着しました。
まぁ…当然の事だけど、城下街には国民の姿は殆どいなかった。
見掛けたとしたら、冒険者や兵士が街の中を彷徨いていた。
国王陛下がどういう発表をしたかにもよるけど、空から魔物の軍勢が降って来る…なんて話をすれば、国民達は一斉に逃げ出すでしょう。
私は一応、聖女達が集合している場所を目指して歩いていると…?
私より先に到着した一団がチラホラ見えた。
その中には、ドレクスの様に屈強な体格を持った女性がいて、背中には両手剣のグレートソードを二本担いだ法衣を着たムキムキの女性が立っていた。
「あの服装から見ると…あの人も聖女なのかな?」
私は遠目から見ていたんだけど、その法衣を着た女性は私に気付いたみたいで、私に近付いてきた。
「アンタがこの国の聖女か?」
「はい…」
あまりの体格の良さに、昔に物語で読んだアマゾネスと呼ばれた女戦士を彷彿とさせる感じでした。
聖女…というよりは、バーバリアンという方がしっくりする。
その聖女は私に挨拶するかの様に手を差し出した。
私もそれに応える様に手を出して握手をしようとすると、以前のステファニーさんの時の様にバチっと弾かれた。
「やはり…聖女同士だとこうなるんだな。 アタイはベルセラだ!」
「私はレイラと申します。」
本来なら、冒険者活動をしている時に名乗っていたファスティアを名乗りたかったけど、大聖女クライネート様からは本名で呼ばれたので、私は本名で名乗る事にした。
まぁ…メナス達と合流した際に、ややこしくなりそうな予感はするけど…?
そんな事を考えながら他の聖女を探していると、聞き覚えのある声が聞こえて来た。
「レイラは…聖女レイラはいるか⁉︎」
この声は間違い無く…レントグレマール王国の国王陛下の声だった。
自国の問題なので、国民は退避していても王族は残っているよね?
私は…無視して街の外に向かおうとすると、先程話しかけて来たベルセラが私の方を指差していた。
ベルセラさん…余計な事を。
それを聞いた国王陛下が私の元に駆け寄って来た。
「其方がレイラ…なのか⁉︎」
何をすっとぼけた事を言っているのだろうか?
星の涙の予想到達場所がこの王国と聞いて、頭が混乱しているのかしら?
貴方があの馬鹿王子との婚姻を決めた張本人の癖に…と思っていたけど、国王陛下の中の私の姿は銀髪だった所を思うと、今の変装した青髪を見て…私と分からないのかな?
「そうですけど…」
「良かった! 早速で申し訳無いが、以前に王国全土に張っていたという結界を…」
「張りませんよ? そんな事をしても無意味ですから…」
「なっ!」
私の以前張っていた結界は、魔物の侵入を退ける事が出来ていた。
前回の星の涙の時は、レントグレマール王国は一切参加していないという話なので、魔物の軍勢も結界で退けられるとでも思っている節が見えた。
「どんなに頑丈な橋でも、重量級の魔物がのしかかれば…数分で大破しますよ。 それと同じで、何万や何十万という魔物の軍勢が空から落ちて来たら、例え私の結界でも物の数秒しか持ちませんから…」
「だが、やってみないと分からないでは無いか‼︎」
やった所で目に見えていると諭しているのに、なぜ理解ができないんだろう?
「あの国王陛下…もしかして私が結界を張れば、レントグレマール王国が助かる…なんて思ってはいないですよね?」
「レイラの結界で防げ…」
「…ません! 先ほどもお話しした通り…あ~~~こう言った方が分かりやすいかな? 国王陛下は魔物の軍勢が、この付近にいるボアとかアルミラージなどの自然魔物とでも思っているんですか? 星の涙で襲って来る魔物の軍勢は、ドラゴンやベヒーモスと言った災害級や天災級クラスの軍勢ですよ!」
「むぅ………」
国王陛下は、大聖女クライネート様の放送を聞かなかったのかな?
各国の聖女や騎士に冒険者を集結させるという話を国王のネットワークから聞いていて、何で結界如きで追い払えると思っているんだろう?
「なら、この王国は…?」
「星の涙が終われば、地図から無くなるでしょうね。 それも…以前に星の涙で滅ぼされた王国の様に…」
私はそう話し終わると、国王陛下は肩を落として城の方に歩いて行った。
気持ちは分からなくは無いんだけどね。
それから三週間の月日が流れた。
各国の騎士や聖女達が集結して行き、その中にはステファニーさんやメナス達も合流した。
そして最後に、大聖女クライネート様の一団も集結し、作戦の発表がされたんだけど?
国王陛下もそうだったけど、大聖女クライネート様も私に何を期待しているんだろう?
そんな内容の話が出たのでした。
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