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序章

兄妹の関係

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 見た目は全然似ていないけど、その少女とカーティス様は本当に兄妹なの……?
いや、まあ……兄妹であろうとなかろうと結婚式への乱入は許されないけど……。
だって、この結婚には────特別な意味があるから。

「お兄様!さあ、早く帰りましょう!こんなブスと結婚することありませんわ!」

「え?えーっと……とりあえず、落ち着こう?」

「落ち着いていられませんわ!だって、大好きなお兄様があんな芋女と結婚するところだったんですよ!?」

「あ、あのね?これには色々訳があって……」

「お話は後でお伺いします!それとも、私よりその芋女の方が好きなんですか!?私達は体の相性・・・・も抜群なのに!」

「り、リナ!それは誰にも言わない約束だった筈だよ!?」

 その少女───改め、リナさんの暴露発言により、カーティス様は顔を真っ青にした。慌てふためく彼の様子を見て、周囲の人々は眉を顰める。
私はと言うと……驚きや怒りを通り越して、もはや無だった。

 リナさんの暴露発言は一旦置いておくとして……お二人がご兄妹であることはほぼ間違いないわね。
まあ、兄妹と言っても母親違いの異母兄弟だけれど。

 リナさん───改め、リナ・キャンベル第一王女はカラミタ国王と側妃との子。
そして、カーティス様はカラミタ国王と正妃との子なのだ。
リナさんの容姿が母親似だから、外見が全然似ていなかったのだろう。

 まあ、例え異母兄妹であったとしても、兄妹間でそういう行為をするのはどうかと思うけど……。

「血の繋がった兄妹にも拘わらず、淫らな行為に走っていたなんて……」

「有り得ないわね」

「しかも、ニーナ様を芋女呼ばわりだなんて……信じられないわ」

「あの人達はこの結婚の意味を理解していないのかしら?」

 リナさんとカーティス様の態度に、結婚式の参加者は堪らずと言った感じで愚痴を零す。
もはや、結婚式の続行は不可能だった。

 はぁ……せっかく、式場の手配や招待状の用意まで頑張ったのに……一瞬で台無しにされるだなんて……。
いや、まあ……妹と性交に及ぶような人と結婚しなくて良かったけど……。

 結婚の法的手続きは結婚式が終わってから行う予定だったため、私とカーティス様はまだ夫婦ではない。
それが不幸中の幸いと言えた。

「とりあえず、詳しいお話は別の部屋で行いましょう。もう結婚式という雰囲気ではありませんし……」

「当たり前よ!貴方みたいな芋女との結婚式なんて、中止に決まっているわ!」

「こ、こら!リナ!」

 私相手に生意気な態度を取るリナさんに、カーティス様もいよいよ焦ってきた様子。
見るからに頭の弱そうな彼女は完全に私を見下していた。

 一応リナさんと私は『王女』という同じ身分を持っているけど、立場は私の方が上よ?だって、カラミタ王国とエスポワール王国では規模が違うもの。
国土、文明、軍事力、魔法力、経済力などなど……全てにおいてエスポワール王国の方が上だった。
だから、同じ『王女』でも彼女より、私の方が偉い立場にあった。

 それすらも理解せず、私にキャンキャン吠えるものだから、困ってしまうわ。

 私は未だにキャンキャン吠える子犬……じゃなくて、リナさんを見て内心溜め息を零した。
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