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5・新学期と学園祭

5-13・新学期の前に⑬

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 ちなみに同じことをミスティも、次いでにまだたった10歳やそこらでしかないアーディも理解しているので、彼らは彼らでいろいろとティアリィに悟られることなく熟していることがあるのだが、それはともかく。
 アリアはそれを踏まえて、今後のことについて、少し考えることにしたのだが、勿論、そんなことは顔には出さず、ただ、

「もし、宜しければ陛下、陛下ご自身が直接赴かれるのはもうしばらくお待ち頂いても宜しいでしょうか?」

 などと控えめにティアリィの行動を遅らせることにする。
 皇后、などと言う立場の人に対して差し出がましいことかとも思ったが、このようなことで彼が気分を害するわけがないこともまた、たった数度のやり取りで、アリアはすでに把握していた。

「構わないが……どうして?」

 案の定ティアリィは特に怒ったりだとかすることもなく、ただ小さく首を傾げ、不思議そうにするばかり。
 アリアは内心ほっとしながら、控えめに微笑んで言葉を続けた。

「先程申し上げた通り、こちらの把握している方々にはおおむね連絡が取れたのですが、もう少し、国内の方とも連絡が取れないか、試みてみたいのです。連絡を取った方々にも、特に国内の様子は確認して頂いている所でして……もし可能でしたら、そちらをもうしばらくお待ち頂けましたら、と……もし、実際に陛下が直接の国に赴かれることとなったとして、でしたら余計に、内情は出来るだけ事前に調べられるだけ調べておいた方がよいのではないかと愚考致しました」

 だからこそただ待って欲しい。
 そんなアリアの言葉に、ティアリィは頷いて。

「ああ、そうだな、確かに。君がそういうのなら、もうしばらく待とう」

 と、素直に引き下がった。
 アリアはまたも安堵しながら、もう一つ付け加えておくこととする。

「それと、確かに陛下が直接赴かれるのが早いかもしれませんが、先程申しましたのとも別で、こちらにも他に伝手がございますので、まずはそちらにも確認してみます」

 お急ぎかもしれないけれども。
 控えめなアリアの言葉を、勿論ティアリィは拒絶することなく小さく苦笑し、

「君に任せるよ。なら、もうしばらく俺は待っていればいいということかな?」

 と、ただそれだけを確かめた。

「そうですね、そうして頂ければ……ああ、こちらの把握できている者や、今現状でわかっていることについては後程まとめてお伝え致します。書面にしてしまっても?」

 それとも、口頭でだけ伝えた方がいいだろうか。
 書面という形で残ることを危惧したかのようなアリアの言葉に、ティアリィは首を横に振る。

「書面で構わない。その先の対処はこちらでしよう」

 そもそも、残って困るような物でもないというのがティアリィの認識で、ティアリィからしてみれば、これから自分たちがしようとしていることは、誰かに恥じたり、隠したりするようなものだとは思っていなかったのである。
 アリアは諸々踏まえて頷き、併せて、今後も随時報告すると更に告げ、その場のやり取りはそれで終わりとなったのだった。
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