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5・新学期と学園祭

5-14・久しぶりの再会①

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 キゾワリについてはそんな風、結局まだ少しアリアからの報告を待つこととして、その後すぐに長期休暇は終わりを迎え、学園に戻ることとなった。
 ティアリィは、国にはまだ戻る気になれなかったし、頼りになる息子もまた、まだ戻らなくていいと告げてきていて。
 ミスティにも会っていない。
 その事実になんだか胸が苦しくなるようだった。
 会いたい、そう思う。
 だけど同時に会いたくない。
 自分で自分の気持ちの整理がまだつけられておらず、時間をもう少しもらえるというのなら、ありがたいとしか思えなくて。ただ。

「とは言え、父様も流石にそろそろ限界ですから。もうあまり引き延ばせないとは、思っていらして下さいね。覚悟はお早く、つけておかれた方がいいですよ」

 等とも付け加えられているので、本当にあと数日だとは思うのだけれども。
 改めてできるだけ早く、自分の気持ちと向き合ってみようとそう決める。
 学園が始まると、きっとまた慌ただしくなってしまうことだろう、だから本当は休暇中にしたかったのだけれど、間に合わなかったのだ。
 そんな曖昧な気持ちのまま戻った学園で、ティアリィを待ち構えていたのは、結局、長期休暇中、一度も会うことのなかった、ピオラの婚約者候補でもある、ファルエスタ王国の王太子、ユーフォルプァだった。

「ティール!」

 そんな風に、ティアリィ、否、ティールの姿を見た途端、ぱぁっと顔を輝かせて、まるで子犬のように駆け寄ってくる。
 子供達とそう年の変わらない少年の姿が、ティールにはなんだか眩しかった。
 ちなみに前日には寮に戻っていて、だけどもちろん用がなかったので、挨拶も学園ででよいかと判断して、敢えて同じく寮に戻っていただろうユーファを尋ねず、登校日の初日に学園へと登校してきたところだった。
 声をかけられたのは門をくぐってすぐだったので、どうやら待ち構えていたようだと知る。
 なぜ、とは思ったが、そもそもティールは、そう言えば彼の学友の立場だったかと思い至った。
 友達を待っていただけだと考えれば、そこまで不自然でもない。
 とは言え、そもそも友達・・などほとんどいないティールにはよくわからなかったけれど。

「ユーファ殿下! お久しぶりです。ご挨拶にもうかがわず、申し訳ございません」

 共にいたピオラに、視線で断って、ティールも彼へと駆け寄った。
 長い休暇中、一ヶ月以上、否、ほとんど二ヶ月弱会っていなかったが、特に変わったような印象は見られない。
 それがいいのか悪いのかもわからないまま、ティールは慇懃に頭を下げた。
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