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ひとまず先に晩ご飯

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レイが俺と別れたがる理由が分からない、前触れもなかった。送信ミスであることを祈ろう。これだけ電話をかけてメッセージも送ったんだ、もし本当に別れるつもりでも折り返しがあるだろう。

「とりあえず……晩飯買いに行くか」

「私留守番で。しばらく歩きたくありません」

シュカはアキのベッドに寝転がって疲れた顔をしている。

「しゅーか! おひさし、ぶりー……です! ぼく、しゅーか、会うする欲しい、でした!」

「どうも」

久しぶりなのに素っ気ないのは気にならないのか、マイペースなアキはにこにこ笑顔のままシュカの頬にキスをした。

「……私今賢者タイムなんですよね。手マンしてあげる気にもなれないので、買い物に着いて行ったらどうですか」

「アキ、お兄ちゃん、買い物行くするぞ。アキ、来るするか?」

「да」

「リュウとセイカはどうする?」

「行くー」

「俺居ても邪魔だろ……待ってる」

「別に邪魔じゃないけど、そうだな。シュカも一人じゃ寂しいだろうし、二人で待っててくれ。あ、そうだアキ、グラサン貸してくれ」

カミアの放送事故の一件があってから、パーカーのフードを被ったり念のために顔を隠してきたが、よく考えると俺は高身長なので帽子やフードではあまり顔を隠したことにならない。サングラスなら適任だろう。

「別に一人でも寂しくないですよ」

「俺なんか居ない方がいいよな、ダイニングに行ってるよ」

「話し相手くらいは欲しいのでここに居てください」

明るさに弱いアキが愛用するサングラスは光の遮断率が高い、室内でかけるとほぼ何も見えないな。この部屋の灯りはアキが過ごしやすいよう調整されているからというのもあるが。

「水月ぃ、一つ頼みあんねんけどええかなぁ」

「ん?」

「……これ、入れていけへん?」

リュウの手には太く長いディルドがあった。

「お前いつの間にこれ引っ張り出したんだよ。って、入れてって……へぇ? そういうプレイしたいのか?」

「学校ではよぉ何じゃかんじゃと突っ込んだりしたまんま過ごしたやん? 夏休み入ってから毎日が物足りんくてなぁ……あかん? 荷物持ちはちゃんとやんで」

「いいぞ。でも俺は出かける前に手を洗うのは面倒で嫌だ。自分で勝手にやれ、見ててやるから」

ローションのボトルを投げ渡しながら冷たい目付きを意識しつつそう言うと、ゾクゾクと興奮していそうな顔をしたリュウは躊躇なくズボンを脱いだ。

「ん……冷たっ」

《え、何、何、買い物行くんじゃないの?》

《その買い物で変態プレイするらしいぞ、買い物にはちゃんと行くだろうからちょっと待ってろ》

ローションを絡めた指で自らの後孔をほぐし始めたリュウに、アキは酷く驚いた様子だった。

「狭雲さんって独学でロシア語習得したんでしたっけ?」

「へっ? ぁ、いや、本読んで、秋風に発音教えてもらって……だから、独学じゃないかな」

「教室とかに通ってないなら独学と言っていいと思いますよ。英語は出来ます? 教えて欲しいんですけど」

「英語……高一の範囲なら予習してるから何とか」

「ありがとうございます。水月、パソコン貸してください。学校のヤツ」

「あぁ、持ってくる」

学校で配られたノートパソコンを自室から取ってきて、電源とパスコードを入れてシュカに手渡す。

「宿題じゃなくて、えぇと……あった。これは過去の授業で使った問題集です、これを使って教えてください」

「……うん!」

シュカとセイカは仲良くなれそうだな。さて、リュウはそろそろディルドを入れられたかな?

「ぁ、んっ……んんっ! ぁ……水月、ちょお待ってな、もうちょいっ、んぅうっ……!」

ディルドは俺の陰茎より二回りほど小さいサイズだ。ローションを使えば無理せず挿入出来るだろう。

「ぁゔっ!? ふっ……気持ちええとこごりゅってしてもぉた……んっ、ぁ、あぁっ、あぁああっ!」

ずぷんっ、とディルドを根元まで飲み込んだ。開いた口から唾液を垂らし、余韻に浸るリュウの頬を軽く叩く。

「さっさとしろ」

「ひゃ、いっ……ぁ、水月、リモコン……これで合っとる?」

受け取ったリモコンを操作し、軽い振動にリュウが悶えるのを確認してスイッチを切り、ポケットに入れた。

「……このディルドのリモコンだな。間違いない。下着汚さないようにゴム付けとくか?」

「水月のん俺にはぶかぶかやねんけど……まぁないよりマシかぁ」

「自分のサイズは自分で持ち歩け、流石にそこまで面倒見ないぞ。アキ、準備はいいか?」

「да!」

黒い長袖長ズボンにつばの広い帽子、手袋にサングラス、露出を極限まで減らしたアキが元気に返事をした。

「リュウ、行くぞ」

「んっ……うわ、グラサン兄弟……これに挟まれるん嫌やな」

「三人並んで歩いちゃ邪魔ですよ」

「そういう話とちゃうねん」

「置いてくぞ~」

「ぁ、待ってぇな……ひゔっ!? ぅ、あっ、せや、これ動き気ぃ付けんとナカごりごりするんやった……ま、待って水月ぃ、待ってぇ……」

よろよろと俺を追ってくるリュウの姿に胸がときめく。やはり玩具を入れたまま平静を装って公共の場を練り歩くプレイは最高だな、まだ敷地内だけど。

「そういえば何食うか決めてなかったな」

「献立、はっ……安売りっ、ん……してるもんから、決めるもんちゃうん……」

「それもあり……お前スイッチ入れてないのにもうギリギリだな、感度上がってんのか? プレイにならないだろ」

「んなこと言われてもっ……ぁっ、ん……」

スイッチを入れたり軽く腰を叩いたりして遊びたかったが、出来そうにないな。残念だが、感度が高いのは喜ばしい。

「お、豚肉が安い……生姜焼きとかにしようかな」

ふらふらのリュウに合わせた速度で歩いたせいか、スーパーに着く頃には空が赤くなり始めていた。スーパーの入口付近に貼ってあるチラシを眺めて献立を考え、リュウに呼吸を整える時間を作ってやった。

「キャベツの千切りと味噌汁と……んー、小皿がも一品欲しいな。どうしよう……ぁ、ほうれん草も安い。ほうれん草にしよう」

「ふぅっ……ふぅっ……決まったん?」

「あぁ、悪いけど俺は母さんほどの腕はないから、栄養バランスとかはよく分かってないからそのつもりでな」

「ええよそんなん、日頃から気にしてへん」

買い物中なら多少立ち止まることもあるだろうし、スイッチを入れてみてもいいかもしれない。彼氏と一緒なら日々の買い物もここまで楽しくなるなんて、やはり恋人というのは素晴らしい……レイのメッセージが間違いであることを祈ろう、もし本気だったとしても考え直してもらえるよう何とかしたい。ちゃんと考えておかなければな。
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