秋物語り

 去年、一学期の終業式、亜紀は担任の江角に進路相談に行く。
 明日から始まる夏休み、少しでも自分の目標を持ちたかったから。
 なんとなく夏休みを過ごせるほどには子供ではなくなったし、狩にも担任、相談すれば親身になってくれると思った。
 でも、江角は午後から年休を取って海外旅行に行くために気もそぞろな返事しかしてくれない。
「国外逃亡でもするんですか?」
 冗談半分に出た皮肉をまっとうに受け「亜紀に言われる筋合いはないわよ。個人旅行だけど休暇の届けも出してるんだから!」と切り返す江角。

 かろうじて残っていた学校への信頼感が音を立てて崩れた。

 それからの一年間の亜紀と友人たちの軌跡を追う。
24h.ポイント 0pt
0
小説 194,094 位 / 194,094件 キャラ文芸 4,425 位 / 4,425件

あなたにおすすめの小説

【取り下げ予定】愛されない妃ですので。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。 国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。 「僕はきみを愛していない」 はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。 『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。 (ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?) そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。 しかも、別の人間になっている? なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。 *年齢制限を18→15に変更しました。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

不妊妻の孤独な寝室

ユユ
恋愛
分かっている。 跡継ぎは重要な問題。 子を産めなければ離縁を受け入れるか 妾を迎えるしかない。 お互い義務だと分かっているのに 夫婦の寝室は使われることはなくなった。 * 不妊夫婦のお話です。作り話ですが  不妊系の話が苦手な方は他のお話を  選択してください。 * 22000文字未満 * 完結保証

幼なじみは鬼神。そして私は巫女でした

りーさん
キャラ文芸
 神野三咲は、赤城夜見という幼なじみの男の子がいる。  その子とは同じ高校にも行けて、順風満帆かと思いきや。 「もう遊びに来ないでくれ」  彼が十六歳となった日に、彼からそう言われ、いきなり疎遠になった。  何度訪ねても出てこず、学校でも見かけず、しびれを切らした三咲は彼が外に出てくるまでまちぶせすることにした。  なんとか会えたと思い、彼に触れると、彼は痛がって離れてしまう。  その時に、三咲は代々優秀な祓い師を輩出した家系の末裔であり、先祖返りを果たした歴代最強と言われるほどの力を持つ祓い師であったこと、夜見はすべてのあやかしの頂点に立つと言われる鬼神だったことを知った。  そんな夜見にとって一番の天敵は三咲であったため、離れようとしていたが、三咲はそれは耐えられなかったため、なんとか一緒にいられる方法を模索する。

後宮の不憫妃 転生したら皇帝に“猫”可愛がりされてます

枢 呂紅
キャラ文芸
旧題:後宮の不憫妃、猫に転生したら初恋のひとに溺愛されました ★第16回恋愛小説大賞にて奨励賞をいただきました!応援いただきありがとうございます★ 後宮で虐げられ、命を奪われた不遇の妃・翠花。彼女は六年後、猫として再び後宮に生まれた。 幼馴染で前世の仇である皇帝・飛龍に拾われ翠花は絶望する。だけど飛龍は「お前を見ていると翠花を思い出す」「翠花は俺の初恋だった」と猫の翠花を溺愛。翠花の死の裏に隠された陰謀と、実は一途だった飛龍とのすれ違ってしまった初恋の行く先は……? 一度はバッドエンドを迎えた両片想いな幼馴染がハッピーエンドを取り戻すまでの物語。

【完結】愛していないと王子が言った

miniko
恋愛
王子の婚約者であるリリアナは、大好きな彼が「リリアナの事など愛していない」と言っているのを、偶然立ち聞きしてしまう。 「こんな気持ちになるならば、恋など知りたくはなかったのに・・・」 ショックを受けたリリアナは、王子と距離を置こうとするのだが、なかなか上手くいかず・・・。 ※合わない場合はそっ閉じお願いします。 ※感想欄、ネタバレ有りの振り分けをしていないので、本編未読の方は自己責任で閲覧お願いします。

【完結】愛も信頼も壊れて消えた

miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」 王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。 無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。 だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。 婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。 私は彼の事が好きだった。 優しい人だと思っていた。 だけど───。 彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。 ※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。

順応力が高すぎる男子高校生がTSした場合

m-kawa
キャラ文芸
 ある日リビングでテレビを見ていると突然の睡魔に襲われて眠ってしまったんだが、ふと目が覚めると……、女の子になっていた!  だがしかし、そんな五十嵐圭一はとても順応力が高かったのだ。あっさりと受け入れた圭一は、幼馴染の真鍋佳織にこの先どうすればいいか協力を要請する。  が、戸惑うのは幼馴染である真鍋佳織ばかりだ。  服装しかり、トイレや風呂しかり、学校生活しかり。  女体化による葛藤? アイデンティティの崩壊?  そんなものは存在しないのです。  我が道を行く主人公・圭一と、戸惑いツッコミを入れるしかない幼馴染・佳織が織りなす学園コメディ! ※R15は念のため