リーグ2制覇達成から翌年、まさかの5位転落という屈辱を味わった髙津ヤクルト。主力の不調や投手陣の不安、チームの歯車はまったくかみ合わず、覇者の面影は消えていた。
そして今シーズン。「ヤり返せ!」というスローガンを掲げた髙津監督は、どんなビジョンでチーム再建を図り、長いシーズンを戦っていくのか。本連載では、今年もインタビュアーに長谷川晶一氏を迎え、雪辱を誓う髙津監督のマネジメント術をお届けしていく。
(インタビュアー:長谷川晶一)
――9月13日、青木宣親選手が突然の現役引退を発表しました。監督は、いつ、どのようなタイミングで知らせを受けたのですか?
髙津 あれは神宮で試合があったときなので、9月6~8日の阪神タイガース戦のどこかの試合前に監督室で、直接本人から聞きました。
――どのようなシチュエーションで、監督はどのようなリアクションを見せたのですか?
髙津 時間にして10分から15分くらいでしたかね? 自らの意思で引退する選手だけでなく、戦力外通告を受けて辞めていく選手も含めて、これまで多くの選手たちの引退の場面を目にしてきたけど、青木から「今季限りで引退します」と聞いて、最初に言ったのが「もっと続けなよ」でした。一方では「長い間、お疲れさま」という思いはあるけど、もう一方では「もっと挑戦を続けなよ」という思いもあったのが正直なところです。
――それに対する青木選手の反応は?
髙津 まずは「ありがとうございます」と言って、「でも、考え抜いて決めたことなので」と言われました。もちろん、本人の決意を尊重したいけど、やっぱり「惜しいな」と思います。野球選手というのは、やっぱりプレーしてこその野球選手なんです。これはノリ(青木)にも直接言いましたけど、何年もプレーしてさまざまな喜びや悔しさ、修羅場を経験した大ベテランでも、一度も経験したことがないことがある。それは「辞める」ということ。誰だって辞め方がわからない。それは一度も経験したことがないから。辞める勇気がない。そういう意味において、「辞めよう」と決めた彼の勇気、決断を尊敬します。
――監督自身もそうでしたけど、やはり、自ら「引退しよう」と決めることは勇気のいることですか?
髙津 これは誰もが通る道です。誰もがいつかは引退する。でも、本音を言えば誰だって「本当は辞めたくない」って思っているんです。でも、ノリはそれを決意した。その勇気は本当にすごいことだと思います。そうしたことは、直接本人にも伝えました。