リーグ2制覇達成から翌年、まさかの5位転落という屈辱を味わった髙津ヤクルト。主力の不調や投手陣の不安、チームの歯車はまったくかみ合わず、覇者の面影は消えていた。
そして今シーズン。「ヤり返せ!」というスローガンを掲げた髙津監督は、どんなビジョンでチーム再建を図り、長いシーズンを戦っていくのか。本連載では、今年もインタビュアーに長谷川晶一氏を迎え、雪辱を誓う髙津監督のマネジメント術をお届けしていく。
(インタビュアー:長谷川晶一)
――セ・リーグは混戦状態が続いています。スワローズはなかなか波に乗り切れない中で、それでも他球団に食らいついています。まずはここまでの戦いをどのように振り返りますか?
髙津 リリーフエースがいない、セットアッパーがいない、さらにキャプテンの山田哲人、リードオフマンの塩見泰隆もいない、これだけ離脱者が続いた中で、本当に選手たちはよく頑張っていると思います。ただ、団子状態とは言っても、上位にいるわけではなく、借金生活の中で何とか食らいついている状況ですから、歯を食いしばって我慢だ!我慢だ!と自分に言い聞かせている毎日です。
――5割復帰が見えてきても、なかなか勝ち切れない。僅差の展開を拾えない。そんな試合が続いています。
髙津 0対1とか1対2とか、僅差のゲームが続いているけど、なかなかモノにできない。先制点を許してしまったり、リードしていても終盤で逆転されてしまったり……。本来ならば、僕たちがそういう試合をしなければいけないことですね。足りないところは明白なので、ぜひ一つずつ改善していきたい。そう考えながら日々の戦いに臨んでいます。
――「足りないところ」とは、具体的にはどんなところでしょうか?
髙津 田口麗斗、清水昇が離脱したことで、「リリーフ陣が手薄だ」というのがいちばんです。さらに、「右の代打がいない」というのもあります。もちろん、ファームと連携しながら足りないところを補っていくということもあるし、編成部の方は毎日戦力アップを考え大変だと思う。僕としては今いるメンバーで一番良い方法は何なのか考え、最高の答えを出す、やるべきことはたくさんあると思います。
――そうした中で5月15日、松山・坊っちゃんスタジアムでの対広島東洋カープ戦ではルーキーの松本健吾投手がプロ初登板、初先発、初完投、初完封と「初」づくしの好投を見せました。あの日のピッチングをどのように感じましたか?
髙津 久しぶりに、映像ではなく実際の投球を見ましたけど、感想としては「ピッチングになっているな」という思いでした。1球、1球に意味があるのがわかったし、あれだけいろいろな球種であれだけ空振りが取れるのも、なかなかすごいこと。一番はコントロールに苦労しないところですね。いろんな球種でストライクが取れる。三振がほしい場面では、空振りを取れるボールもあった。だからこそ「きちんとピッチングになっているな」って感じましたね。