――5月17日の阪神タイガース戦では山田哲人選手も復帰しました。これまで二度離脱していますから、復帰時期の見極めも慎重に行われたことと思います。
髙津 もちろん、トレーナー、本人からのゴーサインが出た上で一軍昇格を決めましたけど、僕自身としても「次にもう一度やってしまうと、今シーズンは終わってしまうかもしれない」と考えているので、「故障を繰り返さないことを第一条件として頑張ってほしい」と本人にも直接伝えました。
――そのときの山田選手の様子はいかがでしたか?
髙津 彼はね、何て言えばいいんだろう? 決して悪い意味ではなく哲人は心の感情がとても豊かなんです。「心の感情」というのは変な言い方だけど、とにかく繊細で、いろいろな感情があるんです。一軍に上がってきて、本人としても絶対にやる気満々だと思うんです。でも、そこで直接僕の思いを伝えた瞬間、彼の中で何かスイッチが入るというのか、表情がキリっとしたんです。
――以前から「山田には山田なりのキャプテンシーを発揮してほしい」と、監督は口にしています。山田選手の「心の感情」こそ、彼なりのキャプテンシーを生み出す源泉なのかもしれないですね。
髙津 外から見ていると、哲人の場合は闘争心とは無縁じゃないですか(笑)。ムネのように、ベンチの前に出て「さぁ、行け!」と大声でガッツを見せたりするタイプじゃない。でも、哲人の場合は「心の闘争心」があります。それはすごく強く感じます。
――「心の闘争心」ですか、外見には表れない内面の強さがあるんですね。
髙津 哲人の場合は闘争心、ガッツだけじゃなくて、悔しさ、虚しさ、寂しさも含めて、いろいろな感情が詰まっている。だから今回も、「次に故障したら許さんぞ」ということも伝えたんですけど、その瞬間に彼も感じるものがあったんだと思います。ハッキリと表情が変わりましたから。彼の存在は本当に大きいですよ。やっぱり、山田哲人ですから(笑)。本当に頼りにしていますよ。
――5月28日からは交流戦が始まります。対戦が楽しみなチームはありますか?
髙津 毎年、いつも楽しみだけど、今年は福岡ソフトバンクホークスとの対戦が楽しみですね。小久保裕紀監督の采配もそうだし、どれだけ強いのかを肌で感じてみたい。毎年、交流戦を境にしてペナントレースの行方も大きく変わってきます。この間もしっかり踏ん張って戦っていきます。引き続き、「応燕」をよろしくお願いします!
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