もし私がアドバイスを求められていたら、こんなリストは作らず逆に厳しい質問が予想される記者を先に指名して発言してもらう。前回の会見のように長い主張や質問が続けば『この後、多くの記者の方が質問を待っているので簡潔に願います』と司会が言えばよい」
広告代理店関係者はいう。
「会場や司会者をはじめとするスタッフの手配、当日の会見の運営・進行など、企業が記者会見でPR会社を使うことは一般的。クライアント企業が事前に質疑応答の際に指名NGの社や記者を指定することも珍しいことではなく、PR会社として、事前に質問NG記者リストを作成してクライアントに『どうしますか?』と意向を確認することは、倫理的・道義的な側面は置くとして、ビジネスとしては当然の行為。ただ疑問なのは、もし仮にジャニーズ事務所から事前の打ち合わせで『絶対当てないとダメ』と釘を刺されていたのだとすれば、クライアントの意向に背くかたちで一部記者を当てないようにするというのは、通常では考えられない。事務所側が嘘を言っているのか、もしくは、このPR会社内で情報連携ミスなどがあったということになる。また、スタッフが報道陣から丸見えの状態で顔写真入りのNG記者リストを手に持って会見場に入ってくるというのは、ちょっと信じがたいほどの失態。間抜けすぎて、PR会社としての能力を疑わざるを得ない
また、一部の記者に質問をさせないまま質問を打ち切ったことで、会見の最後のほうでは記者からクレームが出て場が騒然となり、混乱ぶりがテレビやネット動画を通じて広く伝わってしまった。結果としてこのPR会社自ら混乱を招いて会見の評価を下げた点も、PR会社としては失格といえる」
(文=Business Journal編集部、協力=平能哲也/危機管理・広報コンサルタント)