米アップル「iPhone」の4-6月期の国内スマートフォン販売シェアが前年同期から12ポイントも急減し、46%となったことがわかった。香港の調査会社カウンターポイントリサーチが発表した。国内でiPhoneの販売シェアが50%を下回るのは約2年ぶり。一方、躍進しているのがグーグル「Pixel(ピクセル)」だ。同期間のシェアは前年同期比6倍の12%に急伸し、iPhoneを猛追。9月に発売された「iPhone 15」シリーズは最下位機種でも12万円台(128GB)、最上位機種の「iPhone 15 Pro Max」は20万円台(512GB~)となるなど高額化が進むものの、目新しい機能追加・拡充はないとの評価も聞かれる。一方、6月に発売された「ピクセル7a」は6万円台となっており、またピクセル独自の便利な機能への認知も広まりつつあり、物価上昇で家計が圧迫される日本の消費者からの支持を広げているようだ。iPhone大国・日本で徐々に「iPhone神話」が崩れていくのか――。
円安などの影響を受け、iPhoneはここ数年、価格上昇が続いている。昨年7月には「iPhone 13」が9万円台から11万円台になるなど、全機種で約10~20%も上昇。今年9月発売の「iPhone 15」も高額さが話題を呼んだ。「15」ではUSB-Cコネクタの採用(全機種)、画面でのDynamic Island方式の採用(iPhone 15/15 Plus)、カメラ画素数の1200万画素から4800万画素への向上(同)、ボディのチタン化(iPhone 15 Pro/Pro Max)、カメラのズーム機能強化(同)、アクションボタンの設置(同)、A17 Proチップの搭載(同)などが主な機能拡張として挙げられる。
「一般的な日常使いをする分には、『便利になった』と感じるほど目ぼしい新機能はない。これまで『スマホはiPhone』という考えにとらわれていた人も、さすがにここまで高額になれば考えを変える。大半のユーザーはスマホに数多くある機能のほんの一部しか使っていないのが実情で、『高いお金を払って高機能のスマホを買うのはバカらしい』と気づく人が増えても不思議ではない。中古や割安の端末の機能が低いのかといえば、まったくそんなことはない。最近ではキャリア各社も格安料金メニュー拡充に力を入れており、これらと安い端末の組み合わせで十分だとするユーザーが増えつつある」(IT企業SE)
そんなiPhone離れが進むなか、国内で注目度が高まりつつあるのがPixelだ。5月に発売された6万円台の「ピクセルPixel 7a」は、メモリは8GBで内蔵ストレージは128GB、ディスプレイは約6.1型有機EL、外部ポートはUSB 3.2 Gen 2 Type-C端子。指紋による生体認証機能もあり、カメラは「広角」「超広角」のデュアル構成でオートフォーカスと光学式/電子式手ブレ補正機能も備えている。このほか、Qi(チー)規格のワイヤレス充電も可能で、VPNサービス「Google One VPN」の無料利用権もついている。
「PixelにあってiPhoneにはない機能もある。たとえば意外に便利だと評判なのが、録音した音声の自動文字起こし機能。結構精度が高く、100%正確ではなくても、会議の議事録をつくる際にゼロから文字を起こす必要がなく、劇的に手間を省ける。大半の人にとっては安いPixelで十分だし、日常生活で困ることはないだろう」(同)
世界のスマホ市場では、1位の韓国サムスン電子、2位のアップル、3位の中国シャオミと比べPixelの存在感はまだ薄い。だが、Pixelの1~3月の世界出荷台数は前年同期比67%増となるなど(カウンターポイントリサーチ発表より)、急速に販売台数を増やすなど、その勢いは無視できないほどになりつつある。