iPhone、日本でシェア急減の理由、50%割る…安いPixel人気急増

「iPhone SEシリーズの魅力であるコンパクトさは健在です。Pixel 6aは少々大型で、片手で扱うのがギリギリという感じです」(同)

 次は、スマホの性能差の指標としてよく語られるプロセッサーの違いを見ていこう。プロセッサーというのは処理装置のことを指し、それらの機能を組み込んだマイクロチップはスマホの頭脳ともいえるパーツだ。この性能が高いほど複雑な処理を快適にこなすことができるので、使いやすさに直結する部分になってくる。

 iPhone SE(第3世代)に搭載されているマイクロチップは『A15 Bionic』と呼ばれるもので、iPhone 8より最大1.8倍高速という圧倒的な性能を誇っており、ハイエンド機種のiPhone 13にも搭載されていたものと同じとなる。一方のPixel 6aに搭載されているマイクロチップは、 グーグルが独自開発した『Tensor』で、ハイエンド機種のPixel 6や6 Proと同じものだ。

「これまでPixelのなかでリーズナブルなシリーズである『a』モデルのプロセッサーは、ハイエンド機種には及ばなかったのですが、あえてハイエンドと同じものを採用してきました。アップルの戦略に合わせてきたんでしょうね」(同)

 では、両者の性能差はいかほどなのか。Geekbenchと呼ばれるプロセッサーの性能を測定できるソフトウェアで測ると、iPhone SE(第3世代)の『A15 Bionic』のほうが高い成績が出ているようだが。

「確かに数値的にはそうなのですが、それぞれOSが全く異なるものなので、操作性や画面サイズも違うため、数値の比較はあまり意味がありません」(同)

 次に気になるのは、ディスプレイ面での差だ。画面サイズはiPhone SE(第3世代)は4.7インチ、Pixel 6aは6.1インチとなっている。

「YouTubeやマンガなどを楽しみたいならPixel 6aの6.1インチは欲しいところ。一方で『通話やLINEができればいい』という程度であれば4.7インチのiPhone SE(第3世代)で携帯性を優先するのがいいのではないでしょうか」(同)

 次に、ディスプレイの美しさにおいては、iPhone SE(第3世代)は液晶パネルで、画素数は326ppi。一方のPixel 6aのパネルは液晶よりもくっきりと映し出される有機ELを使用しているほか、画素数も429ppiとなっている。

「写真や映像の鮮やかさではPixel6aの有機ELのほうが有利。解像度に関しては、2機種を隣に並べて比較しても、そこまでの差を感じないのではないでしょうか」(同)

 近年進化が顕著なカメラ機能はどうなのか。iPhone SE(第3世代)が広角1200万画素のカメラと、700万画素のインカメラだけなのに対し、Pixel 6aは、広角1220万画素のカメラと、800万画素のインカメラ、さらに1200万画素の超広角カメラが内蔵されているが。

「カメラに関してはiPhone SE(第3世代)はメモ程度なスペックなのに対して、Pixel 6aは複数のカメラがあり、夜景モード、そして撮影後に不要な被写体をデジタル処理で消すことができる『消しゴムマジック』機能が搭載されているなど、使い勝手がいいのは間違いないです」(同)

コストパフォーマンスで申し分のない「Pixel 6a」の勝利

 これらの他にPixel 6aにしかない特徴的な機能があると石川氏は語る。

「音声の文字起こし機能が印象的ですね。ボイスレコーダーで収録した音声を、内蔵のAIが自動で文字に変換してくれるのですが、かなり高性能なので仕事のミーティングや取材音源を書き起こす場面の多い人にとっては嬉しいでしょう。実際、自分もよく使っています。あとは、再生中の動画を自動翻訳してくれる機能もついています。これも内蔵AIをうまく活用した機能です。先ほど、Pixel 6aはプロセッサーの機能を有効活用できていると話しましたが、これらがまさにそうした部分といえるでしょう」(同)

 では、今回の比較で軍配を上げるならば、どちらになるのか。

「Pixel 6aに軍配を上げたいですね。もちろん、それまでiPhoneを使っていたユーザーが新規にPixel 6aへ乗り換えるとなると、それまで購入していたAppStoreで購入できたアプリの利用を諦めなくてはならないといったハードルもあります。ですが、単純にコストパフォーマンスという面で見ると、Pixel 6aのほうが使いやすく便利といっていいでしょう」(同)

 今後、iPhoneのシェアをどれだけ奪っていけるか、Pixelの躍進から目が離せなくなりそうである。

(文=A4studio、石川温/スマホジャーナリスト)