江川紹子が解説する【旧統一教会への調査指示】の意味と今後の注目点

 法改正時に閣僚が語った政治や行政の責任。今の岸田政権は、どう果たしていくのだろう。

 旧統一教会は宗教法人として解散命令の要件に該当する疑いがある、と認めて調査を指示した以上、形ばかりの「報告徴収及び質問」で終わらせるようなことがあってはならない。旧統一教会への調査は初めてのことであり、定員8名という文化庁宗務課のわずかな職員だけに任せるのではなく、十分な事実調査ができるような人的体制を作るのが、まずは政府の責任だろう。

 そして、教団の報告を聞くにとどまらず、被害者の証言を集め、これまでの司法判断とも照らし合わせる作業も必要だ。そのためには、これまで旧統一教会問題に取り組んできた全国弁連やこの団体の実態に詳しい学者など、専門家の意見も十分聞く必要がある。

 実態を明らかにする、実のある調査を、まずは行ってもらいたい。衆院予算委員会で岸田首相は、自身は旧統一教会とはかかわりを持たずにきたと述べ、「関係を持たない私が責任を持って未来に向けて、この問題を解決したい」と決意を語った。

 この決意が果たされるか、注視したい。

(文=江川紹子/ジャーナリスト)