NHK、スマホ保有のみでも受信料徴収へ、議論加速…テレビ非保有の流れに対抗

「それ以外の世帯の費用負担の性質としては、受信料型を目指すことに一定の合理性有り」

「受信料型の場合にパソコンやスマホなどを所持・設置したうえで常時同時配信を利用するために何らかのアクションもしくは手続きをとり視聴可能な環境をつくったものを費用負担者とすることが適当」

 さらに、19年に最高裁判所は、テレビのワンセグ放送を受信できる携帯電話を保有している場合、NHKと受信契約を結ぶ義務があるとする判断を下しているが、テレビ局関係者はいう。

「NHKが数年前から着々と、スマホ保有者から広く受信料を徴収できるように“下地づくり”を進めていることは明らかで、実際にその環境は整いつつある。たとえば東京五輪や北京五輪の開会式や競技の中継をスマホで見ていたという人も一定数おり、NHKが“テレビを持っていなくてもスマホでウチの放送を見てるんだから、受信料を取って当然”と考えるのは理解できなくもない。

 だが、NHKがIOCに支払う莫大な五輪の放映権料の原資は、もとをたどれば国民から徴収した受信料。NHKがなくなったとしても民放やネット配信で五輪は見れるので、国民は困らないし、今はNHKが開閉会式や多くの競技を中継しているから、私たちもNHKでそれらを見ているにすぎない。

“災害報道や政見放送、国会中継などのためにNHKは必要”という声もあるが、多額のコストを投入して運用されるNHKという組織がその機能を担う必要はなく、国がはるかに低コストでそうした情報を国民に向けて発信する仕組みを税金で構築すればよい。さらにいえば、受信料として集めたお金から多額の製作費を費やして、ドラマやバラエティ、『紅白歌合戦』などを制作する必要性があると考える国民が、どれだけいるのかという問題もあるし、事実上の民業圧迫だという批判は以前から業界内で根強い。

 NHKが一組織である以上、自らの組織を存続させようとあらゆる動きを取るのは当然。そこは国が法律を変えるなどして、NHK解体も含めた新たな枠組みを模索しない限り、議論は進まないだろう」

(文=Business Journal編集部)