「100万票プロジェクト」というタグを、恥ずかしながら降ろしました。これは「夢みたいなことを言っている場合じゃない」と。そして選挙戦最終版の全力の選挙戦に至りました。
――表現の自由や長年のロビー活動の結果、漫画・アニメの海賊版サイト規制などが進み、『漫画村』などを閉鎖に追い込みました。日本がそれぞれの問題にどう対策をとればいいのかという、ひな型ができました。今後は、ロビイストではなく、政策立案者としてどのような活動をされてく予定ですか。
赤松 これまでの活動をさらにパワーアップしてやります。
表現の自由に関していえば、現実問題として山田太郎議員が3年前にものすごい得票数で当選してから、自民党内で『漫画を規制しよう』という人はほぼいなくなりました。
一方で国連からの勧告などには対抗していく必要はあります。ただ、自民党は「表現の自由を守っていこう」と言っているぐらいなので、今のところネガティブな議論はありません。
海賊版については、リーチサイト(コンテンツが掲載されている海外の違法サイトへのURLリンクが貼られているサイト)規制が始まって、国内のリーチサイトはなくなりました。しかし、海外にはまだあります。ベトナムなどを中心とした海賊版サイトがちょこちょこ出現しては、つぶされている状況です。
20年ぐらい海賊版サイトの情勢をチェックしていたのですが“漫画BANK”を倒したころから、半減しました。海賊版業者も疲れてきたんだと思います。おそらく、そうしたサイトの運営に従事する人も減っているのではないかと思われます。
昔は「週刊少年ジャンプ」(集英社)や「週刊少年マガジン」(講談社)の単行本の発売当日に、内容がスキャンされ、海賊版サイトにアップされていました。今は数日かかります。おそらく人が少ないのだと思います。
永遠にイタチごっこが続くかと思われたこの戦いですが、もしかしたら倒せるかもしれないと思っています。ここまできたら、議員になって、海賊版サイトが運営されている複数の国を訪問して息の根を止めたいと考えています。漫画家として、議員として訪問し、政府と交渉してきたいです。
むこうの国民や業者にも、海賊版が運営されることによって何千億円、場合によっては1兆円を超える被害が出ていること、「このままでは新人の漫画家がみんな死んでしまう」という窮状を訴えたいと思います。新人の漫画家が潰れてしまうことは、そのまま漫画の未来が先細ってしまうことを意味しますから。
――漫画を通した文化外交も今回の選挙で訴えられていたと思います。
赤松 9月に、まずはフランスへの視察を計画しています。1年生議員がいきなり海外視察に行くのは、憚られるところもあったのですが、党内で調整し、行けるようであれば行きたいと考えています。
7年前にジャパンエキスポにオフィシャルゲストでパリに行った時、20人くらい記者が並んでいる前で会見したことあったんです。
その際に出た質問が、「『魔法先生ネギま!』はなぜ中途半端な終わり方をしたのですか?」でした(笑)
「なんだそれ!この人たち作品にやたらと詳しい!」とびっくりしました。
本気で作品の内容に関して聞いてきてくれるんです。日本の漫画やアニメに対して造詣が深い人は多いです。
また、平和じゃないと漫画は描けませんよね。(編集部注:ウクライナ戦争開戦後、日本国際漫画賞を受賞した)ウクライナの漫画家さんもそういっていました。漫画を通じた国際友好を即やります。クリエイターじゃないとできないし、クリエイターだけではできない。議員であってクリエイターであれば素晴らしく進みます。