会員の約4割が女性、取材が殺到する空手教室の秘密…コロナ禍でも会員は過去最多

会員の約4割が女性、取材が殺到する空手教室の秘密…コロナ禍でも会員は過去最多の画像7
ファッションモデルで女優の井桁弘恵氏(右)のスタイルブック『ここからいげた』(文友社、2021年11月刊)では、撮影協力もした(写真提供=空優会)

キーワードとして「脱・汗臭さ」も大切

 ご存じのように、時代が変われば世間の意識も消費者の心理も変わる。伝統を軽視するのは問題だが、伝統だけに固執すると、やがて時代に取り残されてしまう。

 空手教室は武道の鍛錬の場だが、消費者から見れば「習い事」の一面もある。礼儀やしつけを重視して、子どもを通わせる親も多い。「スポーツ教室ではなく道場。高圧的ではない、一定の厳しさは必要」というのは、関係者に共通する。

 ただし「脱・汗臭さ」も意識したい。ここでは、汗臭さ=キツイ・過酷な根性論的イメージ、という意味で用いた。

 スポーツ用品市場を例にとると、同市場で最大規模はスポーツシューズだ。練習や試合の道具としてだけではなく、街歩きの快適性も訴求して支持が広がった。

 今回の事例では、「スロー空手ストレッチ」や「ロゴ入りのトートバッグ」が、脱・汗臭さといえる。マーケティング手法として行ったわけではないが、受け手側は敏感だ。

<「子どもたちには長く続けてもらうこと」、もうひとつは「年をとって身体は衰えても、心まで一緒に衰えないように」…「いつまでも」という言葉を足しました>

 空優会を設立した当時、髙橋氏は自らのブログにこう記した。

 コロナ禍で海外会員のリアル体験機会が喪失するなど同会にも課題は残るが、空手という成熟市場を活性化させる例としてご参考いただきたい。

(文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)

高井 尚之(たかい・なおゆき/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)

学生時代から在京スポーツ紙に連載を始める。卒業後、(株)日本実業出版社の編集者、花王(株)情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。出版社とメーカーでの組織人経験を生かし、大企業・中小企業の経営者や幹部の取材をし続ける。足で稼いだ企業事例の分析は、講演・セミナーでも好評を博す。近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)がある。これ以外に『なぜ、コメダ珈琲店はいつも行列なのか?』(同)、『「解」は己の中にあり』(講談社)など、著書多数。