会員の約4割が女性、取材が殺到する空手教室の秘密…コロナ禍でも会員は過去最多

 会員のなかには「中年になると叱られる機会も減るが、ここは作法がきちんとしていて成長できる」と話す人もいた。

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2017年に『スロー空手ストレッチ』(プレジデント社)を刊行。今でもテレビが取り上げるなど話題を呼んだ(写真提供=空優会)

いち早く「オンライン教室」も充実させた

 稽古中は年齢も社会的立場も関係ない。時には、初心者の60代の白帯が、黄帯(8級)の幼稚園児に頭を下げて形を学ぶこともある。先輩園児も「足、逆だよ」と優しく教える。若い頃から他の流派で学んだ50代の有段者は「指導員のスキルが高く、生徒の力量に応じて初心者からベテランまで、きめ細かく指導してくれる」と話す。それぞれのレベルに応じて参加できるのだ。

(3)は、最初の緊急事態宣言が出た2020年4月、いち早くオンライン教室を開始。当初は1回30分だったが、指導員が工夫して同年5月から1時間のオンラインに進化させた。同時期に大画面ディスプレー、空気清浄機にも投資。「浮遊ウイルス除去装置導入」も掲げる。

 現在、空手教室は「初心者、組手、形、空手ストレッチ、空手ヨガ、イベント」などのクラスに分かれ(赤坂教室の例)、オンラインのみで参加できるコースも設けている。

 また、「日本伝統空手協会」も設立し、髙橋氏が会長を務めるが、名称とは裏腹に、同会のロゴはポップなデザインだ。コロナ禍では、ロゴ入りのトートバッグも全会員に送付した。

 興味を持つ人向けには「3回の無料体験」も導入。この体験を経て入会する人も増えた。さまざまな取り組みで、既存会員のフォロー、新規会員の訴求を行うのだ。ちなみに会費は、一番人気の月8回(自由に選べる)が1万1000円、オンラインのみは5500円~だという。

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3回の無料体験でもトートバッグがプレゼントされる(写真提供=空優会)

メディアが注目する理由は何か

 冒頭で、メディア取材も多いと紹介した。ここでは「取材が多い=関心を持たれる」の視点で考えたい。良い商品やサービスがあっても、関心を持たれないと日の目を見ないからだ。

 前述の3つのポイントでも触れたが、メディアが興味を持ち、世間の関心が高まるものに“ギャップ”がある。「AだからB」ではなく、「AだけどB」という視点だ。

 昨年の東京五輪の柔道競技で、もっとも人気を呼んだ選手は「阿部きょうだい」だった。男子66キロ級で優勝した阿部一二三(ひふみ)氏(当時23歳)と、妹で女子52キロ級優勝の阿部詩(うた)氏(当時21歳)の2人だ。試合では厳しい表情だが、普段は今どきの若者の素顔を見せる。このギャップも注目され、民放のバラエティー番組にも多数出演した。

 これを空優会に当てはめると、「女性会員の多さ」「女性の総師範」「指導員の若さ」「会員の年齢の幅広さ」など。つまり一般的な空手のイメージを、良い意味で裏切るギャップだ。

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女性会員も多く在籍する(写真提供=空優会)

テレビ、新聞、出版が何度も取り上げる

 2019年、人気ロックバンド「KISS」のベーシスト、ジーン・シモンズ氏をNHKが密着取材。同氏が日本コンサートの合間に空優会を訪れ、髙橋氏からレッスンを受ける様子も放送した。2022年2月には「スロー空手ストレッチ」が読売新聞オンラインでも紹介された。4月には『Oha4!NEWS LIVE』(日本テレビ系)で「4月から始めてみたい朝活!~早朝空手~」として放送された。

 また、メディアが取材先を探す場合、ある意味で“保険”となるものが欲しい。たとえば、「過去の実績はあるか」(他のメディアでの紹介例)、「現在も活躍しているのか」(旬かどうか)などだ。メディアによく登場する飲食店なども、こうした原則を満たす例が多い。