現在、最高の経営者ランキング…3位の永守重信、2位の柳井正を抑えて1位は?

 5年後の「最高」経営者の第1位はソニーグループの吉田憲一郎会長兼社長CEO。脱炭素の本命はEVである。先行するテスラを追って異業種からの参入が相次ぐ。アップルは25年に「アップルカー」を投入するとの観測が流れる。ソニーグループは、EVへの本格参入を表明した。「走るスマホ」化が進むことで、デジタル技術が得意なソニーの強みが発揮できると計算している。「ソニーカー」は「アップルカー」に対抗できるか。

 以下、順不同でリストアップする。

 グリーの田中良和会長兼社長。フェイスブックは社名を「メタ」に変更した。「メタバース」と呼ばれる仮想空間分野への1兆円の投資を公表しており、メタバースに注力する。SNS(交流サイト)のグリーはメタバース事業に参入し、今後2~3年で100億円規模の投資を実施する。子会社が運営するバーチャルライブ配信アプリ上でアバター(分身)が活躍し、ライブ配信やゲームを楽しむ。2030年代ごろまでには、今SNSを使っている人の多くがメタバース上でアバターを持つ時代になると田中は予測している。それに備え、SNSからメタバースに経営の軸足を移す。

 リクルートホールディングスの出木場久征社長兼CEO。「仕事探しはインディード」「バイト探しはインディード」のCMでおなじみの求人情報サイトの米インディードを2012年、リクルートHDが1000億円で買収し、ドル箱にした。米グーグルは日本で、求人サービス「グーグルしごと検索」を始めた。リクルートの「インディード」とグーグルの「しごと検索」がガチンコ対決で火花を散らす。リクルートは負けられない。

 任天堂の古川俊太郎社長。マイクロソフトは今年に入り、ゲームソフト会社アクティビジョン・ブリザードを7.9兆円で買収した。世界のゲーム機市場でソニー、中国のテンセント、任天堂に後れをとっているマイクロソフトが巨額買収で巻き返しに出た。マイクロソフトの猛攻に、ゲーム機「ニンテンドースイッチ」を擁する任天堂はどう対抗するのか。

 5位はStrolyの高橋真知社長。「グーグルマップ」が1強の地図サービスに、手書きイラスト地図を位置情報に埋め込んでスマホで使えるようにするサービスのスタートアップがStroly(ストローリー、本社京都市)である。高橋社長は米カールトン大学美術学部卒。国際電気通信基礎技術研究所(京都府)に入所し、新規事業立ち上げに参画。京都・太秦の映画村で外国人向けのデジタルガイドを提供したところ、外国人に大うけだった。

 2016年に独立。おすすめスポットを記した手描き地図を作り手が自由に投稿し、利用者はそれを使い観光地やレストランを巡る。一般的な地図アプリよりテーマ性がはっきりしており、「デジタル地図に新風を起こした」と高く評価され、京都女性起業家賞を受賞した。日本では珍しいSNSのスタートアップというだけではなく、女性経営者としても注目されている。米テキサス州のイベント「サウス・バイ・サウスウエスト」のスタートアップのコンテストに日本企業として初めて参加した。

 以上5人は、巨大IT企業の対抗軸となりうる経営者だ。

 IT企業という範疇を離れ5年後のリーダーを考えると、現在60歳台前半がベスト。60歳台半ばが年齢的にタイムリミットになる。流通・小売りではファミリーマートの現社長細見研介(59)やローソンの竹増貞信社長(52)が候補だ。竹増は三菱商事への復帰が取沙汰されている。

 メガバンクは三菱、住友のどちらかか、りそなだ。三菱、住友はどちらも異色のキャリアだったと記憶する。三菱UFJフィナンシャルグループの三毛兼承社長(65)、三井住友フィナンシャルグループの太田純社長(64)、りそなホールディングスの南昌宏社長(56)は5年後のリーダーに該当する。