私立大学の46%が入学定員割れに…私大の“連続倒産時代”は本当に来るのか?

 千葉県四街道市の愛国学園大学の入学者は、中国・武漢市で新型コロナウイルスが発生する前の2017年119人、2018年97人、2019年は59人だったのに、2020年45人、2021年21人と激減。その結果、2017年の在籍者数210人から2021年は143人に減り、現在の収容定員充足率(在籍者数/収容定員400人)は35.8%である。在籍者数のうち留学生が121人もいる。

 ほかの私大でもコロナ禍で留学生の移動問題がからみ、学生の確保に苦しんでいるところが多い。しかし、その点を数字的に明らかにしない大学がほとんどなので、全体的な動向もはっきりしない。

 また、入学定員充足率は80~90%を確保しても、中退率が高いと収容定員充足率は低くなる。経済格差の拡大で中退率が高くなる大学も少なくない。特に学生数1000人未満の小規模私大は、平均して10%前後と退学率が高い。留学生の中退率の高さを指摘する意見もある。コロナ禍で動きが止まった留学生と、低くない中退率の問題も、定員割れ私大の増加に内在化する問題として、しっかりと認識しておく必要がある。

 コロナ禍を体験した今だからこそ、安全が確保できれば「できる限り早く多くの外国人留学生を地方の大学に迎えて、地域社会とコラボレーションして地域創生につなげる」方針を実現すべきであろう。

(文=木村誠/大学教育ジャーナリスト)

●木村誠(きむら・まこと)
早稲田大学政経学部新聞学科卒業、学研勤務を経てフリー。近著に『「地方国立大学」の時代?2020年に何が起こるのか』(中公ラクレ)。他に『大学大崩壊』『大学大倒産時代』(ともに朝日新書)など。