秋といえば食欲、読書、運動など。暑い夏から過ごしやすい季節になって何かやろうかなという気になりやすい。さらに、コロナ禍で在宅時間が増え、スキル向上やキャリアアップのために資格取得にチャレンジするなど自己投資を始める人も多いようだ。
筆者は、ファイナンシャル・プランナー(FP)として独立して20年以上になる。これまでFP資格取得講座の講師やFPテキストなどを執筆したこともあり、FP資格に関する数多くの質問や相談を受けてきた。
さらに、最近では、これからの働き方や新しい収入源を模索する人が増えたためか、「FPとして独立開業したいがどうすれば良いか」といった問い合わせも増えている。
そこで今回は、資格としてのFPやその現状・活用法、独立開業する前に知っておくべき「やってはいけない」5つの行動についてご紹介しよう。
株式会社ユーキャンが、20~50代の男女430名を対象に行った調査によると、2021年に武器になると思う資格は、1位「TOEIC L&Rテスト」、2位「FP」、3位「マイクロソフト・オフィス・スペシャリスト(MOS)」、4位「行政書士」、5位「簿記3級」の順となっている。
なんと、FPは、3年連続2位に選ばれるほどの高評価だ。同サイトの2021年上半期人気講座ランキングでも「医療事務」、「調剤薬局事務」、「食生活アドバイザー」に続いて、「FP」が4位にランクインするなど、実際に受講する人も多いことが伺える。
そんな人気の高いFPだが、資格としては2つに大別できる。一つは国家資格の「FP技能士」。もう一つは民間資格の「AFP(アフィリエイテッド ファイナンシャル プランナー)」と、「CFP(サーティファイド ファイナンシャル プランナー)」である。
前者の「FP技能士」は、職業能力開発促進法に基づく技能検定の一つで、厚生労働省を認定団体として2002年4月にスタートした。難易度が高い順に1級、2級、3級の3段階があり、一度合格すれば有効期限などはなく、更新する必要もない。やや複雑なのは、指定試験機関がNPO法人日本FP協会(以下、FP協会)と金融財政事情研究会(以下、きんざい)の2団体があること。どちらで申し込んでも、試験日や受検資格、試験範囲、学科試験の問題は同じだが、実技試験の問題が異なっている。
後者の「AFP」と「CFP」は、FP協会が資格認定を行う。頭文字がAとCなので、CFPよりもAFPのほうが高いレベルだと勘違いされることもあるのだが、難易度は、AFPが2級技能士、CFPが1級FP技能士と同等の位置づけだ。
CFPのほうは6課目にわたって資格審査試験が行われるが、AFPの方は学科と実技の2級FP技能検定を受けて合格することとAFP認定研修を受講・修了すれば認定される。
技能士との違いは、有効期限があること。資格取得後2年ごとに更新が必要で、その際、AFPは15単位以上、CFPは30単位以上を取得しなければならない。単位は、所定の講座を受講したり、継続教育テストを受けたりすることでクリアできるが、そのためのコストや時間、労力はかかる。
コストという観点では、そもそも認定を受けるためには、試験に合格するだけでなく、FP協会への入会が必須だ。原則、入会金1万円、年会費12,000円、CFP会費8,000円で、CFPである筆者も毎年2万円が口座から引き落とされている。
このように書くと、有効期限もなく、維持コストのかからないFP技能士が有利に感じるかもしれない。しかし、金融や税制、不動産、住宅ローン、生命保険、年金等々、さまざまな分野の知識を幅広くカバーするFPほど継続的なブラッシュアップが必要な資格はない。単なる資格取得だけでなく、FPとしてのレベルを維持していくなら、かかるコストは必要経費と捉えておくべきだ。更新や有効期限があるAFP・CFPなら、学習への適度なプレッシャーにもなる。