横領事件が後を絶たないワケ…司法書士に転身した元山口組系ヤクザが解説

――なるほど。プライドは他者の評価も必要なんですね。

甲村 そうです。この両方を持つことが大事なんですよ。格好悪いマネをして他人様から後ろ指を指されるようなことをしたら、自分が損をします。弁護士や司法書士として、自身の思い描く理想と矜持、そしてプライドを持っていれば、目前の誘惑をはねのける大きな力となるでしょう。

 以前、ある弁護士さんから「弁護士とは、資格でなく生き方だ」と聞いたことがあります。司法書士も、まさにそうだなと思いました。横領のようなつまらないことで生き方まで犠牲にすることはないんです。

――それは、資格がなくても、あらゆる職業の方に当てはまりますね。

甲村 そうですね。資格試験合格を目指している、あるいは合格したばかりの若い人はもちろん、すべての方に矜持とプライドを持って職責を果たしていただきたいです。

(※続く)

(構成=編集部)

【プロフィール】甲村柳市(こうむら・りゅういち)
1972年岡山・美星町生まれ。ごく普通の子どもだったが、中学校に入った頃から不良に憧れて町でケンカも繰り返すように。少年院収容も経験。20代前半にスナックで“スカウト”されて五代目山口組の三次団体の組員に。恐喝未遂や公務執行妨害罪などでの服役を経て2018年11月、7回目の受験で合格。現在は、生まれ育った岡山市内で東亜国際合同法務事務所の代表をつとめ、不動産や商業登記のほか、遺言・相続、成年後見、入国・国際業務、債権整理、風俗業や建設業の許認可申請など司法書士・行政書士の業務をすべてこなしている。https://touakokusai.com/