政府、国費投入で国産ドローン開発プロジェクト始動…自動車業界「空飛ぶクルマ」開発競争

 世界的に自動車メーカーが「空飛ぶクルマ」に力を入れています。もちろん、航空機メーカーも注目しています。米ボーイングや欧州エアバスも自分たちで開発するというより、スタートアップ企業を買収して開発させています。人が乗って飛ぶということになると、航空の専門的な知識が必要ですから、航空機メーカーのように事情をわかっていないと認可が下りません。そのため航空機メーカー、自動車会社、インテルなどのIT系企業が参入してきています。開発競争は世界中で起こっています。

――物流ドローンは今どのような状況なのでしょうか。以前幕張で物流ドローンの実証実験が行われましたが、これは今どのような形で反映されているのでしょうか。

鈴木 物流ドローンは今、離島などでの物流でその可能性が期待され、日本航空(JAL)や全日本空輸(ANA)などが力を入れ、将来の物流事業を無人機で実施したいという期待があるようです。1時間程度飛べるヤマハ発動機の小型ヘリなどを使って20kgぐらいのものを運ぶ実証実験が行われています。ただ、もっと重いものを運ぶためには「空飛ぶクルマ」のトラック版のようなものが必要になっていくのですが、それも開発されつつあります。日本のスカイドライブという会社が今開発に力を入れています。海外ではドイツのボロコプターという会社が100kgのものを運べる「ボロドローン」をつくり、実証実験をやろうとしていてJALが出資しています。JALと一緒に奄美群島で実証実験を計画しています。

(文=松崎隆司/経済ジャーナリスト)

●松崎隆司/経済ジャーナリスト

1962年生まれ。中央大学法学部を卒業。経済出版社を退社後、パブリックリレーションのコンサルティング会社を経て、2000年1月、経済ジャーナリストとして独立。企業経営やM&A、雇用問題、事業継承、ビジネスモデルの研究、経済事件などを取材。エコノミスト、プレジデントなどの経済誌や総合雑誌、日刊ゲンダイなどで執筆している。主な著書には『ロッテを創った男 重光武雄論』(ダイヤモンド社)、『堤清二と昭和の大物』(光文社)、『東芝崩壊19万人の巨艦企業を沈めた真犯人』(宝島社)など多数。日本ペンクラブ会員。