今年、もう「自分と他人を比べる」のはやめよう…自己肯定感が低いほど人間関係を損なう

「断ったら相手の気分を害するかもしれない」「付き合いの悪い人と思われるかもしれない」という不安が思考を支配し、「う、うん、いいよ」と応えてしまう。

 しかし、そうやって本心を見せないために、周囲からは逆に「何を考えているかわからない人」「周囲を警戒して寄せ付けようとしない人」と映ってしまい、むしろ逆効果になっていることに気が付きません。こうして自己肯定感が低い人は、人から好かれよう、人に嫌われまいというその発想によって、逆に人間関係を損ないやすいのです。

人は他人に嫌われないために生きているわけではない

 自分の意見をきちんと伝えると嫌われる、と感じている人は少なくありませんが、そもそも「自己主張」とは、相手を否定することでも好かれるためにすることでもありません。相手を攻撃するとか、非難するとかではなく、自分の価値観を相手に押し付けるわけでもなく、自分の考えを素直に誠実に述べることです。

「それは違うと思う」とか「自分はそうは思わない」「それはおかしい」「そんな考え方はおかしい」などと相手を批判・否定することではなく、「自分はこう思う。こうしたいと思う。それはこういう理由だから」という感じで素直に誠実に主張すれば、ネガティブに受け止められることはそう多くないはずです。

 そして、人に好かれることや嫌われないことではなく、ありのままの自分で生きることを前提に行動することです。

 仮に好かれなくても、嫌われないように自己主張することは可能です。たとえば仕事の締め切りに追われて忙しいのに「いまちょっと時間ある?」と同僚から声をかけられたとき。「今忙しいんだけど、ちょっとって、どのくらい?」とか「ちょっと今忙しいからムリ」というのはさすがに感じが悪い。

 しかし、たとえば「ゴメン、この仕事を急いで片付けちゃうから、10分後でもいい? あとで声をかけるよ」というふうに答えれば、今は断るという自分の本音を伝えつつ、嫌われるリスクは減るでしょう。

 つまり、言葉遣いや表現の工夫によって、自己主張しつつも嫌われない作法を身に付けることはできるということです。

 とはいえもちろん、自分の本音を伝えれば相手の期待通りにならないこともあるし、利害が対立することもあるから、おのずと限界はあります。ただし、相手に迎合したところで、あなたのことを「いい人だ」と思う人はほとんどいないという現実を受け入れる必要があります。

 そもそもあなたが自己主張し、それが相手の心に響いたときに初めてそれが「いいかどうか」がわかるのです。それで当然ながら、「そんな考えには賛成できない」「けしからん」と感じる人もいるかもしれない。

 しかしそれを恐れて自己主張しなければ、誰からも共感を得ることはできない。主張がなければいてもいなくても変わらない空気のような存在で、一人の味方すらできないということになります。それに他人は、単なる印象や外見だけで判断することもあるし、嫉妬や羨望で嫌うこともあるわけで、そんな他人の感情は、自分ではコントロールできません。

 つまり、相手がどう思うかは相手の問題であって、自分の問題ではない。コントロールできない相手の問題を自分の中に抱える必要などないし、そもそも無理なのですから、気にしても仕方がないと受け入れることです。

 また、自己肯定感が低い人は、言語化能力が未熟な傾向があります。自分がどういう価値観、そして行動原理で生きているかをあまり考えておらず、それが自信のなさにつながっています。特に、「なにかとモヤモヤすることが多い」という人は、自分の感情や考えを明確な言語として表現できていないからです。