今や、日本のオンラインギフト券流通市場の6割以上のシェアを占め、年間100億円以上の取り扱い高を上げ、20年8月にはドバイにも進出したというから、この成長の波に見事に乗ったというわけだ。業態としても、ギフト券を売り買いしたい顧客同士をつなげるだけなので、実際のコストはクレーム対応などのカスタマーサービスの?件費くらいで、かなり低く押さえられるとみられる。コロナ禍でインターネットショッピングが伸びるなかで、今後も成長が予測される業界であるといえよう。
アマゾンの立場からしても、これだけの成長市場である。最有力商品のアマゾンギフト券を通して、相当の収益が流れ込んでいるとみられる。この状況下では、仲介業者と本格的に争うよりは、消費者に責任を押しつけられる現在の仕組みのほうが経済合理性があるのは間違いない。
アマゾンはGAFAの一角を占めるグローバルプラットフォーマーの一角を占める。にもかかわらず、どのギフト券が不正なものかを明らかにせず、顧客のアカウント内のギフト券をすべて没収するというのはプラットフォーマーの横暴とはいえないだろうか。オンラインギフト券市場が小さかった時代ならいざ知らず、超巨大企業として顧客保護の観点からより積極的な取り組みをすべきだろう。
アマテンにしても取扱?が100億円を超える企業規模になった以上、犯罪防?の社会的責任が生じるため、「売り買いは??責任」という言い分は常識的に考えて通?しないように思われる。
近年では、犯罪収益のロンダリングの?段として、NTTドコモのオンライン決済サービス「ドコモ?座」のスキを利?した犯罪も起きている。政府も市場が急増するオンライン市場での消費者の安全確保に全?を挙げてほしいものだ。
本件についてアマゾンに問い合わせたところ、以下回答が寄せられた。
Q.1)不正に購入されたアマゾンギフト券について、そのギフト番号を公開ないし仲介業者と共有して、利用者保護の動きを強める予定はございますでしょうか。また、そのご予定がない場合、理由をご教示いただけますでしょうか。
【回答】
今後の予定についての詳細はお答えいたしかねますが、お客様に安心してAmazonギフト券をご利用いただけるように、Amazonギフト券に関する制限および禁止行為を行うこと、またはAmazonギフト券細則に反してAmazon ギフト券を使用することに対して、ギフト券の登録や利用の停止、ギフト券の残高の無効化、またはギフト券細則に基づきアカウント閉鎖等の措置をとる場合があります。Amazonギフト券の細則はこちらをご確認ください。
Q.2)不正に購入されたアマゾンギフト券について、仲介業者を介して入手した利用者が、不正に購入された旨を知らないまま当該アマゾンギフト券を利用しようとし、その利用者のアマゾンアカウントが保有する全ギフト券が没収されることについて、消費者保護上、不適切ではないかという指摘も出ていますが、貴社の見解をご教示いただけますでしょうか。
【回答】
Amazonは常にお客様を第一に考えております。Amazonでは、今後もお客様に安心してお買い物をお楽しみいただけるよう、サービスの向上に努めてまいります。
また、アマゾンが「未承認サイト」としているアマテンの運営会社にも質問状を送付したが、期日までに回答は得られなかった。ちなみに同社はホームページ上で電話番号を開示しておらず、NTTの番号案内サービス「104」にも登録されていなかった。そのため、質問状をホームページに記載された住所に「配達証明」で郵送するかたちをとった。