アマゾンはこの仲介業者については、先の規約の中で、業界最大手のアマテンなどを名指しで「未承認サイト」として、ギフト券を購入しないように呼び掛けている。確かにアマゾンの立場からすれば正規ルートで購入したギフト券以外に責任を持たないのは当然だ。しかし、問題は現状、アマゾンしか不正な手段で購入されたギフト券番号がわからないという点である。仲介業者側に不正に購入されたギフト券の番号が共有されない限り、延々と消費者側の「ギャンブル」が続くことになるのだ。
実際にアマテンで購入したギフト券が没収された情報提供者には、アマゾンに没収されたギフト券について、アマテンにクレームを入れると自動返信で以下の返答があった。
「当社はあくまでも個人間売買の場をご提供させていただいているものとなりますため、エラー報告につきましては、原則として、売買契約者となる出品者様と購入者様によって、解決していただくようお願いしております。また、当社が買取、販売のサービスを行なっているものではないため、当社がギフト券の有効性を判断するものではございません。ご了承ください。
お客様がご申告いただいている内容では、ギフト券登録後、お客様に事前の許可無くアカウント内の残高を没収されているのはamazon様であり、詳細についてはamazon様へご確認いただき、その内容をもって出品者様と問題を解決いただく必要ございます」
つまり、アマテンなど仲介業者の立場はあくまで売り買いの場を提供しているだけであり、もし購入したギフト券がアマゾンに没取されるような性質のものであっても責任はとらないということだ。当事者同士で話し合ってほしいとも書かれてある。
どうだろうか。確かに一見してもっともらしく聞こえるが、自分たちの扱っている商品の一部は犯罪収益のロンダリングに利用されていることを考えれば、都合の良すぎる話にも聞こえる。不正に購入されたギフト券の持ち主のアマゾンアカウントも他人のクレジットカードなどでつくられているとみて間違いないので、ババを引いた場合、泣き寝入りになる可能性が高い。
アマテンの場合、不正なギフト券を購入したと気づいた買い手が購入から30分以内にエラー報告を出せば、売り手に代金が渡るのは阻止できる仕組みにはなっているが、売り手と買い手の交渉中、ギフト券の代金はアマテン管理下に置かれる。もし、この状態で売り手か買い手のアカウントが失効した場合や、売り手が交渉に応じない場合、アマテン側が代金をどのように扱っているかにも疑問が残る。もし企業の資産に位置づけているとしたら、トラブルが起きれば起きるほどプラットフォーマーであるアマテンの資産が膨らむということになりはしないか。
アマテンはホームページ上で「?厚いカスタマーサポート」を謳っているが、売り?や買い?に警告を出すことはあっても、補償など本格的な問題解決に動くシステムはなく、実態とはほど遠い。
アマゾンが不正利?されたギフト券の番号を共有しないのは、「未承認サイト」であるアマテンなどの仲介業者の存在を公式に認めたくないということに加え、前述のようなキャッシング枠の現?化であれなんであれ、ギフト券を通して収益が流れ込んでくる
構造が背景にある。ただ、これでは客観的には「?いカネでも?いカネでもカネはカネ」という姿勢に?られても仕?ないだろう。
実際、このギフト券業界の成長はすさまじい。矢野研究所の調査によると、2014年度は82億円の規模であった市場は、18年度では約1167億円と4年で約14倍に急成長しており、23年には2492億円と倍増するという。業界最大手アマテンが19年に公開したホワイトペーパーによると、12年に設立された同社は16年から収益は約45%の成長を遂げており、10万人を超えるユーザー数は年に平均2割増加。取引数量は2020年内に150万件に到達することが見込まれる。